シベリア抑留 - スターリン独裁下、「収容所群島」の実像 (中公新書)
- 中央公論新社 (2016年12月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121024114
感想・レビュー・書評
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「収容所列島」との関連性、ドイツ人捕虜達との比較。新しい視点が盛り込まれているが、資料として読んだためか、情報過多に感じた。
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日本人抑留者の悲惨な実態、というのを予想して読んだら少し違った。悲惨な実態は確かなのだが、本書ではより相対化している。ソ連は自国民や独軍兵も収容所に入れていたし、また独も緒戦ではソ連兵を捕虜にしていた。更に、居留民の南樺太での留用、北朝鮮での難民化も本書で取り上げている。スターリン独裁下の「収容所群島」、という副題の由縁だ。
一方で「虜囚の辱を受けず」のような理念は独ソ両軍にもあったという。また著者は、天皇制軍隊とスターリン捕虜収容所での兵士の精神構造の類似性を指摘している。 -
シベリア抑留というと、戦後日本人が60万人も連れていかれ、酷寒と重労働でそのうち6万人が亡くなったことを思い浮かべるが、本書によればそれはソ連による抑留のごく一部で、ドイツやその関連国の捕虜については200万人も連れて行かれているし、樺太、千島、朝鮮半島での抑留者もいる。また、その収容所はソ連での政治犯らの収容所がモデルとしてあった。これらを含め、本書は戦後における抑留を世界史的な視点から、なぜソ連がそのようなことをせざるをえなかったかを詳細なデータに基づき論じたものである。それはいわば敗戦国に対する「人的賠償」というべきものであり、それまでに決められたいくつもの条約に反するものであった。しかし、そこには独ソ線で多くの人間と資源を失ったソ連の内部事情もあった。ドイツも勝ち戦さのうちは多くのソ連兵を捕虜にしたし、また捕虜の扱いにこまり虐殺もしている。ソ連兵でのち解放されたものは今度は党に疑われ収容所に放り込まれた。日本と同じように、ドイツとソ連の兵士の間で捕虜になれば殺されると思っていたものも多かったそうだ。
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抑留の地理的な広がりに触れているのが新鮮
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第二次世界大戦後に主に満州から連行された日本人に関する内容だけでなく、同じ敗戦国だったドイツ人、ドイツとソ連赤軍双方から占領されたポーランド人、またはドイツによって捕虜にされたソ連赤軍の状況など、総合的に解説された著書。
客観的に理解を深めることができました。 -
この本を読むきっかけわ何だったろうか。 シーナ兄ぃおすすめの各種冒険探検脱出紀行本の舞台にこの「シベリア」という言葉が重なるからであったろうか。
題名からして日本人が旧ソ連軍の捕虜となり、シベリアで戦後何年にもわたって強制労働させられたお話かとおもったが、さもあらづで二次大戦がヨーロッパで始まる頃からのヨーロッパ各国の捕虜や抑留者に対する扱い全般について黙々と書かれている。
普段のエンタメ本の感想文にわこういった本の内容に触れる感想わ一切書かないのであるが、本書のようなある意味教養のみが目的で読む本わ、感想文で中身に触れて我が記憶を確かにしておきたい気持ちが働くのである。
結果割りと面白く興味深く読めたのであるが、いったにこのような本を誰がどんな人達が書くのかと考えると、それわ大学の偉い先生達なのであった。もちろん我々技術屋とわ住む世界の違う文学や法学の偉い先生達である。うーむ、そこわボクわ遠慮しときますわw。 -
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第2次世界大戦の結果、ドイツや日本など400万人以上の将兵、数十万人の民間人が、ソ連領内や北朝鮮などのソ連管理地域に抑留され、「賠償」を名目に労働を強制された。いわゆるシベリア抑留である。これはスターリン独裁下、主に政治犯を扱った矯正労働収容所がモデルの非人道的システムであり、多くの悲劇を生む。本書はその起源から、ドイツ軍捕虜、そして日本人が被った10年に及ぶ抑留の実態を詳述、その全貌を描く。