災害の日本近代史-大凶作、風水害、噴火、関東大震災と国際関係 (中公新書 2762)
- 中央公論新社 (2023年7月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121027627
作品紹介・あらすじ
東北大凶作、関東大水害、桜島大噴火、東京湾台風、そして関東大震災……。百年前の日本は、戦争だけでなく、自然の猛威により膨大な被災者を出していた。この時期は、世界各地でも巨大災害が続発。諸外国との支援をめぐる交渉が活発化し、“一等国”となった日本はその対応に迫られていた。本書は、巨大災害の実態から、対応、復興、影響、国際関係まで、民衆と国家の双方の視点から記していく。戦争で語られがちな日本近代のもう一つの現実を描く。
感想・レビュー・書評
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近代日本の災害史概説。20世紀初頭は関東大震災以外にも世界的に災害が多かった時代との観点から、東北大凶作、桜島大噴火なども紹介し、災害外交にも力点を置いているのが特徴。関東大震災以前の災害が震災対応にどう影響したのかも、論じられている。
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20世紀初頭の東北大凶作から関東大震災まで、日本で起こった災害の様相を描き出す。その「様相」の描き方が他の災害史とは異なって独特の角度をもっている。つまり、外国からの支援という国際関係史的側面に注目している点がそれである。「大凶作、風水害、噴火、関東大震災と国際関係」と副題をうっているだけのことはある。
また、復興にどのような支援が国内でなされたかという点に重点が置かれているのも印象的。その分、これまでの災害史の多くが中心としていた被害そのものや被災した人々の描写という点は、あまり多くないと感じる。
そういう感想からすると、本書の主題は、書名の副題のほうにあって、正確には「19世紀初頭日本の災害と国際関係」という感じである。『災害の日本近代史』というにはちょっと「ずれ」を感じたのが正直なところである。
とはいえ、国際関係に着目した災害史という観点そのものは興味深いものであって、勉強になった。 -
約100年前、世界各地で巨大災害が続発した。その対応、復興、影響、国際関係を詳細に記すことで現代に警鐘を鳴らす。読んだのが能登半島地震の直後だったため、いろいろと考えさせられた。
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関東大震災から100年。未曾有の災害の影に埋もれているが20世紀初頭は自然災害の頻発した時期。災害に直面した政府の対応、他国の支援など本書は将来への備えの参考となるだろう。
東北大凶作、サンフランシスコ地震、パリ大洪水、関東大水害、桜島大噴火、東京湾台風から関東大震災まで。
災害対応から復興、国際的な支援など広い視点から災害をとらえた一冊。 -
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https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/566428