物語イタリアの歴史―解体から統一まで (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 467
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121010452

作品紹介・あらすじ

皇女ガラ・プラキディア、女伯マティルデ、聖者フランチェスコ、皇帝フェデリーコ、作家ボッカチオ、銀行家コジモ・デ・メディチ、彫刻家ミケランジェロ、国王ヴィットリオ・アメデーオ、司書カサノーヴァ、作曲家ヴェルディの10人を通して、ローマ帝国の軍隊が武装した西ゴート族の難民に圧倒される4世紀末から、イタリア統一が成就して王国創立専言が国民議会で採択される19世紀末までの千五百年の「歴史=物語」を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 噂通りとても面白い本でした。今までイタリアの本をいろいろ読んできてイマイチわからない部分があり、何がわからないか自分でもよくわからなかったけど、この本でかなりクリアになってきました。

    イタリアの通史(のスケッチ)ですが、各時代のイタリア社会のパースペクティヴを確定するために物語(=歴史)ごとに前面に人物をおいています。同様に都市名も記録しますが、こちらは私の独断です。

    皇女ガラ・プラキディア ラウ゛ェンナ
    女伯マティルデ カノッサ
    聖者フランチェスコ アッシージ
    皇帝フェデリーコ パレルモ
    作家ボッカチオ ナポリ
    銀行家コジモ・デ・メディチ フィレンツェ
    彫刻家ミケランジェロ ローマ
    国王ヴィットリオ・アメデーオ トリーノ
    司書カサノーヴァ ヴェネツィア
    作曲家ヴェルディ ミラノ

    西ゴート族の難民に圧倒される4世紀末からイタリア統一成就までの1500年。
    最後のヴェルディがハッピーエンドで感動ものでしたが、それは大変な勘違いだと「あとがき」を読んで気づきました。
    ひとつひとつの歴史がイタリア人の豊かで実り多い営みなのです。

  • 10人の人物を中心として描きながらイタリアの歴史を書いたもの。書かれている時代はローマ帝国が蛮族に蹂躙され分裂していく四世紀末から、イタリアがついに統一される20世紀初頭まで。人物を描いているが、単なる人物略伝ではない。その人物の生きた各時代のイタリアを描き、全体として通史となるように目されている。著者の言うように、これは政治史や文化史に限定されたものではなく、全体的なパースペクティブを描こうとしたものだ(p.327)。

    章題になっているのは皇女ガラ・プラキディア(c.390-450)、女伯マティルデ(1046?-1115)、聖者フランチェスコ(1182-1226)、皇帝フェデリーコ(フリードリヒ2世)(1194-1250)、作家ボッカチオ(1313-1375)、銀行家コジモ・デ・メディチ(1389-1464)、彫刻家ミケランジェロ(1475-1564)、国王ヴィットリオ・アメデーオ2世(1666-1732)、司書カサノーヴァ(1725-1798)、作曲家ヴェルディ(1813-1901)。

    取り上げた人物とその時代背景がうまく絡みあうように書かれているものはとても面白い。例えばヴェルディの章は、ナポレオンの侵略がもたらしたイタリアの近代化(p.290f)、そして青年イタリア同盟のマッツィーニが大きく描かれる。ヴェルディのオペラも、『ナブッコ』がイタリア統一への熱狂の中で理解されたこと(p.308)、そもそもヴェルディの名前自体が、イタリア統一へ向かうサルディーニャ国王ヴィットリオ・エマヌエーレとのダブルミーニングとされた(Vittorio Emanuelere d'Italia)こと(p.320)として描かれる。

    フェデリーコと聖フランチェスコの辺りもよく書けている。イタリア統一に熱心に取り組んだフェデリーコは教皇庁に対抗できる官僚組織を作るべく、知識人を育てるために1224年、ナポリ大学を設立した(p.93)。結局は自治都市の経済力と、修道会を利用して新しい聖人信仰の道徳感情をうまく利用した教皇庁(p.111f)の前にイタリア統一の夢は絶たれる。聖フランチェスコとフェデリーコはまったく対照的な形で、その当時の社会の水準を超絶した存在だという評価も目を引く(p.101)。

