物語イギリスの歴史(上) - 古代ブリテン島からエリザベス1世まで (中公新書 2318)
- 中央公論新社 (2015年5月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121023186
作品紹介・あらすじ
5世紀以降、ケルト人を駆逐しアングロ・サクソン人が定住したブリテン島。11世紀、大陸のノルマン人が征服するが、常にフランス領土を求め戦争を繰り返した。その間、島内では諸侯が伸張。13世紀にはマグナ・カルタを王が認め、議会の原型が成立する。その後も百年戦争の敗北、教皇からの破門と、王の権威低下が続いた。上巻は、大陸に固執する王たちを中心に、16世紀半ばイングランドにエリザベス1世が君臨するまでを描く。
感想・レビュー・書評
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この「物語歴史シリーズ」、私が読んだのは藤沢道郎『イタリア』2冊、岩根圀和『スペイン』2冊、田沢耕『カタルーニャ』ときて、6冊目になります。
余談ですが、このシリーズに一見似ている岩波の『イギリス史10講』と『フランス史10講』は、苦労して読みました。
さてこのシリーズは、それぞれに個性があり、どれもとても面白かったです。
君塚直隆さんはイギリスなので「王と議会」を中心に書いていきます。
この上巻では、エリザベス一世が亡くなるまでのことが書かれています。
その年、日本では、徳川家康が江戸幕府を創設しました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
7世紀頃七王国が形成され、マーシアのオファ王がイングランド初めての王となり、初の法典を作った。
9世紀からバイキング(イングランドではデーン人と呼ばれる)の侵略を受ける。ウェセックスの王アルフレッドはこれを撃退し大王と呼ばれる。アルフレッドの孫は初めてイングランド王と公式に呼ばれた。賢人会議を開催するようになる。その子エドガーはキリスト教に基づく戴冠式を初めて行った。
ウェセックス朝の無能な王に代わりデンマークのカヌートが王位を継承しデーン朝が成立するも、7年で終わる。
再びウェセックス系のエドワード証聖王が即位するが家臣団と合わず、後継者をノルマン公ギョームに指名。ギョームは征服王ウィリアム一世として即位する。ノルマン朝が成立。ウィリアム1世は賢人会議やイングランド法を尊重しつつ、諸侯の反乱は軍事的に制圧した。アングロ=ノルマン王国とも呼ばれる。
ノルマンディはフランス王の家臣であるが、フランス王はアングロ=ノルマン王国の増長を警戒し、以後、その継承問題に暗躍することとなる。
内乱の末アンジュー伯とウェセックス系の皇妃マティルダの子ヘンリ2世が即位。仏西部まで領土とする広大なアンジュー帝国が成立。その家紋からプランタジネット朝と呼ばれる。
リチャード獅子心王の弟ジョンは仏王フィリップ尊厳王に領地を奪われ腰抜け王と揶揄される。教皇からの破門、英語を解さないこと、臨時課税を乱発したことから諸侯の信頼を失い、マグナカルタに署名させられた。
次代のヘンリ3世は頃議会政治が定着、大陸遠征ではなくイングランド統治がメインとなる。仏に比べ英では議会の発達が早かった。これは王位継承問題と戦争の多さのせいである。仏王家は王位問題が起きず、裕福だったため議会の承認が要らなかった。
ヘンリ4世によりリチャード2世は廃位。プランタジネット朝は断絶しランカスター朝始まる。プランタジネット王家と血縁ではある。
百年戦争後、ヨーク家とランカスター家の薔薇戦争が起き、ヘンリ6世は処刑される。エドワード4世が即位し、ヨーク朝が成立。ランカスター分家のヘンリテューダーにより、リチャード3世が倒されテューダー朝が成立。薔薇戦争は終結する。
エリザベス1世は先代血まみれメアリによるカトリック復帰を破棄し国教会に回帰。陰惨なメアリより人気があった。ドレイクにスペイン船を海賊させ、アマルダでは無敵艦隊を破る。 -
何時もわかりやすい文章を書く君塚先生ならイギリスの歴史も判りやすくなるだろうと読み始めました。上巻はエリザベス1世女王までですが、なんか南北朝ですか応仁の乱ですかというレベルでカオスしてますな……。さすがの君塚先生の文章でも混乱してしまいました。
とりあえず、戦争継続のための財源が欲しい王と、税を取るなら意見させろという貴族市民の間に議会が出来たことが、その後の立憲君主制の足掛かりになったというのは、なんとなく判りました。 -
「王権と議会」をキーワードに、「イギリス」の歴史を紐解く。上は、アングロ・サクソン人がケルト人を駆逐してブリテン島に定住した5世紀から、16世紀半ばイングランドにエリザベス1世が君臨するまでを描く。【「TRC MARC」の商品解説】
関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40226314 -
イギリスは歴史と伝統のある国であるのは論をまたないが、その前半はフランスの属国的立場にあったことを初めて知った。自国の王が常駐していなかったからなのか、14世紀以降急速に民主化が進んだことは興味深い。民主化と言っても貴族階層止まりだとは思うが。
後半の展開が楽しみだ。
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イギリスの歴史の流れをざっと見たい人におすすめ。同じような名前が多くて、何度も系図を確認しながら読んだ。王家の系図や地図がその都度載せてあるので便利。
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物語 フランス革命が面白かったのでその繋がりで。テンポ良く、教科書的だが面白い。世界史リタイヤしたのが、同じ名前が出まくることだと思い出した。
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アリソン・アトリーの『時の旅人』をテキストとしてオンライン読書会を行っているが、エリザベス1世とメアリー・ステュアートの時代に紛れ込んだ少女という設定だけあって、当時についての知識があった方が、より確実に楽しめていたはずと強く思っていた。そこで新書でと思って岩波か中公で探したところ、中公で見つかったのがこの著作だった。「はじめに」で、エリザベス1世と信長とが同じ年代を生きていたと知って、関心を持てるようになった。こうした視点は、あってよいと思う。読みたい。
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シェークスピア劇の時代(百年戦争〜薔薇戦争)のあたりの実相が、かなり複雑ながら何とかかんとか理解できた。
少なくともこの時代まではイングランドはブリテン島内部やアイルランドよりも海峡対岸のフランスとの結びつきが強かったというのが意外だった。 -
イギリス王室にはまっている妻(こちらは今のだけど)の影響で、Voicyで聞いたコテンラジオさんのエリザベス1世の話が本当に面白く、こちらも購読。
上下巻とはいえ、長いイギリスの歴史を概観しているので、そんなに詳しいところには立ち入らない(ので、コテンラジオさんの方が断然面白い)のだが、とにかくずっと、国内と大陸(大体はフランス)とゴチャゴチャやっている。
あと、高校のとき世界史に挫折した原因だが、やっぱり同じ名前が多すぎる!!