マーケティングのすゝめ (中公新書ラクレ 567)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121505675

感想・レビュー・書評

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  • マーケティングとは何かを教えてくれる。コトラー先生のマーケティング3.0のエッセンスがわかる。ネスレのマーケティングの具体例がわかりやすい。マーケティングの初心者必読の本。

  • 2016年の本なので最新という訳ではないが、ネスレ日本のマーケティング戦略と組織改革、そしてその取組みをマーケティングの大家コトラー氏がどう評価しているのかがわかる良著でした。

    経営者だからこそ出てくる数字などもあり、現代経営におけるマーケティングの重要性と、イノベーション&リノベーションの違いや定義などもわかりやすく書かれています。
    マーケティングはプロセスで、イノベーションは結果であるという高岡氏の主張も同感です。

  • アフィリエイトやブログを始めると、”マーケティング”、を何度も見かけるようになり、胡散臭くて薄っぺらいものかと思ってた。

    しかし、「消費者のニーズを掴み、そのニーズの解決策を提示する」ことだと知り、世に溢れるサービスがマーケティングで支えられていると理解してからイメージがガラリと変わった。

    著者はコーヒーで有名な”ネスレ”のCEOで、ネスレのコーヒーメーカーが誕生した経緯も載っている。

    特に、ネスレのコーヒーメーカーが単なる”自動でコーヒーを入れる機械”ではなく、
    ・ビジネスマンが負担するコーヒーを無料で提供する
    ・既存の売り場やサービスに設置して、消費者にくつろぎを与える
    という意義を知って、商品がいかに現実を変える影響力があるのかを理解した。

    また、コーヒーに関わる飲食業界しか参入できないかと思いきや、自動車業界や企業団体にも参入しており、全てはコーヒーを利用したマーケティングで実現されているのも驚いた。

    どんな商品やサービスだろうと、消費者の心を満たす物を提供する(マーケティング)があれば、ビジネスになり、お金を生み出せる。

    ならば、個人でもネットを駆使して稼いでいる人がいるのも頷ける。

    こうしている今でも商品やサービスが生まれ続けてるのも、マーケティングのおかげだと理解できて、世の中の仕組みを少しながら理解できた。

    イノベーションについても解説されているので、ビジネスを学ぼうとする人にはおすすめ。

  • コーヒーで有名なネスレの日本支社長をされている、高岡氏と、近代マーケティングの生みの親とも言われている、コトラー氏との共著です。あの有名なコトラー氏の本の解説本ではなく、コトラー氏が他の人と一緒に本を書くなんて、私にとっては驚きでした。

    コトラー氏は今でも多くの企業で使われている、マーケティング戦略を多くの形で提唱されてきた人ですが、進化し続ける社会に対して、その理論も進化させているようです。

    その考え方を理解して、実行にうつしている企業のリーダーが、高岡氏です。この本では、高岡氏が全て、自分の会社で実績を収めたことがベースになっているもので、説得力があります。

    多くの人がある程度のものを保有していて、何を求めているのかは、明確になっていないことが多く、従来のマーケティング調査は通用しない時代になっている中、如何にして問題を掘り起こすか、それを解決するには、どうすべきかがこの本には書かれています。ここでの事例を、私の勤務している業界には、どの様に応用できるのだろうか、と考えながら読んだ本でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・モノによる問題解決から、サービスによる問題解決に軸足を移さなければ、顧客の問題を解決できなくなっている(p11)

    ・コトラー氏いわく、マーケティングとは、自社と自社以外との差別化を図り、ターゲット顧客層を絞り込むことを意味する。1)自社が提供できる価値は何か、2)自社にとっての顧客は誰か、3)顧客が好み、欲しているモノ・サービスは何か(p27)

    ・顧客にとって価値のあるモノやサービスを通して、顧客の問題解決のお手伝いをすること、これがコトラー氏による、マーケティングの定義(p27)

    ・ネスカフェのコーヒーマシーンは、4Pのなかで軽視されていた、流通チャネルに焦点をあてた(p51)

    ・高岡氏の定義する、マーケティング1.0:製品中心の製品管理、マーケティング2.0:消費者志向の顧客管理、マーケティング3.0:価値主導の、消費者の価値観に訴えるブランド管理(p58)

    ・セグメンテーションを行い、標的セグメントを選び、ポジショニングを定め、4Pを提供して、製品を中心にしてブランドを築く。このマーケティングが有効なのは、製品が不足している新興国でのみ有効(p64)

