- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121503367
作品紹介・あらすじ
新幹線800系つばめや787系リレーつばめ、883系ソニック、885系かもめから「たま電車」まで。話題の車両デザインを手がけ、数々の賞を受賞した水戸岡鋭治の人と仕事を一冊で紹介する。
感想・レビュー・書評
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オンラインセミナーの予習として。
水戸岡氏がこれまでデザインした電車のカラー写真を中心としたもの。
いわゆる観光列車というものにはおそらく乗ったことがないけど、九州にこんなに個性的で楽しい電車が沢山あるのはなぜだろう。JR九州の赤字からの頑張りなのか?首都圏でしか暮らしたことがないと、路線や会社の違いなど無いも同然の、画一的な通勤車両しか見たことがないのでとても驚いた。九州を電車で旅したらとても楽しそうだと思った。
・日本は元々経済だけを考えて生きてきた民族ではなく、経済と文化のバランスを取りながら、精神や心を大事にした民族。
・洋の上に和を乗せるから無理がある。和の文化の上に洋の文化を乗せる。
・戦後欧米的に自己主張することが常識になっているが、日本人のDNAには合わない。対立構造を作って居心地の悪い社会になっている。
・赤字こそ創造と変化のステップ。
・人が集い、安心して心地よく過ごす時間と場所を作り出すことがデザイン。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
<目次>
第1章 作品集
第2章 仕事の現場
<内容>
JR九州の列車デザインで有名になったデザイナー、木戸岡さんの本。列車に寄る本かな?と思ったが、実際は木戸岡さんの仕事への立ち位置とアドバイスの本だった。第2章は意外と熱い。印象的だったのは、列車のデザインのコンペでも、絵ではなく言葉でプレゼンをすること。その方がイメージを共有できるという。そして、仕事をきちんとすること。信頼関係を作ること。対立関係を作らないこと、など仕事に対するイメージが鋭いし、理にかなっているような気がする。 -
工業デザインの、というか鉄道デザインのカリスマ水戸岡氏のJR九州での仕事を中心に網羅的にカラー写真で紹介して、後半はエッセイという構成。
水戸岡氏のデザインに臨む気持ちが伝わってきてとても楽しく読めた。 -
(特集:「箱根登山鉄道を知る」)
↓利用状況はこちらから↓
https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00511230 -
前半は鉄道の写真集で、後半は水戸岡さんの想いをまとめている。鉄道は昔から好きだったが、より一層好きになったのは、水戸岡さんの影響が大きいなぁと思う。九州の人間なので、JR九州車両には誇りを持つことができる。水戸岡さんは、やはり素晴らしいデザイナーだと改めて思います。。
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水戸岡さんのデザインした電車、すてきですね〜。実際に乗ったことがあるのはひとつしかないのですが、もっともっと乗ってみたくなりました。
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第2章の仕事の現場の章の水戸岡さんの話を読んだ上で水戸岡デザインにもっと触れてみたいと思わせる本でした。真摯で、常に成長することを怠らない姿に感銘を受けた。
比較しない、不都合を受け入れる、対立構造をつくらないという仏教の言葉も印象に残る。 -
単なる電車好きのためだけの本ではなく、企画とは、デザインとはどのようなものか、深く知ることができた、優れたビジネス書です。
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JR九州をはじめとして、鉄道デザイナーとして名を知られる水戸岡さんのデザインした鉄道車両や駅を写真で紹介し、後半でデザイナーとしての考えを文章で語っている。写真パートが多いので、読む時間自体は非常に短い本。
写真部分は、目を通して感情へ直接的に訴えかけてくる。単純に言えば「これに乗りたい」「この駅に行ってみたい」という感情。考えさせられることはいい意味で少なく、せいぜい実際に行こうとしたらどういう旅行プランがいいか、と考えるくらいしかない。
文章部分は、反対に文字を通して直接的に考えさせられる。特別難しいことを書いているわけではなく、じゃあこういう考え方を自分の生活に取り入れるならどうか、とかそういうレベルでの話。
デザイナーになるだけなら絵を描けたらあるいはなれるのでしょうが、デザイナーとして成功するためにはそれをとりまく人全体を見渡してそれをある意味では「デザイン」せにゃいかんのかもしらん。読了時間が短い割にはなんか感じ入るところの多い本でした。
鉄道趣味的にはそれほど高度な内容はなく。「鉄道に多少興味がある」程度のライトさで十分読める内容の本。いい意味で軽く手にとってほしい一冊です。 -
元々はイラストレータ。
あるホテルの人の目に留まり、そのホテルのアートディレクションを。
その沿線にリゾート列車を走らせる計画があり、
JR九州にデザイン車両を提案。
以来、色と素材に目をつけた提案で次々とヒット。
心と体で気持ちよくなるものを作る。
職人による木、本革、ガラス、アルミ、鉄、い草。
自然素材を使う。プラスチックは見せない。和の感性。
産み落とされた瞬間の自然な反応を五感で感じ取る。
納品の最後の瞬間にも立会い、緊張感のある現場作りをする。
一緒に仕事する世代と同じ歩幅で動く。
デザインする前の基本認識
1.まず考え方を決める。
2.利用者の立場に立つ。
3.コストパフォーマンス意識の徹底。
4.好み・趣味・アートは二の次三の次とする。
好き嫌いを言わない。
不都合を受け入れよ。
デザインの幅が広がる。
自分流では人は伸びていかない。
先人がやっている流儀を身に着ける。
正しいデザインを生むことができる。 -
水戸岡さんがデザインされた作品と、仕事観を知ることのできる一冊。
紹介されている車両の美しさに、言葉を失います。
車内の写真だけ見ていると、それは和の空間の建築物のようにしか見えなくて、この贅沢な空間に触れるチャンスの多い九州に住めることのありがたさを感じます。
「人が集い、安心して心地よく過ごす時間と場所を作り出すことがデザイン」と仰る水戸岡さん。
作品からも、その仕事観からも、学ばせていただくことがたくさんあり、目も、心も、満たされる一冊でした。 -
1-8 工業技術論・技術史
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日本伝統の匠の技なればこそ成せる機能美と造形美に魅せられる。外観のみならず内装にも細部への配慮とこだわりが感じられる。ユニークなもの、かわいいもの、ゆとりとぬくもりを漂わせるレトロなものなど、収められているものはバラエティに富んでおり、ほっこりほっとさせられる。
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JR九州の車両などのデザインを手がける水戸岡さんの著書。
すべてのデザインが良いとは思わないが、JR東海やJR東日本には出来ないデザインに取り組む姿勢はすばらしい。
自治大学校の講義ではじめてお目にかかり、「志」の大切さを教わったことを思い出しました。 -
この一冊で水戸岡さんの仕事内容が全て分かる。水戸岡さんデザインの車両が写真付きで掲載されているので読めば乗車したくなる。どの車両も個性的でどういうコンセプトで設計されたかも解説されているの。この一冊で水戸岡さんのファンになること間違いなし。
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三葛館新書 536||MI
和歌山電鐡貴志川線のいちご電車、たま電車、おもちゃ電車に乗ったことがありますか?
