サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121013248

感想・レビュー・書評

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  • この本でいうところの「第二の視覚系」と「閾下知覚」についての論文サーベイのために読んだ。そのため、とりあえず第4講と第6講だけ。
    (4講)いわゆる視覚野を順に昇っていく経路だけでは説明できない「盲視」という現象は、この本の出版から20年以上の間に解剖学・生理学的に調べられてきていて、この本では仮説の域を出ないとしている「第二の視覚系」はほとんど確信できるところまできたと私は思う。盲視に関する観察や実験結果は、はじめ知ったときは摩訶不思議に思えた(今もだけど)。
    (6講)この部分を読めただけでも自分にとって大きな価値があった。自覚できないレベル(閾下)の刺激が知覚に干渉する、さらには見えないのに特徴を答えられるという報告は、刺激の検出→特徴の解析→意味の認知という、まあ妥当でわかりやすい情報処理の流れを仮定したうえでは何だそりゃとなるだろう。ならば検出と特徴の解析はパラレルになのかと考えることができる。そこで上に述べた「第二の視覚系」の存在が当てはまる。前述のとおり、この20年で解剖学・生理学的な知見も集まってきている今では、これを否定する人もまずいないと思う。
    この本では他にも、有名な「サブリミナル効果」のように、無自覚の感覚入力によって意志すら操られうるということについて述べているようだ。この部分については、視覚心理物理や神経科学に興味がない、難しくてわからないという方でも驚きと発見を得られるのではないだろうか。

  • さてさて、最近、右脳→左脳という思考プロセスに嵌っているのですが
    潜在意識に関しても思うところがあったので
    そんな関係の本を読んでみました。

    いくつか思った事をピックアップ

    ・認識の定義とは?
    この本では認識の定義に関して触れています。
    例えば、ここ見てって言われた時、その部分に集中しているけれど
    他の部分も一応見えますよね?
    それって認識なのでしょうか?
    自分なりに言葉の定義を考え中です。

    ・脳半割
    医療系じゃない人にはショッキングかもしれないですが
    脳を半分に切られた動物や人の話が出てきます。
    別に問題なく生きる事が出来るのですが
    初めて聞いてびっくりした事を思い出しました。

    ・コマーシャルのインパクト
    私はTVCMのコマーシャルの効果に否定的だったのですが
    商品を手に取る時に全く知らないものより
    覚えてはいないけれど、多分どこかで
    見た事のある商品の方を選ぶでしょう。
    これを考えるとGoogle AdSenseで広告の費用対効果が
    見られるっていうのも部分的なものなのかもしれないですね。

    うーん。脳の話は面白いです。
    論文の引用なども多数あり、適当に書かれた
    適当な新書というわけではありませんでした。
    紹介してくれた友人に感謝したいと思います。

著者プロフィール

カリフォルニア工科大学教授

「2019年 『潜在認知の次元』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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