保守主義とは何か - 反フランス革命から現代日本まで (中公新書 2378)
- 中央公論新社 (2016年6月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121023780
感想・レビュー・書評
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16/06/30。
10/16読了。
保守主義の叡智をバーク、エリオットに遡って明らかにした本。
リベラリストの「実際」の胡散臭さに気づいた者は、此処に行き着く。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宇野重規『保守主義とは何か――反フランス革命から現代日本まで』
【内容紹介】
21世紀以降、保守主義者を自称する人が増えている。フランス革命による急激な進歩主義への違和感から、エドマンド・バークに端を発した保守主義は、今では新自由主義、伝統主義、復古主義など多くのイズムを包み、都合よく使われている感がある。本書は、18世紀から現代日本に至るまでの軌跡を辿り、思想的・歴史的に保守主義を明らかにする。さらには、驕りや迷走が見られる今、再定義を行い、そのあり方を問い直す。
<http://www.chuko.co.jp/shinsho/2016/06/102378.html>
【メモ】
・「これから僕の本を読んでくれる人に」 2016-05-21 Shigekiの日記
<http://d.hatena.ne.jp/Shigeki/20160521>
【抜き書き】
〔……〕しかしながら、本書の冒頭で示したようにバークを基準にとるならば、保守主義とは、(1)具体的な制度や慣習を保守し、(2)そのような制度や慣習が歴史のなかで培われたものであることを重視するものであり、さらに、(3)自由を維持することを大切にし、(4)民主化を前提にしつつ、秩序ある漸進的改革を目指す。
その意味で、単に過去に価値を見出す思考がすべて保守主義と呼ばれるべきではない。まして知識社会学者のカール・マンハイムがいう、変化一般に対する嫌悪や反発としての「伝統主義」とは明確に区別されなければならない。保守主義はあくまで自由という価値を追求するものであり、民主主義を完全に否定るする反動や復古主義とは異なる。保守主義は高度に自覚的な近代的思想であった。
[pp.155-156]
【目次】
はじめに [i-vi]
目次 [vii-ix]
序章 変質する保守主義――進歩主義の衰退のなかで 003
第1章 フランス革命と闘う 021
I エドマンド・バークの生涯 023
II 英国統治システムへの自負――帝国の再編と政党政治 034
III 『フランス革命の省察』 047
第2章 社会主義と闘う 063
I T・S・エリオット――「伝統」の再発見 065
II ハイエク――知の有限性と懐疑 079
III オークショット――「人類の会話」というヴィジョン 094
第3章 「大きな政府」と闘う 109
I アメリカ「保守革命」の胎動 111
II リバタリアニズム――フリードマンとノージック 124
III ネオコンの革命――保守優位の到来 138
第4章 日本の保守主義 153
I 丸山真男と福田恆存――その存在をめぐって 155
II 近代日本の本流とは 167
III 現代日本の保守主義 180
終章 二一世紀の保守主義 193
あとがき(二〇一六年春 相次ぐ自然災害からの復興を願いつつ 宇野重規) [209-213]
主要図版出典一覧 [214]
参考文献 [215-218] -
21世紀以降、保守主義者を自称する人が増えている。フランス革命による急激な進歩主義への違和感から、エドマンド・バークに端を発した保守主義は、今では新自由主義、伝統主義、復古主義など多くのイズムを包み、都合よく使われている感がある。本書は、18世紀から現代日本に至るまでの軌跡を辿り、思想的・歴史的に保守主義を明らかにする。さらには、驕りや迷走が見られる今、再定義を行い、そのあり方を問い直す。