恐怖の正体-トラウマ・恐怖症からホラーまで (中公新書 2772)

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  • 中央公論新社
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121027726

作品紹介・あらすじ

うじゃうじゃと蠢く虫の群れ、おぞましいほど密集したブツブツの集合体、刺されば激痛が走りそうな尖端、高所や閉所、人形、ピエロ、屍体――。なぜ人は「それ」に恐怖を感じるのか。人間心理の根源的な謎に、精神科医・作家ととして活躍する著者が迫る。恐怖に駆られている間、なぜ時間が止まったように感じるのか。グロテスクな描写から目が離せなくなる理由とは。死の恐怖をいかに克服するか等々、「得体の知れない何か」の正体に肉薄する。

感想・レビュー・書評

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  • 悪夢は決して絵空事ではない 最新ホラー3点から恐怖の本質を考える|好書好日(2023.05.27)
    https://book.asahi.com/article/14917471

    何度も蘇る「嫌な記憶」「つらい記憶」には、対処法があるのか(春日武彦:精神科医)#立ち直る力|「こころ」のための専門メディア 金子書房(2021年11月24日)
    https://www.note.kanekoshobo.co.jp/n/nb62970bdbf9c

    恐怖の正体 : トラウマ・恐怖症からホラーまで 春日武彦(著・文・その他) - 中央公論新社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784121027726

  • ディテールが面白い。
    ということは文章が面白いということ。
    特にゴキブリに出遭ってしまったときの心理の詳述!



    内容説明
    うじゃうじゃと蠢く虫の群れ、密集したブツブツの集合体、鋭い尖端、高所や閉所、人形、ピエロ、屍体―。なぜ人は「それ」に恐怖を感じるのか。人間心理の根源的な謎に、精神科医・作家として活躍する著者が迫る。恐怖に駆られると、なぜ時間が止まったように感じるのか。グロテスクな描写から目が離せなくなる理由とは。自らの死を考えるときの恐ろしさ等々、「得体の知れない何か」の正体に肉薄する。

    目次
    第1章 恐怖の生々しさと定義について
    第2章 恐怖症の人たち
    第3章 恐怖の真っ最中
    第4章 娯楽としての恐怖
    第5章 グロテスクの宴
    第6章 死と恐怖

  • 精神科医が恐怖について、整理分類して解説を試みた本です。〇〇恐怖症な人たちにも言及しておりまして、自らも甲殻類恐怖という著者。著者がその恐怖を語っていますが、怖い思いをして書いているわけなので気の毒に思ったりして。
    アカデミックに恐怖をとらえる試みはとても興味深く、引き寄せられました。

  • 著者目線の恐怖を感じるポイントの羅列やエッセイ的な面も多くあるが、そこから恐怖の原因を掘り下げている。なぜ死に対して恐怖を感じるのか。永遠、未知、不可逆性と分析しているが、これは納得できる考え方だと思った。輪廻転生が存在しても今現在まで慣れ親しんだ人生には二度と戻ってこれない。そんな非日常的な世界へはその気になれさえすればものの5分で行ける手段はいくらでもある。そういう矛盾がまた恐怖を生むのかもしれない。

    死や、寄生虫、カニバリズムなど自分の日常とはあまりにかけ離れてはいるが、自分も極限状態に陥ればそのような闇に放り込まれる可能性がある部分が、たまらなく矛盾を感じ、エンターテイメントとしての怖いもの見たさに繋がるのではないかと思った。

  • 内容は120%面白いのだが、各恐怖症の例として上がっている内容が嫌すぎて今まで気になってなかったものまで気になっちゃいそう。なのでごめんなさい、これ以上読みません!

  • イーフー・トゥアン
    恐怖→警戒心と不安
    警戒心
    →環境にふだんとちがう出来事が発生することで喚起される。
    不安
    →何か危険が起こりそうな予感。その危険の要因が何なのかははっきりとわからない。

    三原山で過去に集団自殺が起きた。

    この二つを知れたことは勉強になった。



  • 医学論というよりもエッセイにみえるが、精神科医学の理論が背景にあるのだろう。

  • 人はなぜ蠢く虫や閉所や密集する群れなどの、直接、身に危険を及ぼさないものにまで恐怖を感じるのか。精神科医であり作家である著者が、さまざまな恐怖に焦点を当て、正体をさぐるもの。

    まず、心理学や脳科学などから恐怖の理由を導き出すものではありません。他の方の感想にもあるように、著者の恐怖体験などをもとに、様々なタイプの恐怖についてまじまじと見つめていく、エッセイのような内容です。
    著者が本書で述べているように、人によって何をなぜ怖いと思うのかが異なりすぎて、理由が「一概には言えない」ためエッセイのようなスタイルになっているのかな。
    何か科学的に恐怖の正体を暴いてほしいと期待して手に取ると「ちょっと思ってたんと違う」となるかもしれません。(私はそう思った方)

    一概に断じることができないほど「恐怖」は人それぞれ。自分が何を怖いと思うかに、自分の人間性の一部が表れていると思うと、怖いと思うものを改めてまじまじ見つめてみたいような、やっぱり怖いような……。

  • 面白かった。
    どちらかといえば、エッセイ風味。
    作者(50年代生まれの精神科の医師)の怖かった映画や小説の話が多い。
    古い戦争系の映画と、2000年代の外国映画が多い。
    小説は古めだけど、文だけでどう怖くなるか、がわかりやすくて面白かった。
    怖いとはなにか、台所にでるあの虫や、ピエロ、高所閉所、集合体(←私もめちゃめちゃ苦手)、尖端など恐怖の望都は様々。
    それがなぜ、どうして怖いのか、文にして明快に説明されるのはスッキリした。
    しかしまあ、※個人の感想です、に由来する恐怖も多くて、なかなか面白いテーマだとわかった。
    お化け屋敷やジェットコースターなど、なぜわざわざ恐怖を感じたいのか、などの話や、娯楽としての恐怖が本当の恐怖になる瞬間(こわすぎ)なども興味深く読んだ。

  • なかなか面白かった。色んな作品の恐怖を感じるポイントがピックアップしてあって、アレコレ摘み食いしながら楽しく読み進められた。自分の事となると、死と死体を切り離して考えちゃう節があるって言うのは妙に納得した。

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著者プロフィール

1951年生まれ。産婦人科医を経て精神科医に。現在も臨床に携わりながら執筆活動を続ける。

「2021年 『鬱屈精神科医、怪物人間とひきこもる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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