    ・マーケティング3.0では、消費者の気づいていない潜在的なニーズを探り、顧客を全人的な存在として扱うことを意味する。2.0の時代に有効とされたマーケティングリサーチに頼っても他社との優位性を築くことはできない。潜在化したニーズで競争すると、ただの価値競争しかもたらさない(p65、67)

    ・自社が最大の便益を提供できるセグメントを狙うことが必要である、グローバルセグメント(製品機能には喜んで割増価格を払う顧客)・グローカルセグメント(品質はグローバルだが機能はローカルな製品を安い価格で手に入れたい)を狙うべし。ローカルセグメント、ピラミッド底辺セグメントは狙わない(p70)

    ・ネスカフェアンバサダー、プログラムは、社内の会話を増やしたい、人間関係を良くしたいという顧客の願いを叶える取り組みである。コーヒーの味や品質の問題解決ではなく、レギュラーコーヒーを一杯ずつ飲むことが不便になったという顧客に対する問題解決(p83、100)

    ・カーシェアリングとは、車を所有するためのコストをなくし、車を持つという価値ではなく「車を使用する」という価値を提供する。若者にとっての車に関する問題が変化したことに気付いたから、こうした問題解決が生まれた(p97)

    ・日本のスーパーが集約できないのは、生鮮食品を扱っていて、その生鮮食品が地域によって少しずつ異なるので、全国レベルの大きなプレーヤーがバイイングパワーを発揮できない構造になっている(p102)

    ・農村タオバオは、購入した商品を数日でタオバオに届けて、購入者はそのタオバオに商品を取りに行くという仕組み。これにより配送網が整備されていない農村に住む人(6億人)も利用できるようになった(p126)

    ・第三次産業革命の中心となるインターネットは、新興国でも、多くの人がモバイルフォンを持っているので、問題解決が世界中に広がる。かつて先進国が作り上げてきた、インフラ・ブランドが通用しなくなる背景がある(p128)

    ・日本ではスーパーマーケットと、コンビニがあり、24時間いつでもモノが買えて、品揃え豊富、安全性も担保されているので、他の国のように、e-コマースの必要性を感じない(p129)

    ・食物の劣化には2種類あり、1)微生物の働きによる「腐敗」、2)食物が持つ酵素の働きによる「酸化」、酸化により、食物の味や香りは落ち、食物に備わっている栄養素も少なくなる。しかし冷凍(マイナス10度以下)すれば、そのリスクはほとんど避けられる(p136)

    ・スーパーとディスカウンターの間に業績の差ができたのは、ディスカウンターが生鮮食品を扱わなくなったことが原因、食材の廃棄コストがかからない、冷凍ものに限定できるので従業員数を減らせられる(p137)

    ・冷蔵庫付きトラックは、輸送コストがかかるが、人件費が下がって廃棄コストがなくなれば、そのコストアップは吸収できる(p139)

    ・イノベーションとは、顧客が認識していない問題の解決から生まれる成果、これは顧客が認識していない問題を「発見」することが何よりも重要である、リノベーションとは、消費者調査で把握可能な、顧客が認識している問題を解決することにより生まれる成果。本当のイノベーションであれば、長い間利益を享受できるはず(p155、160)

    ・第一次産業革命の蒸気機関に対して、第二次産業革命では内燃機関が生み出された、この時のエネルギー革命は石油と電気が中心、電気は工場機械の動力源となった、第三次産業革命では、エレクトロニクスやITといったテクノロジーによって自動生産が進んで生産効率が高められた(p170)

    ・アップル社は、アプリの開発を自社だけで手掛けようとしなかった、問題解決をしたい人はだれでも、それぞれが感じている顧客の問題解決方法をアプリとして設計でき、それをユーザーが利用することによってお金を稼ぐ仕組みを作った点が、アップルのイノベーションである(p172)

    ・データはそもそも顧客の問題解決をするための手段であり、データそのものは無償提供されるべき、データの開示が問題解決につながり、その成果に対するコミッションを支払うのであれば理解できる(p176)

    ・リノベーションが通用するのは、新興国のようにモノが不足していて、労働コストが安く、生産効率を高めて、安くて品質の良い製品を作っていれば売れるときだけ(p184)