最近では九州新幹線など楽しく斬新なデザインの電車を設計し、数々の賞を受賞した著者の一流の仕事を紹介します。
楽しい夢を具現化してくれる工業デザインのトップランナーが作ったいつかは乗ってみたい電車を探してみてはいかがですか。
「旅はやっぱり鉄道!」と思ってしまいます。
和医大OPAC → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=61563 -
立ち読み:2010/2/2
[Good]
カラー写真いっぱいで楽しい。
和歌山電鉄にはたま駅長だけでなくネタ電車がいっぱいということが分かった。おもちゃ電車とかたま電車とかいちご電車とか…。 -
残念なことに僕は電車のデザインにはあんまり興味がないみたい。好きな人はきっとこの写真を見ているだけで楽しいんだろうなと思いつつも面倒くさくなってしまう。デザインの意義っていうのは表層のデザインよりもむしろ意図にあると思っているので、後半の文章の方を読むことにした。読み始めは、頭よりも手を動かすことが多い人にありがちな薄っぺらい誰もが言えそうなことばっかり書いてある…とがっかりしたが、読み進めていくと少しずついい言葉が出てきて、初めあんなこと思わなければ良かったと申し訳ない気持ちになった。
水戸岡鋭治さんという方は今日初めて知りましたが、あらゆるデザインをされてる方みたいなのですごい人なんだろうなぁ。鉄道デザイナーってあまり聞いたことがないので他にどんな人がいるのかちょっと興味が出てきました。
「車両はひとつの街並みである」
「米仕事と花仕事」
「好き嫌いを言うな 不都合を受け入れよ」
「仕事は、時代が求めることを表現すること」
「対立構造を作らないこと」
「才能はお金に換えるものではなく、文化に変えていくことこそが大事である」 -
水戸岡さんとJR九州がなければ鉄道に興味なかったかも。
デザインもそうだけどこの両者のマインドがすてき! -
● だから、和の文化の上に洋の文化を乗せる分にはいいのですが、洋の上に和を乗せるのはちょっと無理があるはずです。
● 「米仕事」と「花仕事」が半々ぐらいになっていれば、それは本当によい仕事なのでしょう。
● わたちたちは戦後、欧米的な考え方を受けたことにより、自己主張することが常識になっています。これは日本人のDNAには合わないと思っているのです。たとえば「談合」というものがあり、いま、批判にさらされています。しかし、人と人がうまくコミュニケーションをはかり、豊かな生活を送るためには、談合も悪いことばかりではないはずです。無用な戦いを避ける知恵こそ、本来の談合だととらえることはできるのではないでしょうか。
● 発明とかアイデアとかいうのは、神様が与えてくれたプレゼントだと、とらえなくてはいけません。個人が権利を確保してお金を儲けようとする。そうした態度じたいが、わたしにはあまり好ましいものとは思えないのです。すべてを「権利だ、権利だ」といっていると、人間の成長と進化が止まってしまうのではないか、と危惧しています。 -
まっとうな公共デザインを、自分の身の丈から語ってる。JR九州についていえば20年にわたる「コツコツ」した積み上げがあったわけで、その思想を共有・継続していける企業風土とかも改めて考えた。新型特急に某デザイナーを起用した某社は、例えば、それ一本だけだろうことと比べてみればいろいろ思うところいっぱい。
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いいコンセプトとは「志」のこと。言葉で志を表現して、意思統一を図る
プレゼンはクライアントと同じ目線で。机にボードを置いておき、いっしょに歩きながら説明する
能力は実際に使うことで蓄積される訳で、いつも自分の能力全て出していることが、次のチャンスや出会いを生む
いつも努力して勤勉に働いていなければ、せっかくチャンスが来ても良い仕事はできない。先のことばかり考えず、いま与えられた状況の中で精一杯努力して、人と豊かなコミュニケーションを交わしながら自分にできる作業をコツコツとやるしかない -
もらいもの。
カラーの図版が数多く収められている。ああ、あの車両も、あの車両も!となる。デザインとは、ということを、数多くの仕事をこなしてきた経験を踏まえ、いろいろな角度から光をあてるような短い文章の連なりをもって、教えてくれる。経験とは、を考える。