- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121017390
作品紹介・あらすじ
日本の二〇〇三年度予算は、一般会計の歳出に占める税収比率が五一.一%と、世界最低である。近年の欧米主要国では軒並み八〇%以上、イギリスやアメリカでは九〇%を超えている。少子・高齢社会が到来した日本では、景気回復を見守りつつ、財政健全化を図る両睨み政策の中で必要な財源を賄うためには、税負担増は避けられない。国民全体の公益という視点を優先した税意識を普及させ、税制改革を進める時がきている。
感想・レビュー・書評
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今の日本に必要な政府の対応について、積極的な国債発行や財政出動をサポートする本が続いていたため、今度は反対に増税や歳出削減をサポートする本を読んでみたくなった。知りたかった情報は第一章に集約されており、後は参考程度に目を通した。ポイントは3つ。1つ目は、バブル崩壊を起因とする税の空洞化。バブル崩壊後の景気低迷に対し、日本政府は金融緩和(ゼロ金利)と財政出動(公共事業や減税等)により景気浮揚を図るも、不良債権の影響などから金融システムは回復せず、結果日本政府の税収比率は50%程度まで下落し、それ以降日本は税を集められない国になってしまった。2つ目は、財政赤字の弊害。債務残高の対GDP比率が高いなど財政赤字が深刻になってくると、マクロ経済的には、インフレの懸念が高まり、その結果金利が上がると民間投資が減退、さらに国の信用低下で円安が進行などといった弊害を呼ぶ(幸いなことに現時点で日本はそのような状況とはなっていないが)。また、継続的な元利償還は財政にを硬直化させてしまうようだ。複利的な経済成長を伴えば問題ないという批判には、3つ目の少子高齢社会という問題が出てくる。社会保障に必要な金額の増加率は、2-3%程度の経済成長ではとても物足りないそうだ。税制においては、制度の前提と今の社会の状況が一致していない場合は大いにこれを見直せば良いと思うが、負担増が不可避である時は、やはり国民の景気回復の実感(不安の払拭)が先に来るべきとは思う。当たり前か。金融緩和は需要の先取りという面が強いとすると、20年以上も続けてる時点でナンセンスなのだろうか。それなら新しい需要が生まれる方がいい。最後、これまで自分は所得税に大いに不満を持っていたが、本書では、所得税は基幹税の中でも累進税率構造を持ち、納税者の個々の担税力を控除によって勘案できる、公平性に優れた税であると紹介されていた。目的税ではないと、認識を変えないといけない。
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105円購入2012-02-27
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石氏の税に関する書籍を読むのは2冊目。
石氏は、税の理論をわかりやすく説明した上で増税を主張。
「低負担・高福祉」を求める風潮に警鐘を鳴らす点は共感できる。
今後は、増税に反対する主張者の本も読んで自分なりの意見を持つことができればと思う。 -
少子高齢化に伴う医療福祉費等の補うために増税は必要であるとの前提のもとに、どうやって財源を確保するのかという視点で描かれている。
税金の将来についての著者の見解が得られるのはもちろんだが、税制の国際比較などにより現行の税制が抱えている問題点を指摘していることも興味深い。
自民党政権時の出版なので、民主党政権下では必ずしもこうはいかないか?
《キーワード》
空洞化した所得税、消費税増税、資産課税、相続税 -
必要な財源を賄うためには、税負担増は避けられない。
著者は政府税調の会長。