「失敗」の日本史 (中公新書ラクレ 719)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121507198

作品紹介・あらすじ

出版業界で続く「日本史」ブーム。書籍も数多く刊行され、今や書店の一角を占めるまでに。そのブームのきっかけの一つが、東京大学史料編纂所・本郷和人先生が手掛けた著書の数々なのは間違いない。今回その本郷先生が「日本史×失敗」をテーマにした新刊を刊行! 元寇の原因は完全に鎌倉幕府側にあった? 生涯のライバル謙信、信玄共に跡取り問題でしくじったのはなぜ? 光秀重用は信長の失敗だったと言える? あの時、氏康が秀吉に頭を下げられていたならば? 日本史を彩る英雄たちの「失敗」を検証しつつ、そこからの学び、もしくは「もし成功していたら」という“if”を展開。失敗の中にこそ、豊かな”学び”はある!

感想・レビュー・書評

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  •  失敗という切り口から歴史上の人物を見ていくというのは非常に興味深く、サラッと読めた割にはためになるものであった。
     しかし正直なところ、失敗というのは一口では言えるものの、なかなかにその本人は意図してないところや、自身ではどうにもならないところからも作用されるところがあるものだとも考えさせられた。懸命奮戦する北畠顕家や武田勝頼などは印象的なのではなかろうか。
     室町時代には疎いが、やはり歴史大家の人たちの蓄積により後醍醐天皇はあまりにも過大評価されているんだなあと思わされた。
     本書と対照的に立ち居振る舞いに特化し成功した人物を描いても面白いものができそうである。

  • なかなか面白いです。

  • 平清盛、源義経、北条時宗、上杉謙信、豊臣秀吉、伊達政宗といった時代の寵児たちの失敗を紐解く。
    平清盛の京都に政権を開いたことが、武家政権を確固としたものにできなかった。
    源義経は兄の頼朝の気持ちを汲み取ることが出来ず、対立を招くことになった。
    北条時宗は、元寇で働いた武士たちに対して、自分の身を削っても領土を与えなかった。
    上杉謙信は越後という枠に括られたことと、跡継ぎについてしっかりと決めてこなかった。
    豊臣秀吉は、身内を大切にできなかったこと。そして家康に広大な領地を与えてしまったこと、朝鮮出兵など。
    伊達政宗はパフォーマンスばかりが目につき過ぎた。

    など、かなり上から目線な解釈もありますが、失敗でも歴史に名が残せることの方が偉いかなと思ってしまいますし、成功か失敗かは時代時代で解釈が変わる気もしました。

    秀吉の失敗については他の武将に比べて観点が多いのが気になりましたが、総じて言えば大局観を待ちましょう!
    でしょうか。

  • 平清盛、源義経、上杉謙信、そして織田信長、豊臣秀吉といった、歴史上の名だたるヒーロー達。彼らの犯した(?)過ち、失敗とその背景を振り返り、もし彼らがその失敗とは違う「別の道」を歩んでいたらどうなったか考察する。歴史にifは無いが、敢えてそのシミュレーションをして見るのも歴史を学ぶ楽しさだろう。

    しかし今よりも昔の人の方が、先人の歩み功績に学び、失敗から多くの教訓を得ていた筈。頼朝にせよ、信玄にせよ、あれ程他者の動向から多くを学び、糧にしていた筈の人でも、結局は「失敗」する。それも思わぬところで。

    人間は「考える葦」というより、「失敗する動物」と定義し直した方がいいのでは。

    この本で取り上げられなかったヒーローと言えば徳川家康ぐらい。一応、戦乱の世を終わらせて、二百六十年余り続く太平の世の礎を築いた事が評価されているのだろう。その彼にしても、若い頃は三河一向一揆や三方ヶ原での大敗等、かなり手痛い失敗・敗戦を積み重ねている。結局は過去の失敗から何を読み取るかが、その人の今後を左右するのだろう。
    その事自体は今も昔も変わらない。人間は昔からそんなに進歩している訳では無いし、先人達の営み(失敗も含め)から今と変わらない人間模様を読み取り解釈するのも面白い。学者先生達の今後の研究に期待したい所です。

  • 歴史から「失敗」を学ぶことに意味がありますね!
    失敗を暴かれる歴史上の人物には少しばかり同情しますが…。

  • 平清盛辺りの平安時代から戦国時代の人物の失敗を分析。リスト入りしていないのは徳川家康位で大体の連中は失敗していることになる。
    筆者も書いているとおり応仁の乱頃の辺りの人物はどうも頭に入りにくい。

  • 番組とか見て話している時はわかりやすく伝えているが、文章はわかりにくさ、理解しにくさを感じた。

  • 歴史上の人物の本当の性格はどうだったかについての考察はなかなか面白い。一つ気になったのは、秀吉の失敗として、家康を亡き者にせず放置したという点を挙げていた点。これは磯田先生の災害に関する著作で、秀吉は家康を討つ準備を着々と進めていたのが地震で全てがパーになったと書いておられ、これがかなり正解に近いような気がするのだがどうだろうか?

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著者プロフィール

1960年、東京都生まれ。1983年、東京大学文学部卒業。1988年、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。同年、東京大学史料編纂所に入所、『大日本史料』第5編の編纂にあたる。東京大学大学院情報学環准教授を経て、東京大学史料編纂所教授。専門は中世政治史。著書に『東大教授がおしえる やばい日本史』『新・中世王権論』『壬申の乱と関ヶ原の戦い』『上皇の日本史』『承久の乱』『世襲の日本史』『権力の日本史』『空白の日本史』など。

「2020年 『日本史でたどるニッポン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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