悲しき熱帯 (1) (中公クラシックス W 3)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121600042

感想・レビュー・書評

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  • 初レヴィ=ストロース。思ったよりはるかに秘境探検記。訳に少々クセがあるが慣れればむしろ読みやすいといえる。少し白人至上主義的な部分もあるが、1955年のフランス人はそんなもんだろう。

  • 記録

  • レヴィ=ストロースが百歳で没した五年前、哀悼の意をこめてとある読書会で本書を読んだ。書名の通り悲しい本である。この tristes というフランス語は「憂鬱な、暗い、うんざりする」という語感があるそうだが、まさにありきたりの感傷とはほど遠いずっしりと重たい本だ。「私は旅や探検が嫌いだ」という紀行文としてはいささか異様な書き出しは象徴的である。「文明によって乱された海の静寂は、もう永久に取り戻されることはない」という幻滅、「人類の顔に投げつけられた我々の汚物」を目の当たりにする嫌悪、そして何より自らがその幻滅や嫌悪の元凶である西洋文明の一員であることから逃れられないという自己矛盾。旅がもたらすこのような痛ましくもある著者の内省が本書をどうしようもなく重たいものにし、それが読む者の胸に突きささる。

    もちろん本書には未開社会への哀惜や西洋文明への批判に尽きない様々な顔がある。自伝的回顧に始まり、構造主義の生い立ちとエッセンス、著者の数少ないフィールドワーク、イスラムやインドを含めた比較文明論、良質の紀行文学等々、読者の興味によっていろんな読み方ができる。著者の愛したプルーストの文章を彷彿とさせる「日没」のきらめくような描写には眩暈すら覚える。しかし抽象度が高く極めて洗練されたその文体は寝転んで気軽に読める旅行記とはわけが違う。構造主義入門のつもりで本書を手にした読者も途方に暮れるに違いない。

    本書の中で著者自身が言及しているように、構造主義がマルクス、フロイト、ソシュールからヒントを得ていることは確かだが、しばしば誤解されるように〈上部構造と下部構造〉〈意識と無意識〉〈パロールとラング〉といった二元論を前提に両者の決定論的な関係を考えているわけではない。そうした誤解は構造主義が人間をあたかも構造の操り人形と看做すものだという批判を招き、それがポスト構造主義の流れにもつながるのだが、少なくともレヴィ=ストロースに関する限り、その構造概念はもっと控えめなものだ。彼のトーテムや神話分析に見られるように、それは諸要素間の差異に基づく分類体系であり、世界解釈のコードとでも言うべきものだ。そうした分類体系は差異にのみ基づくものであるが故に、別の分類体系に変換可能であり、したがって様々な社会に観察される構造の間に優劣はない。未開人は未開人なりの合理的な「知の体系」を持っているということだ。

    以上はレヴィ=ストロースの別の著作(『野生の思考』『構造・神話・労働』)やその解説書(小田亮『レヴィ=ストロース入門』)から学んだことを評者なりに再構成したものだが、こうした構造主義の基本的な考え方をある程度理解して臨めば本書の味わいも増すだろう。

  • 関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40025761

  • 前半は紀行文のように進み、後半で先住民の話しに入っていく。構造主義の始まりとして、恐る恐る読み始めたが、内容はある程度平易で、難解という印象は特になかった。
    ただし評価されている理由を理解するには読み込む必要があると感じる。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/66427

  • 南米 交換

  • 日没の描写が素晴らしい

  • 「世界は人間なしに始まったし、人間なしで終わるだろう」
    熱烈に追い求め苦労して手に入れたもの。
    また、ただただそこにあるもの。
    色々考えさせられる本です。
    あと最後の一文がいい。

  • うーむこれがなぜ必読の名著なのかわからない
    構造主義的なところはどこに出てくるのだろう

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