    2017年2月5日作成

  • 第1章のコトラー教授と高岡さんの対談は読む価値があった。マーケティングの出発点は「顧客の特定」「顧客の問題の特定」。また、デジタル領域の重要性が語られる。
    ネスレの高岡さんは認識されていない顧客の問題の特定について、リサーチでは把握できない、と言い切っている。が、では、どうしたらよいかの方法論までは描かれていない。本当にリサーチでは把握できないのか?リサーチではイノベーションは生まれないのか?
    第2章でコトラー教授がマーケティング4.0の時代だと言い出しているが、その背景にマズローの欲求5段階説を置いている。マズローの欲求5段階説は説得力は確かにあるのだが、何かというとこの説がでてくると、本当にそうなんだろうか?と疑いたくなる。物事の整理の上で便利な考え方と捉えればいいのだろうが…。

  • ネスレ高岡さんと、マーケティングの大家コトラー氏が、現代におけるマーケティングとは何か、流行り言葉であるイノベーションとマーケティングとのの関係、イノベーションとリノベーションとの違いについて語ります。よく使われる言葉ではるが、人によって使うニュアンスが異なる言葉を、しっかりと定義してい頂いたのはとても意味があることだと思います。マーケティングに関わるひとはもちろん、そうでない人にも大変参考になる一冊。お勧めです!

    ・マーケティングを行う上での大前提は「顧客の特定」と「顧客の問題の特定」。当たり前のことだが、この当たり前のことが出来ていないことが多い。マーケティングとは「特定の顧客が抱える問題を解決するプロセス」と定義するべき。

    ・顧客は広く一般的に言われる消費者、サービス利用者だけではなく、あらゆるステークスホルダーをさす、つまり自分以外の人は顧客として捉える広い視点が必用。

    ・顧客の問題は2通りある。顧客が理解できている問題、と、顧客が認識できていない問題。前者をリノベーション、後者をイノベーションと位置づける。

    ・マーケティングは行為であり、イノベーションはその行為によってもたらされる結果。イノベーションを起こせ!と言う掛け声はナンセンス。その為のマーケティングの改善に集中しなければならない。

    ・顧客の認識してない問題を発掘するには、日頃から考える癖を付けるしかない。この癖は意図しないと身に付かない。

    ・マーケティングの4段階。
    1.0:製品中心。発展途上国等のモノ不足で需要が潤沢にある場合に、良質なものを極力安い価格で提供する。製品管理が中心。
    2.0:消費者志向。ある程度ものが行き渡り、消費者を満足させることに知恵をしぼる段階。
    3.0:成熟社会に突入。物の価値<コトの価値にシフト。より良い社会への貢献等、消費者の価値観に訴える。
    4.0;個々が持つ自己実現を叶えるサービスを伴うもの。

  • ネスレの社長の高岡さんと、あのコトラーの共著。ふたりの対談から始まり、コトラーによるマーケティング1.0から4.0に至るまでのやさしい説明。続いて高岡さんの基本と持論、ちょっと自慢話があり、最後に「コトラービジネスプログラム」という通信講座の宣伝。マーケティング、顧客の課題、イノベーションについてなど、わかりやすく書かれていて、マーケティング初心者、マーケティングのことを良く知らない人にまで広くおススメ。

  • デジタル時代においてグローバルマーケットで勝つためにマーケティングが果たす役割とは何か。商品に対する消費者(顧客)の意識的な欲望だけでなく無意識な思考も追及することが21世紀型のマーケティング重要なテーマである。現在では商品のブランド構築をあらゆるインターネットで顧客につなげeコマース(電子商取引)でより身近になった。「より良い生活」を21世紀型マーケティングによって変化することで世界レベルの勝つための視点を提言する。

  • 勉強になった
    ネスレの宣伝としても活用されていそうだとは思うが、心に響く文章がたくさんあった

    中でも、働くということは答えのない問題に向き合い続けること は印象に残った

    マーケティングを難しく考えすぎず、時代の変化を捉え、問題を解決することで人々を幸せにしたいと思うことが大切なんだろうなと思った

    イノベーションとリノベーションの違いもよく理解できた

    考えることから始めて、本書の内容を少しでも活かせたら良いな

  • 実はコトラーってまだ読んだことないので、導入にでもということで買ってみた。
    コトラーの書いてある箇所はあまりなく、ネスレ日本の高岡氏の話ばかり(やや自画自賛的雰囲気)ではあったので、若干違ったなぁ、とは思いましたが、「顧客にとって価値のあるモノやサービスを通して、顧客の問題解決のお手伝いをすること」というマーケティングとは何か、という話やマーケティングの変遷等を中心に分かりやすく話が纏まっていたので、ある意味良かった。入門に良いですね。

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著者プロフィール

ネスレ日本株式会社代表取締役社長兼CEO


「2017年 『世界基準の働き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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