スマホチルドレン対応マニュアル - 「依存」「炎上」これで防ぐ! (中公新書ラクレ 495)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121504951

作品紹介・あらすじ

スマートフォンを手放せない子ども、「スマホチルドレン」。その存在の裏にリアル社会の「闇」が見え隠れする。この本は現場で問題解決を試み、講演を重ねる著者と、その背景や段階別対処法を探っていく。LINE株式会社・田端信太郎氏との対談も収録。手遅れになる前に一読を!

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:B1/5A/495/K

  •  寝ても起きても四六時中スマホをしている中高生は、どんなトラブルに巻き込まれやすいか、それを防ぐにはどうすればよいのか、親(あるいは教員)としての何を知っておくべきか解説したもの。著者は元中学校の先生。
     「スマホは従来のガラケーに比べ、さまざまなことができます。よい使い方をすれば可能性は大きく広がりますが、間違った使い方をしたときの代償は、計り知れません。」(p.42)という言葉は、まさにその通りだと思う。さらに、その子たちにとって、スマホは危険です、という大人の言葉がどれだけ空しく響くか、「子どもの多くは、スマホについて語る大人を冷ややかな目で見ています」(p.82)という部分も納得できたし、ここを理解しないといけないと思った。「非常に悲しいことではありますが、『不幸な結末に至った事例』をもとに話すことが効果的」(同)だそうだ。とかくスマホやネット、ゲームに関しては、子どもの方が優位に立っている、という点が厄介だ。何かあったときに母親に相談しにくいのは、母親が「暴走」するからで、それを防ぐためには「何か困ったら必ずお母さんに相談してね。お母さん、ネットのことは詳しくないけど、一緒にまずはどうしたいか考えようね。勝手に誰かに相談したり、大騒ぎしたりしないから」(p.114)という、「暴走しない約束」をするとよいらしい。と言って、暴走してしまったりしたら、もう子どもとの信頼関係もあったものじゃない、と思うのだけれど。あとは「使用ルールの決め方」(p.120-8)、『ネット依存症』という本からの「依存度チェック」(p.141)が参考になった。
     ただ全体的にこの本自体が、空しく感じてしまうのは何故なのかと思った。1つはやっぱり著者自身がタダのおっさんみたいな感覚で、「大人の常識が通じない」と嘆き、中2対象の講演会で「私はとっさに『常識で考えればわかるでしょう!』と声を荒げてしまいました。」(p.100)というあたり、「用意された答えを持ってそれを当てはめようとする大人」を地で行く感じがする。もちろん、著者自身もそのことはよく分かっていて、「考えるきっかけを与えないと、なかなか中高生はこういった問題を自主的には考えない。考えたとしても、大人が方向性を暗に定めていることに気づけば『優等生発言』に終始しています。」(p.202)など、とにかく押し付けではなく語り合うことだ、と何度も述べているが、でも結局はそういった「話し合い」が、「依存」させてしまう程の魔力に立ち向かう程の有効な手段には思えない。しかも「暗に定めていることに気づけば」とあるが、気づくも何もそういう話し合いの場を提供した時点で、どの子どもも押し付けだとしか思わないのではないだろうか。本のサブタイトルには「『依存』『炎上』これで防ぐ!」と勇ましいが、結局はいかにも教員の用意する模範解答、そして失敗事例を見せつけて抑止しようという、警察的な手法、など、なんだか物足りない印象を感じた。同時に、この本の執筆は2013年初めからだそうだが、すでに色んなことの内容が古くなっている点、あっという間に内容の鮮度が失われることが実感でき、刹那的な内容を一生懸命取り上げた本、のような印象を持ってしまう。
     もちろんスマホ対策として役に立つ部分もあり、まとめられているものを1冊、という意味ではとても有意義だが、タイトルほどに画期的な本ではないように思えた。(17/04/19)

  • ムスコがDSiを買った時に、なんか検索してアダルトサイトが出てきちゃって、それでフィルターかけたな~。
    で、解除したい時はパスワードを私が入れるんだけど、ちゃんと横向いてる。ある友達は、親のパスワード知ってるから、フィルター関係ないらしいとか言ってた…。

    これだけ広く使われるようになったら、危険性と使い方をちゃんと教えていかないといけないよね。
    そして何か問題があった時に、相談される大人でいたい。

  • 「スマホチルドレンの憂鬱」につづいて竹内先生の著書2作目読了。平易な文章で、学校の先生・スマホを与える保護者にぜひ読んでもらいたい一冊。

  • LINEもいい迷惑だろうな。昔だったらこういうところで標的にされるのはどこもやソフトバンクだったのだが、こういうところにキャリアが出てこなくなってしまったのは、キャリアの完全な土管化

  • 原因論にかなりの問題が見られる。そもそもスマートフォンの利用率が大幅に上昇する中で、睡眠時間や勉強への自信などと言ったものの違いの原因を「スマホ」に還元させることは極めてむりがある。データ的な面からしてもかなり甘く、さらに現代の若年層に関する認識は劣化言説に潤色され、「スマホチルドレン」なるカテゴライズを現代の子供にしてしまうのはかなり暴力的と言える。

    対策面での記述は特に問題のある箇所は見受けられないが、「スマホチルドレン」なる言葉によって現代の子供たちへの差別的な見方を強化させないか心配になった。

  • 「スマホチルドレン対応マニュアル」を本棚に登録しました。/ http://booklog.jp/item/1/412150495X

    「対応マニュアル」というタイトルに偽りなく、スマホネイティブ世代の子供達といかに大人たちが付き合って行くかをまとめた1冊。大人も「若い子達の間で流行ってることは分からない」と言ってる場合じゃないんだなあと思いました。本当、今の時代に子どもを育てるって大変だ。


    読めば読むほど「今、中高生じゃなくて良かった」(もしかしたら大学生でも同じような感じなのかもしれないけど・・・)と心から思いました。こんな四六時中、学校とか各種の人間関係を意識し続けないといけないなんて無理( ;´Д`)
    テスト前ですら、携帯でコミュニケーション取らないことに「親がうるさいから」とか何らか言い訳が必要なんて、ある意味かわいそう。

    あと、今の子達はスマホでゲームしたり、LINEしたりしたりに忙しくて視野が狭いため(テレビ見ない、新聞も読まない)いわゆる「常識」というものが通じなくなってきているらしい。「常識」ってそのうち死語になりかねない勢いで。
    そういう人々ともこれから一緒に働かないといけないのだなあと思うとそれもなかなか大変そうな・・・。

  • ポケベル→PHS→ケータイ→スマホ,とここ十数年でものすごい進化を遂げた。特にLINEは,便利な反面,子供同士のトラブルやいじめにもつながる。
    だから,子供たちには触れさせないのが本来はベターだ。しかし,実際のところ,スマホを持たないまま大人になる子はいないであろう。
    大人は最先端のスマホ事情を知らなければならないと思った。何が危険でどこが便利なのか。それを知らないままに頭ごなしに禁止を叫ぶことはできない。

  • 教育の現場、地域、政府機関等において、
    子どものネット依存などの問題に対し向き合ってきた著者が
    子どもたちを取り巻く背景、
    ネット依存などの問題への対策について解説した本。

    「スマホは悪いもの」「与えない」「取り上げる」では
    済まなくなっている世の中だからこそ、
    スマホについてよくわかってない
    大人にこそ読んでほしい本。

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著者プロフィール

【著】竹内和雄 兵庫県立大学環境人間学部准教授

「2022年 『「『生きる』教育」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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