アメリカの世界戦略: 戦争はどう利用されるのか (中公新書 1937)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019370

作品紹介・あらすじ

二〇〇三年三月、ブッシュ政権は対イラク戦争に踏み切った。世界の平和と安全を説く国がなぜ先制攻撃を仕掛けるのか。そこには、冷戦終結後、EUと中国の挑戦を受けるなか、圧倒的な経済力と軍事力をもとに世界一極支配を目指すアメリカの戦略がある。本書では朝鮮戦争からヴェトナム戦争、そして「ブッシュの戦争」に至るアメリカ式戦争の特徴と問題点を、政策決定者たちの証言を交えて分析し、「帝国」の今後を展望する。

感想・レビュー・書評

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  • 朝鮮戦争は米中戦争にまで発展した。米中対立を決定的にした。冷戦の軍事化をもたらした。

  • 第二次世界大戦以後のアメリカの外交政策について、戦争に焦点を当て解説する一書。特に冷戦以後をメインに取り扱い、アメリカの持つ性質を探る。ヨーロッパとの関係性の移り変わりが丁寧に描かれている。

  • [ 内容 ]
    二〇〇三年三月、ブッシュ政権は対イラク戦争に踏み切った。
    世界の平和と安全を説く国がなぜ先制攻撃を仕掛けるのか。
    そこには、冷戦終結後、EUと中国の挑戦を受けるなか、圧倒的な経済力と軍事力をもとに世界一極支配を目指すアメリカの戦略がある。
    本書では朝鮮戦争からヴェトナム戦争、そして「ブッシュの戦争」に至るアメリカ式戦争の特徴と問題点を、政策決定者たちの証言を交えて分析し、「帝国」の今後を展望する。

    [ 目次 ]
    第1部 世界戦略のなかのアジア(朝鮮戦争からヴェトナム戦争へ;冷戦後のアジア戦略;ブッシュ(ジュニア)政権の対テロ戦争)
    第2部 対ヨーロッパ関係―協調と対立と(冷戦期の米欧関係;冷戦の終焉とEUの挑戦;クリントンの戦争とアメリカ外交の軍事化)
    第3部 9・11と対イラク戦争(「新世界秩序」建設の夢;世界一極支配のシナリオ;対イラク攻撃計画の作成;イラク戦争の開始とEU中核諸国の反応)
    第4部 帝国化するアメリカ(9・11とアメリカの帝国化;アメリカ外交の伝統と戦争)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  戦後アメリカ外交史・安全保障論の大家である菅英輝(元・九州大学教授、現・西南女子学院大学教授)の新著。

    【構成】
    第1部 世界戦略のなかのアジア
     第1章 朝鮮戦争からヴェトナム戦争へ
     第2章 冷戦後のアジア戦略
     第3章 ブッシュ(ジュニア)政権の対テロ戦争

    第2部 対ヨーロッパ関係-協調と対立と
     第4章 冷戦期の米欧関係
     第5章 冷戦の終焉とEUの挑戦
     第6章 クリントンの戦争とアメリカ外交の軍事化

    第3部 9・11と対イラク戦争
     第7章 「新世界秩序」建設の夢
     第8章 世界一極支配のシナリオ
     第9章 対イラク攻撃計画の作成
     第10章 イラク戦争の開始とEU中核諸国の反応

    第4部 帝国化するアメリカ
     第11章 9・11とアメリカの帝国化
     第12章 アメリカ外交の伝統と戦争


     これまで冷戦期のアメリカ外交、安全保障論をきわめて実証的に論じてきた著者の姿勢は新書という制約にもかかわらず、十分に伝わってくる。

     構成を見ればわかるように、前半は対アジアを中心に冷戦期のアメリカの大規模軍事行動を論じ、後半においてはヨーロッパ・中東というポスト冷戦期のアメリカの秩序形成にとって不可避の問題に焦点をあてている。

     日本においては、アメリカ外交と言えば、主として日米関係であるとか対アジア戦略ばかりクローズアップされることが多いが、冷戦期においても、そしておそらく今日においてもアメリカ外交の第一戦線はヨーロッパ・中東方面なのである。

     ゆえに本書で特に注目すべきは第二部と第三部である。

     1949年に設立されたNATOは大西洋主義を掲げ、米英同盟を中軸としたアメリカの影響下でのヨーロッパ復興・強化のための軍事組織であった。
     しかしながら1960年代以降の急速な多極化、アメリカの威信の失墜、そして冷戦崩壊後におけるソ連の軍事的脅威の希薄化と東欧の民主化は、ヨーロッパにおけるアメリカの影響力低下と覇権への反発をうむことになった。
     そして、アメリカにとってはアメリカ主導のグローバル経済を補完する存在として認識されていたヨーロッパ統合は、ヨーロッパ諸国のアイデンティティ形成とアメリカからの自立という文脈でEUとなって結実し、その輪郭を形成するようになってきた。

     このような情勢下において、アメリカはクリントン政権の二期目ごろから、ネオ・リベラルな国際主義による経済政策に限界を感じ、アメリカ主導の世界秩序形成のための軍事力行使を容認する方向へと移行したと著者は論じる。
     そして、この傾向が次のブッシュ政権において、アフガン空爆からイラク戦争へと発展した。多国間(特にヨーロッパ諸国)の協調を標榜していた1990年代前半の姿勢から、単独行動を辞さない帝国主義的な単極構造の構築を目指す姿勢へと転換したのである。

     後半の第三部と第四部は、やや実証を離れ、アメリカ外交の帝国化を批判的に論じているが、「帝国化」の定義が明確にせずに、19世紀来の孤立主義的な傾向と近年の軍事行動を一まとめにしている点がいくぶん雑な印象を受けた。
     扱う地域・時代が広域になっているので、ポスト冷戦期の対ヨーロッパ・中東の軍事戦略・外交に焦点をしぼってもよかったのではないかと、個人的には思う。

     内容は少し専門的であるが、文章は割と読みやすいし、著者の主張は明確に示されているので、21世紀のアメリカの対外政策を展望する参考になる一冊であるといえる。

  • アメリカの正義が世界の正義。勘違いしたアメリカ帝国主義は外交の後ろに武力行使をちらつかせている。

  • 09年3月4日開始
    09年5月6日読了

     出来事の羅列がほとんど。イマイチ。

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著者プロフィール

京都外国語大学客員教授

「2014年 『冷戦と同盟 冷戦終焉の支店から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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