私たちはどうつながっているのか: ネットワ-クの科学を応用する (中公新書 1894)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121018946

作品紹介・あらすじ

人は出会い、つながる。会社や友人関係、地域社会も、個人と個人が結びつきネットワークを作ることで成り立っている。それでは私たちはどのように他人とつながっているだろうか。私たちのネットワークの上では何が起こっているだろうか。本書は、スモールワールドやスケールフリーといった最新のネットワーク科学を、毎日の生活に活かそうと提言する。

感想・レビュー・書評

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  • 人のネットワークの仕組みが簡潔にわかりやすく解説してあり、奥深さは各ネットワークの専門の書籍に及ばないかもしれないが、「人と人のネットワーク」として知るべきことの多くを知ることができたと感じた。

    自身も含め、多くの人は組織の中で働き、知らず知らずのうちに本書で紹介されているネットワークを活かしている「つもり」なだけで、その見えない鎖のようなものが理解できていないことがよくわかった。

    こうしたネットワークに関する知識は、明日から使える知識をうたうビジネス書で得るか、本書のような専門家の著書を読むかになるのだが、個人的には本書を読み、それを明日から使えるのが最良な気もする。

    間違いのない良書。
    でもブルーバックスとかハヤカワでなく中公新書から出ているのが謎。あとエルデシュ数とケビンベーコン数が扱われていないのもちょっと謎。おもしろいのに。

  • あなたが有名人に、知り合いを通して手紙を渡すには、間に何人が必要?答えは6人。これはアメリカで行われたで有名な実験の結果。私たちの世界って、意外に狭い。本書には世界はどんなつながり方をしているのか、学際的な研究の現在が、とても興味深く示されています。

  • 交流のネットワークを絵で見せる、というのは発展途上だと思います。今は、何人とつながっているかという単純な数値化しかありません。でも、交友関係は単に多ければ良い、というわけでは有りません。色々な観点から評価が必要です。この先ネットワークはどう進化するのかなあ、と想像しながら読むと楽しいかもしれません。

  • つながりについて理解が深まる本。印象に残ったのは①アメリカの実験で、各自が自分の知人の中で目標人物に近そうな人に手紙を送っていった結果、平均6人で目標人物に届いた。このことを標語的に6次の隔たりという②クラスターとは、3人以上の多すぎない人数のコミュニティのこと。人はクラスターを作って、内輪でつきあいがち③ハブとは、友人が非常に多く、毎日外に出る外向的な人のこと④時間を人間関係に使うか、自己開発に使うか、多くの人と薄くつながるか、濃くつながるか。唯一の答えはなく、結局「何になりたいか」に帰着する

  • ”スモールワールドとスケールフリーを軸に、現実のネットワークの性質について解説した本。
    「つながり」「コミュニティ」を、ネットワーク論から改めて眺めることができた。

    <抄録(抜き書き)>
    ・たいていの人は数人としかつながっていない。いっぽう、たくさんの人とつながっている人が、少ないながらいる。このようなネットワークは、スケールフリー・ネットワークと呼ばれる。(略)80対20の法則のネットワーク版である。(p.126)
     とても多くの人とつながっているをハブと呼ぶ。


    ★ハブになるための基準(p.155)
     ?能力
     ?先住
     ?運

    ・出る枝の維持は大変だ
     (略)
     いつも何かしらの幹事仕事に追われている。(p.168-169)
     ※コミュマネの悲哀!

