ニクソンとキッシンジャー - 現実主義外交とは何か (中公新書)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022448

作品紹介・あらすじ

リチャード・ニクソンは一九六九年からの激動の五年半、アメリカ大統領として国際政治の表舞台に立っていた。現在、彼の名はウォーターゲート事件とともに記憶されているが、その任期中は、側近ヘンリー・キッシンジャーとともに、ソ連との関係修復、米中和解、ベトナム戦争終結という、冷戦期における外交上の大きな成果を挙げている。二人が構築した、現実主義に基づく外交戦略とは何だったのか、その真髄に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 米中ソ間の力のバランス(勢力均衡)による国際平和の追求

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • ニクソンとキッシンジャーの業績のうち、主に外交面に絞って新書サイズにまとめた一冊。中公新書のアメリカ大統領シリーズ(?)のうちで読んだのはこれで2冊目。

    中公新書は安心して買えるし読める。特に目新しいことはなく淡々と書かれているところも新書らしくて気に入ってる。最近は「わざわざ1冊の本にまとめるほどのことか?」という新書が多く出ているので買うのに躊躇することもあるが、中公新書なら安心。

    内容については特に目新しいことはないが、ニクソン外交とはどういったものだったのか、ニクソンとキッシンジャーは何に恐れを感じ、何を見誤り、何を求めていたのかといった就任前から就任中の動きがまとまって描かれていて、リアルタイムでは知らない時代の価値観がよくわかっておもしろかった。

  • ◆戦後日中関係の画期となったニクソン訪中。これを差配したキッシンジャーと、彼と協働し続けたニクソンとが展開させた外交の実像を開陳◆

    2013年刊行。
    著者は京都大学名誉教授・同志社女子大学客員教授(政治過程論)。

     対抗から日中共同宣言→日中平和友好条約へと進んできた戦後日中関係の転機は、ニクソン米国大統領による対中接近であり、これを実務的に取り仕切ったキッシンジャー外交だ。
     このコンビは、ベトナム撤兵、対ソ・デタント(戦略兵器制限条約=SALT締結)など、大きな戦略的決定を行ってきた。
     しかし、アイゼンハワー大統領の下で副大統領職にあったニクソンの根底には、本来はタカ派的・ナショナリスティックな心性が宿る。この矛盾するものを統合させた力学・システムは一体なんだったのか?。

     本書は、矛盾も内包した彼らコンビ外交の実情を開陳するものである。
    当然、関係国である、ソビエト(ブレジネフ政権)、中華人民共和国(毛沢東政権末期、周恩来といわゆる四人組)、ベトナムを含めた関係各国間の虚々実々の駆け引きと、国益を基軸にしつつ、互いの譲歩を引き出すための押し引き、関係国の情勢に対する洞察(当然誤りも多い)の実情が丁寧に論じられる。

     交渉の細かい点は未知な点も多かったが、ニクソンの日・欧・ベトナムを見下す夜郎自大的心性も含め、彼らの交渉の実像に特に驚くべき点はなかった。

     ところで、ケネディ・フルシュチョフ後、毛沢東政権末期の世界的な時代相がデタントにあったのは注意をしておくべし。

  • ニクソンの反ユダヤ主義はリベラルとの対決の政治的経験がそれを打ち消すどころか、強化した。キッシンジャーはジャーナリストに近畿があったから、悪いことを書かれなかった。そこがニクソンと違う。キッシンジャーはドイツ語なまりがあるため、1972年まで記者会見も映像は許されるが音声は許可されず、テレビには登場しなかった。
    キッシンジャーにとってアメリカの偉大さとは、自由な人々が頼ることのできる唯一の国であることだった。

  • [特異な二人三脚]米中接近、米ソ間のデタント(緊張緩和)、そしてベトナムからの「名誉ある撤退」をはじめとして、アメリカの外交において特筆すべき役割を果たしたニクソン大統領とキッシンジャー大統領補佐官。「リアリズム」と評される二人の外交政策の背後に控えていた理想主義・ナショナリズムにスポットを当てながら、なぜこの二人が特筆に値すべきかを論評した作品です。著者は、戦後日本政治に関する著作を多く残されている大嶽秀夫。


    ニクソンとキッシンジャーというと、地政学に重きを置いた現実主義の外交を展開したと評されますが、本書ではそこからさらに突っ込んで、その現実主義を成り立たせるための柱として機能した2人の「プライド」に焦点が当てられています。理想主義と現実の間を巧みに揺れ動きながらアメリカという国を導いたところに、この2人が高く評価されるところの所以があるのかもしれないと感じました。


    ただ2人を礼讃するのではなく、その卓越した視点故に取りこぼされてしまったものについてもしっかりと言及されているところが素晴らしい。例えば下記は本書後半部分からの引用になるのですが、戦後日本の政治を深く見つめてきた大嶽氏だからこそ書ける(ともすれば書かずにはいられない)指摘なのではないでしょうか。

    〜二人のマキャベリズムには、徹底した「商人的」狡猾さを拒否するような、ある種の理想主義がその核にあったことがわかる。しかし、卑屈なまでの狡猾さで「国益」を守ることも、それはそれでやはりある種の自尊心(いってよければナショナル・プライド)なくしては不可能だとは、二人は考えなかっただろう。〜

    ニクソン大統領は、特に外交面において、時間の経過にしたがってその評価がじわじわと上がっている不思議な大統領だと思う☆5つ

  • ちょっと…わかりにくい。
    中国との関係が知りたくなり、「キッシンジャー回想録・中国」を読んでみようと思いました。

  • 150503 中央図書館
    ポピュリストでありマキャベリアンであり、知性とタフネスを重視したニクソンとキッシンジャー。ベトナム戦争終結に向けた施策がデタントであり米中和解であった。
    しかし、彼らの視線には北半球の国々(当時の「大国」)しか入っておらず、第三世界は付帯的なものとして認識されていた。
    彼らの施策が、50年後の現在までの基本の流れを作り出していることに紛れはなさそうだが、世界の極配置が大きく変わってしまったことも、また、事実。

  • ニクソン、キッシンジャーは専門家ではなく「実務家」というプロフェッショナル精神の下で、現実外交を展開したわけだが、これはポピュリズムの走りだという。

    以前の大嶽先生の作品に比べると、読みにくくなっている気がする。読解力がないだけかもしれないけど。

  • 現実主義外交のなんたるかを知りたくて、手に取った本。
    予想以上に身になった本である。

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著者プロフィール

東北大学名誉教授、京都大学名誉教授。『現代日本の政治権力経済権力』(三一書房、1979年。増補新版1996年)、『アデナウアーと吉田茂』(中央公論社、1986年)、『自由主義的改革の時代──1980年代前期の日本政治』(中央公論社、1994年)、『戦後政治と政治学』(東京大学出版会、1994年)、『日本型ポピュリズム──政治への期待と幻滅』(中公新書、2003年)、『新左翼の遺産──ニューレフトからポストモダンへ』(東京大学出版会、2007年)など著書多数。

「2021年 『日本政治研究事始め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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