    また、ルネサンスにおけるフィレンツェとミラノの対抗意識(p.152f)もなるほどと思ったところ。フィレンツェは少なくとも形式的には自由な民主国家で経済力を誇り、共和制ローマに歴史を結びつける。一方、ナポリは君主の独裁国家で軍事力を誇り、帝政ローマに歴史を結びつける。この対抗意識は美術や建築にも及ぶ。フィレンツェ大聖堂の巨大な円蓋と、ミラノ大聖堂の無数の尖塔がそれだ。また、ルネサンスの時代といえば、ペストの流行。ペスト菌の宿主の蚤が寄生するのはクマネズミであり、これはもともとヨーロッパにいない動物だったようだ。十字軍の船に乗って東方からペスト菌を持ってやってきた、なんて話がある(p.131f)。

    ヴェネツィアの扱いが小さいという印象を持った。ジャコモ・カサノヴァという不思議な人物とともに18世紀のヴェネツィアが描かれている。ヴェネツィアは何よりも治水事業が大事で、潟に流入する河川の土砂で陸地にならないように、かつ海の侵食によって外海と接続してしまうことも避けなければならない。これが安定した政治体制を要請した(p.261-265)。18世紀のヴェネツィアは文化的に最後の輝きを放つ時期だが、それ以前の海洋国家としての姿がほとんど出てこない。また、オスマン帝国との話もなく、レパントの海戦も出てこないあたりがやや不満を感じる。人物中心に描くとなると、強大なリーダーを持ったわけでもないヴェネツィアは埋もれてしまうのだろうか。

  • ローマ帝国西方の崩壊から、リソルジメントの完遂まで、1500年を新書一冊で語るという大胆な内容。
    あとがきに
    > イタリア語では「歴史」と「物語」とは同じ言葉である。
    とある通り、素晴らしいstoria だ。
    時代の区分ごとに1人の人物へ焦点を絞ることで、読者に時代を追体験させることに成功している。
    イタリアは素晴らしい歴史遺産がたくさんある国である。
    本書を読んでから旅行に行けば、イタリアを2倍楽しめるだろう。

  • ☆☆☆2020年1月☆☆☆


    1、皇女ガラ・プラキディアの物語
    2、女伯マティルデの物語
    3、聖者フランチェスコの物語
    4、皇帝フェデリーコの物語
    5、作家ボッカチオの物語
    6、銀行家コジモ・デ・メディチの物語
    7、彫刻家ミケランジェロの物語
    8、国王ヴィットリオ・アメデーオの物語
    9、司書カサノーヴァの物語
    10、作曲家ヴェルディの物語


    イタリアの解体(ローマ帝国)から、再統一まで1000年以上の歴史をたどる壮大なロマン。有名な人物から、あまり知られていない人物まで。
    イタリアの歴史を語るうえで欠かせないのはローマ教皇。
    僕は昔から「カノッサの屈辱」が大好き(・・・と言っていいのかどうか) という意味では
    「2、女帝マティルデの物語」は教皇グレゴリウス7世の人となりがわかって実に面白かった。どんな頑固者だったのだろう。しかし、その厳しさで人をひきつけるカリスマでもあったのだろう。

  • ①②

  • FMa

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    歴史上の10人の偉人の足跡を辿りつつ、西ローマ帝国の滅亡からイタリア統一までが書かれている。一般的に歴史は個人の事はあまり取り上げられないのだけど、この本では積極的に取り上げることで読みやすい内容となっている。
    この本を読み思ったことだがヨーロッパの歴史は分断と統一が多いなと思ったが中国も日本も一度はバラバラに分断された後に統一されるという歴史を歩んでいるので歴史では場所は異なっても同じような流れになるのだと思ったよ。

  • ・現在のカノッサは古城の廃墟に風が吹くばかり、たまに訪れる観光客のほかは住む人とてない
    ・1453年、東ローマ帝国の首都を完全に包囲した14万のトルコ軍団は、皇帝メフメト2世の号令下、総攻撃を開始。防戦二カ月余、ついにコンスタンティノープルは陥落
    ・フィレンツェでメディチ家ゆかりの場所を訪ね歩けばきりがないが、ウッフィーツィ美術館だけは見逃すまい

  • 語り口が良い。残念ながら著者は故人。

    イタリアの歴史なんて全く知らなかったが、旅行を機に読んでみた。まず驚いたのは、中世までほぼ統一されていなかったこと。イタリアが統一されたのはナポレオン以降だったようだ。まぁでもよく考えれば日本も統一されたのは秀吉の頃なのでそんなものか。


  • 読みやすかった。

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