ストック経済を考える: 豊かな社会へのシナリオ (中公新書 1002)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121010025

作品紹介・あらすじ

フローからストックへ、日本経済は長期的構造変化を遂げつつある。「宵越しの金を持たない」社会から「失うべき何物かを持つ」社会への変貌。ストック経済はしかし、豊かである半面、分配上の深刻な問題を抱えている。新しい時代の公平と真の豊かさをどう実現するか。本書は土地政策、相続・資産税制、社会保障制度等の具体的構想を提言する。「資産保有者の貪欲が社会の進歩を妨げる」という認識に立つ、新しい経済学の試みでもある。

感想・レビュー・書評

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  •  授業で必要なので読んだ本。バブルの頃からの経済の考え方の推移も、おまけでよくわかる。

  • 学生時代

    ストックは重要

  • 経済学者である野口悠紀雄氏の経済学の本。氏は最近では「超」整理手帳などの分野で有名だがれっきとした経済学者である。

    初版は1991年とある。2009年から見ると18年も前の経済学の本である。

    章立ては以下の通り

    第一章 経済のストック化
    第二章 投機とバブルーストック価格のメカニズムー
    第三章 土地ー不可欠だが厄介なストックー
    第四章 家計の保有ストックと相続
    第五章 ストック経済の税制と社会保障
    第六章 社会的ストックの形成
    第七章 ストック経済の経済学

    以上の章立て。

    ストックというのは、金融資産、土地、住宅、資本設備といった蓄積されたもの。その重要性が今後高まっていくだろうという変化を分析した物。

    実際2009年において、ストックとフローのどちらが重要視されれているだろうか。家計においては徐々にフローが減り、ストックに重点が置かれている。

    米国のサブプライムローンの問題は、ストックを過剰に高く評価し、それを基盤としてフローの量を拡大させていった事による破綻だとも言える。

    フローの過剰な流動が、バブルを引き起こしたとも言えるかも知れない。

    現状においてはそういうのはちょっと置いておくとして「原点回帰」の方向に向かっている様な印象を受ける。そう言う意味では今は価値が低くなっているストックに再び重点が置かれる時代がやってくるのかもしれない。

  • 20年以上前の卒論のネタ

  • 高度経済成長移行の日本経済では、毎年生産され支出される「フロー」よりも、過去から蓄積されてきた「ストック」が重要な役割を占めるようになってきていることを指摘し、それに伴うさまざまな問題とその対策を考察している本です。

    1991年に刊行された本ということもあって、とくに土地が投機的な価値を持つようになってきていることへの対策などに多くの議論が費やされています。そのほかにも、相続や社会保障の問題に対して、とくに税制上の措置によって社会問題を解決の方向に導いていく必要があるという主張が展開されています。

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著者プロフィール

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業。64年大蔵省入省。72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て2017年9月より早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター顧問。専攻はファイナンス理論、日本経済論。ベストセラー多数。Twitterアカウント:@yukionoguchi10

「2023年 『「超」整理手帳 スケジュール・シート スタンダード2024』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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