アカデミア・サバイバル: 「高学歴ワーキングプア」から抜け出す (中公新書ラクレ 329)
- 中央公論新社 (2009年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121503299
作品紹介・あらすじ
就職できない「博士」たちの窮状を世に知らしめた著者の、次なるテーマは「大学での生き残り術」。受験の比ではない大激戦を勝ち抜けるのは、正攻法から裏技まで知り尽くした者だけだ。
感想・レビュー・書評
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前著『高学歴ワーキングプア』にて、大学院を取り巻く悲惨な現状について
明らかにした著者の続編。
今回は「解決編」とでも言えるような作りになっている。
前著に比べて文章が平易、かつ読ませる工夫が感じられて、
「大学業界読み物」のようなテイストで楽しく読むことが出来た。
大学院はもはや将来の投資としては成り立っていない。
(特に)後期課程にまで進んでしまうと一般企業への就職は難しくなるし、
博士号を取ったところで研究職への就職はままならない。
最高峰たる東大出身であっても、常勤の仕事をとるのは至難の業なのだ。
いざ知ってみると、意外な印象を持つ人も多いのではないだろうか。
そんな環境の中で、大学院生や、「博士」たちはどう生きていけば良いのか?
自身も任期付き研究員で、僧侶の免許も持つというユニークな著者が、
博士の価値を捉えなおすための具体的な方法について述べていく。
「教員人事は公募なんかじゃない!」
「論文を書きすぎたらイカン」
「一度外に出てから戻るという手もある」
(以上、目次から抜粋)
といった点は正に目からウロコ。
単なる努力では身を守れない現状が、リアルに伝わってくる。
こうした実際の状況を言ってくれる教員は少ないから、院生は盲目になるのでしょう。
巷では「大学院に行きましょう」という主旨の本が中心的ななかで、
批判的に、かつ、それでも生き残っていくための回答を示した著者の功績は大きい。
文章も読みやすく、「悲惨な喜劇」(?)というのか、面白おかしく、でもマジメに。
そんな感じの内容になっており、読み物としても楽しめた。
院生、進学を考えている学生、社会人etc...何かしら大学院に関心を持った人は
目を通しておくべき一冊。
「自分には特に縁がないかなぁ」という人も、何か感じてしまう一冊だと思うのでぜひ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
200円購入2011-01-02
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アカデミア・サバイバル―「高学歴ワーキングプア」から抜け出す。水月昭道先生の著書。就職できない博士号取得者、「博士」たちが報われない日本社会の問題点を指摘した良書です。2009年に発売されたものだけれど、高学歴ワーキングプア問題、ポスドク問題は現在も続いているようだし、根本的な解決には程遠いように思います。
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少子高齢化で大学経営がきびしくなるなかで何とか雇用してもらおうと画策している一冊。どうやったら経営の源泉をふやせるか、とか被雇用以外の道筋は用意されていない、かなり内向きな内容。著者には経営者としての視点がかけているのが残念。
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大学人になるためにはこれしか方法ないんだぜ、拾ってくれなくて悲しいいじけちゃう、という本。
方法はそれだけしかないと思わせる内容はちょっと違うと思います。 -
高学歴ワーキングプア著者の新刊。
本気が冗談か分からないところもあるが、大学を取り巻く様々な問題に正面から切り込んでいる。
こんなことまで書いていいのかなと心配になるところも。
業界関係者(?)必読。 -
この生き残り策には愛想が尽きたので、もはや、離脱と思うが、もう遅い・・・。
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飽きた。
この著者の「高学歴ワーキングプア」を読んでから三冊目,そろそろ最近の大学院制度についての知識も固まってきた。
著者は一貫して大学院組織の過ち・文科省の失策を指摘し,博士課程の後の生活を大学で完結できないことを批判している。
しかし問題は他にもあるのでは,と思う。
それは,博士を雇わない企業・自治体の存在である。これらが積極的に受け入れれば別にワープアの問題そのものは解決するのではないか。
この本はいつまでも大学と文科省のみを批判しているため年月を経た続編であるはずなのに新しさに欠けていると感じた。 -
自分はラッキーだったな…。
でも、結局、実力不足で苦労してるから、世の中はそんなにうまい話ばかりではない…ということ。