ニ-チェ: ツァラトゥストラの謎 (中公新書 1939)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019394

作品紹介・あらすじ

ある日「永劫回帰」の思想がニーチェを襲う。この着想をもとに一気呵成に書き上げられた『ツァラトゥストラはこう語った』は、二〇世紀の文学者・哲学者の多くを惹きつけ、現代思想に大きな影響を与えた。文学の伝統的手法を駆使しつつも、ときにそれを逆手にとり、文体の実験までも行うニーチェ。一見、用意周到な筋立てや人物造形とは無縁と思われるこの物語は何を目論んでいるのか。稀代の奇書に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 非常に参考になる本だったが、著作の芸術的価値という面から見れば、永井均のニーチェ論の後塵を拝している。

  • 2008/07/11読了

  • 【由来】
    ・図書館(北大?学園?)でたまたま目に止まったのが最初。

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 結局のところ自分がそのまま読んでもよくわからないし理解できない『ツァラトゥストラ』は、こうした解説を含めて「読む」しかないのだけど、本書は新書サイズとはいえ細かく読解されていて、1行ずつ丁寧に読解していくのではなく、その背景や引用元などを交えながら説明していくスタイルで、なんとなく「読んだ」気になれた。

    とくに比喩や隠喩などは約束事のわかっていない点の説明が丁寧で、あまり知識のない自分のようなものには助かる。例えば「ツァラトゥストラとはだれか?」との問いかけに対して、ホメロス問題を例にして説明する。また身体の各部を主語にして語る場面では、なせ腕や脚が主語になるのか、という解説が得られるなど、あくまでニューチェではなく『ツァラトゥストラ』を理解することを主眼にした内容で、有名な箇所だけを取り上げただけで終わらない。

    https://twitter.com/prigt23/status/1046362835167543296

  • 哲学をベースにしつつ、文学としてのツァラトゥストラを含みいれて解釈している・・・と、当時の読書メモに書いています。どういうことでしょう。自分でもよくわかりません。ただ、おもしろかったのはおもしろかったです。この本を読んだのがきっかけで、ツァラトゥストラを再読せねばと思い立って、以前は中央公論社の世界の名著シリーズのを読んで、それはそれで本棚に並んでいるのですが、やはりちくま学芸文庫だろうということでわざわざ買いなおしたくらいですから(なぜ「やはりちくまだ」と思い至ったのかは不明)。ただ、その後、ちくま学芸文庫のツァラトゥストラは、まだ読めていません。(2015年12月6日読了)

  • 長い、難しい。でもツァラトゥストラの復習になったし、背景の意見が聞けてよかった。

  • 2部構成。第1部でニーチェの文体について論じ、第2部で『ツァラトゥストラ』を読解する。
    岩波文庫版の『ツァラトゥストラ』には訳注が無かったが、本書はその役割を十二分に果たしてくれた。
    以下は本書無しには読み取れなかった数々の「謎」の一部。

    ・古代ギリシアの風刺文学のスタイル「メニッペア」を模した表現技法
    ・綱渡り師と道化師のエピソードが暗示する意味
    ・ツァラトゥストラが説く駱駝⇒獅子⇒幼子の「三様の変化」と、ヘーゲルの弁証法との違い
    ・全篇をとおして現れる聖書のパロディ
    ・自分が見た悪夢にそれらしい解釈を与える弟子を、ツァラトゥストラが一度は歓迎しながら最後は首をふって否定した理由
    ・「重力の魔」が語る永劫回帰と、ツァラトゥストラの永劫回帰との違い
    ・ツァラトゥストラが擬人化された「生」に耳元でささやいた言葉(『ツァラトゥストラ』のテキストでは明示されない)
    ・ツァラトゥストラを誘惑する2人の女として擬人化された「知恵」と「生」の葛藤の意味
    ・ツァラトゥストラが泣く泣く「生」と訣別する理由

  • 高校の頃と大学の最初に、何の基本も知らずに読んでいたものをより深く理解するために。いくつもの全く思いもしなかったことと、あぁ自分の読み方は正しかったんだということがあり、悪くない読書だった。あの頃にどう読んでいたのか、つまびらかには思い出せないけれど、強烈に覚えていることもある。『超人思想』と「これって聖書のパロディなのかな?」ってことだ。あとは、読みながらほのかに覚えていたことをぽろぽろと思い出した。
    半端な読みにも関わらず、俺が最初に読んだ頃から超人思想やいくつもの言葉に引き摺られて生きてきたのは、俺の影響されやすさだけの問題ではない。今の俺の志、考え方、行動に明らかに直結しているのだから。それだけ、ニーチェの言う『血で書かれた文章』の力は燃えている。
    俺の教養不足だけでなく、この時代に生まれた凡人にはこのような地図が必要だと思う。執筆以前の必須教養とその時代にされていた思考や思想、それらを確かに掌握していなければニーチェの意図にはたどり着けない。その時の思想や本まで書いてくれているこの本は、その意味でも大きな仕事だと思う。そして以前から興味のあったゾロアスター教についての本や、ダンテの『神曲』を改めて読む気にさせてくれたという点でも、俺にとっては良かった。ツァラトゥストラ自体を読んでから、また読んでみようと思う。

  • 本書では『ツァラトゥストラはこう語った』に焦点を絞って解説していることもあって非常に具体的にニーチェの著作を批評しているという点で素晴らしい。少なくとも一般の新書の哲学入門書の中では奥行きの深い書籍という風に言える。

  • [ 内容 ]
    ある日「永劫回帰」の思想がニーチェを襲う。
    この着想をもとに一気呵成に書き上げられた『ツァラトゥストラはこう語った』は、二〇世紀の文学者・哲学者の多くを惹きつけ、現代思想に大きな影響を与えた。
    文学の伝統的手法を駆使しつつも、ときにそれを逆手にとり、文体の実験までも行うニーチェ。
    一見、用意周到な筋立てや人物造形とは無縁と思われるこの物語は何を目論んでいるのか。
    稀代の奇書に迫る。

    [ 目次 ]
    第1部 ニーチェのスタイル(世界を読み解く技法 舞踏する精神)
    第2部 『ツァラトゥストラはこう語った』を読む(思想とパロディ-序説 賢者からソフィストへ-第一部 分身たち-第二部 ツァラトゥストラの帰郷-第三部 高等な人間たち-第四部)

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著者プロフィール

1962 年生。上智大学大学院哲学研究科博士後期課程満期修了。博士(哲学)。明星大学教授(2013-2017 年),中央大学文学部教授(2017-2022 年)。
著書に『人文学の可能性―言語・歴史・形象』『解体と遡行―ハイデガーと形而上学の歴史』『ニーチェ―仮象の文献学』(以上,知泉書館),『ニーチェ―ツァラトゥストラの謎』(中央公論新社)。訳書にニーチェ『偶像の黄昏』『喜ばしき知恵』(河出書房新社),トラバント『人文主義の言語思想』(共訳,岩波書店),ベーム『図像の哲学』(共訳,法政大学出版局),ブルーメンベルク『われわれが生きている現実』,シュナイダース『理性への希望』,ブルーメンベルク『近代の正統性III』(以上,法政大学出版局)ほか。

「2022年 『メタファー学のパラダイム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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