立て直す力 (中公新書ラクレ (666))

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121506665

作品紹介・あらすじ

企業の相次ぐ偽装、役人の文書改ざん竄・不適切会計、心身を病む会社員、のっぺらぼうの日本社会。なぜ、こんな世の中になってし企業の相次ぐ偽装と心身を病む会社員、役人の文書改ざん・不適切調査、長すぎる老後への不安、そしてのっぺらぼうの日本社会。なぜ、こんな世の中になってしまったのか? 

本書は「壁」を前に立ちつくし、苦悩を抱えて生きるすべての人に向けて書かれました。いつだって失敗はありますが、失敗したときこそが勝負です。私たちを活かす力を持つ宗教や「悪魔祓い」のエッセンス、日本の心を宿した先人たちの言葉をとおして、「立て直す力」を熱く提言します。

感想・レビュー・書評

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  • 将来への投資と今への投資


    大学の講義の中で、
    「評価のポイントはどこになりますか」と質問する生徒の話があったと思う。

    振り返ってみると、自分にもその傾向はあった。

    学ぶことに楽しみを感じる今の自分から見るともったいないな。

    「目的への疎外」、老後のお金の心配をしすぎて、いま楽しめていないと思ったことを思い出しました。

    将来への投資と今への投資とを両立できるよう、生きたいと思います。

    勉強になった箇所
    ・古代ギリシアには 自由市民と奴隷がいました。自由市民とは ソクラテスやプラトン アリストテレスのような人たち。人間にとって世界にとって良きことは 何かを根本から議論し探求する人たちであり 国家をどのような方向に導くかを決める人達です。一方で 奴隷とは 自由市民の指示で動く人たちでした。そして「リベラルアーツ」永遠 自由市民が持つべき 素養であり 奴隷と自由市民 を分かつものだったのです。リベラルアーツとは リベラル+アーツ。「人間を自由にする技」です。
    ・先ほどのお守りもそうですが日本人の多くは無宗教だと言います 周りは宗教ではないと。でも もし日本に来た外国人が目の前でお守りをハサミで切り刻ん パフォーマンスをしたらどうでしょうか?多くの日本人はとても嫌な気分になるのではないでしょうか。そして「日本人の大切なものが踏みにじられた」「日本の精神性が傷つけられた」「日本への冒涜 である」と言って憤慨し その会 告知を育つせようとか 報復しようとか言い出す人も少なくないような気がします。「お守り」一つにしても 実はそれだけ 日本人の存在の深い事件に関わっているのです。
    ・浄土とは呼びかけの世界。私より先に来た人は 浄土という精神世界から今を生きる者たちに呼びかける存在となる。「迷うな 生きろ」と。だから後に着る人は先祖をとぶらうのだ。多くの人々が 限りない 命と光を仰いで生きてきたように・・。
    ・重兼芳子さんから次のように言われた事が大きかったと思います。「現代社会のやんだ 真相があり だからこそ そこに目を向け 動かなければいけない 仏教は一体何をしているのか。仏教が命やその延長線上にある死を真正面から捉えず、過去の遺産の上にあぐらをかき、その遺産を食いつぶす か の ごとき 好意をどう考えるのか。命の終末を迎える人々の苦悩や家族の日かを支えることもしないで生理に走る 仏教は宗教と言えるのか」
    ・悪魔祓い。・・・人生どんなに苦しんでも こうやって村人が集まってきて 悪魔払いの儀式が行われて必ず助けられる。人間どんなに苦しんでも回復するものなんだということが 肌身に染みついていくのです。
    ・このように 常に今ここにいるということの意義が未来の目的を達成するためなのだと、 常に「目的への疎外」経験することで 私たちは今を楽しめなくなっています。今アリとして生きていく その目的を達成する生き方をすると心から楽しめる時間は非常に少なくなってしまうのです。
    ・祭り ボランティア PTA ファミリービジネス・・・に共通しているのは、「人生の複線化」です。つまり 会社など職場の価値観で評価されるのではなく自分が生きる意味や価値を構成できる場所や人間関係を持てるようにしようという話です。
    ・ダライラマの言葉。・・・さて 縁起の法というのは、どういうことでしょうか。それは悪い種をまくと悪いことが起こってしまう。だけど 反転して考えてみれば良き 種をまけば良いことが起こるということです

  • 上田紀行の最近の考え方を知りたくてこの本を選んだ。前の対談では若さが目立った。話も難しい。それが年齢とともに丸くなってるのが嬉しい。
    単に世間の生臭坊主と批判するのでなく、どのような道を目指すのがよいのか、住職は?一般の人は?それを易しく書いてある。

  • 仏教を立て直す力でした。仕事やら人間関係やらで立て直したいと思って読んでも無駄。松は松、竹は竹って話はためになった。俺は俺。

  • ●行きづらくなった社会で、人生を立て直す力として、宗教等を取り込んでいけばいいかを考える。
    ●評価軸を考えてレポートを書く、受験で受かるための訓練をやり抜く、とにかくそれに合わせてチューニングして振る舞う。自分の考えはさておき、目的を達成するために、「奴隷化」していると言わざるを得ません。

  • 上田紀行のエッセンスを、本人が詰め合わせて提供する、講演録風の作品。この本の中で紹介されている『がんばれ仏教』は読んだことがあるが、紹介されている他の作品も読んでみたいと思わせられる。著者のメッセージには説得力がある。多くの人に読まれるとよい。

  • 宗教、特に仏教おすすめしますよ、なんだけど。宗教アレルギーのほうをもうちょっと書いてくれても。

  • 「自分には価値がない」「人生をもう一度やり直したい」と立ちつくしているあなたへ。悩みを消し去り、幸福に生きるための「処生術」

  • 失敗してからが勝負 !著者渾身のメッセージ
    「自分には価値がない」 「老後に何をしていいのかわからない」 「大失敗。もう終わりだ」 「人生をもう一度やり直したい」
    悩みを消し去り、幸福に生きるための「処生術」
    相次ぐ企業の偽装事件、ストレスで心身を病む会社員、つづく役人の文書改竄・不適切調査、そして長すぎる老後への不安。
    なぜ、こんな世の中になってしまったのか? 社会のさまざまな「壁」を前に立ちつくし、苦悩を抱えて生きるすべての人に向けて書かれました。フィールドワークで発見したスリランカの「悪魔祓い」、偉大なる仏教思想家や志ある宗教者たちの言葉などを通して、生きる哲学としての「立て直す力」を熱く提言します。

  • 結構心を動かされる本でした。この著者とは相性がいいかもしれない。

  • 東2法経図・6F開架:B1/5A/666/K

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著者プロフィール

上田紀行(うえだ・のりゆき) 東京工業大学副学長(文理共創戦略担当)・同リベラルアーツ研究教育院教授。専門は文化人類学。特に宗教、癒し、社会変革に関する比較価値研究。著書に『生きる意味』(岩波新書、2005年)、『かけがえのない人間』(講談社現代新書、2008年)、『愛する意味』(光文社新書、2019年)など。

「2022年 『自由に生きるための知性とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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