    ★媒介中心性
     次数中心性や近接中心性は、橋渡しとはあまり関係がない。橋渡しの度合いを測る時には、媒介中心性というものを用いる。

    ・図7-5 Eさんは媒介中心性で測ると中心的である。
     しかし、Eさんの役割は特別である。Eさんがいなければ、左のコミュニティと右のコミュニティは連絡をとれなくなるからだ。このようなとき、Eさんの媒介中心性は高い。左コミュニティの誰かと右コミュニティの誰かを結ぶ最短路を考えるたびに、Eさんに1点が入るからである。
    ・ハブでなくてもよいのだ。近道を持とうという指針は、媒介中心性を高くすることと関係が深い。

    ・自分の周囲のネットワークは、行動によって変えられる。(p.228)

    <関連本>
    ・『信頼の構造』山岸俊男

    <きっかけ>
     未来を創る読書対話会 シーズン6「未来を共に創るつながりの力」の第1回 課題図書として。”

  • キーワードは6次の隔たり、と、クラスター。
    世の中はスモールワールド。
    ハブになるのはコストがかかるけど、ネットワークは大切にしたい!

  • 前提として、ネットワークを人の個性を無視して、点と線で表す

    スモールワールド
    6次世界
    だいたい6人で世界中と繋がる
    クラスター
    コミュニティで早く繋がる


    スケールフリー
    ネットワークは80:20の法則
    ハブの存在

  • 複雑系の入門書。平易な文章で書かれており、図解もあり、分かりやすい。組織やコミュニティを運営する人にお薦め。

    対比となる概念が、スモールネットワークとスケールフリー。前者は、つながることによる「安心」、後者は「情報」を提供する。

    現代が孤独なのは、つながりの消失によるもの。

    著書増田直紀氏は、31歳で本書を執筆した。小難しい話ではなく平易な文体で述べられるのは、深い洞察の結果と言える。

    第一章 人のネットワーク

    第二章 世の中はスモールワールド
     六次の隔たり
     クラスター
     各自が複数のコミュニティに属していることが、六次の隔たりを実現する大きな要因
      六次の隔たりとクラスターを併せ持つスモールワールド・ネットワーク

    第三章 六次の隔たりを使う
     自分と異質な人が情報限となる
     周りを身内で固めすぎない
     赤の他人を信頼する時のコスト<赤の他人を信頼しないコスト
     情報通の人・外交的な人の近くにいる
     過剰に横並び型の組織では、情報がうまく流れにくい

    第四章 クラスターを使う
     クラスター=3人以上の多すぎない人数のコミュニティ
     クラスターは安心を提供する。まったくないと、過剰な用心をしたり不安に陥る
     クラスターがあると利己的な振る舞いが抑えられ、人々は協力しやすくなる
     クラスターがあると組織から誰かが抜けてしまっても代りが利く
     クラスターの応用例はまだ少ない

    第五章 世の中はスケールフリー
     パレートの法則(ロングテールの法則、80対20の法則)
     知人数もパレートの法則に従う
     非常に多くの相手とつながっている人をハブと呼ぶ
     ネットワーク成長と優先的選択によってスケールフリー・ネットワークが作られる
     知人紹介モデル・隠れ変数モデル

    第六章 スケールフリーを使う
     マーケティング・流行の伝播、ネットワーク・ビジネス
     ソーシャル・ネットワーキング・サービス
     格差は拡大する
     ハブになる三大要素は、能力・先住・運である。
     ハブであることはコストがかかる
     自分から働きかけてたくさんの人と連絡を保つことは大変である。
     逆に、他人が自分を知ることについては、自分にかかるコストは少ない。
     創造的なチーム作業のためには、異分野連携・人員の新陳代謝・経験豊富な人の参入が必要。

    第七章 ネットワークの中心
     次数中心性:知人数の多い人が中心である。
     近接中心性:自分を起点とする情報が速く全体に行き渡る人が中心である。
     媒介中心性:最短距離を通っていくのに中継しやすい人が中心である。
     ランダムウォークに基づく中心性:気まぐれな道筋で流れる情報を中継している人が中心である。

    第八章 ネットワークと教育

  • ネットワーク理論の入門書的なもの。
    人と人とのつながりを線にして考えてみると、たしかに色々と改めて見えてくるかも。
    病後の繋がりの回復度を見ていくのも面白そうですね。

  • 【要約】


    【ノート】

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著者プロフィール

ニューヨーク州立大学教授 博(工)

「2022年 『テンポラル・ネットワーク(第2版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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