ある明治人の記録 改版 - 会津人柴五郎の遺書 (中公新書 252)

著者 :
制作 : 石光 真人 
  • 中央公論新社
4.33
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本棚登録 : 361
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121802521

感想・レビュー・書評

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  • 壮絶
    これも明治だ
    人生の根底を揺るがす
    出会えて良かった一冊

  • アーロン収容所を読んだ以来の衝撃。
    アーロン収容所が日本人から見た西洋ヒューマニズムの虚構を厳しく批判した作品に対し、これは東北人・幕府からみた明治維新の虚構を批判した作品と捉えた。

    自称保守の方々が賛美してやまないであろう武士道であるが、実際には武士道を忠実に貫いた東北列藩は辛酸をなめされられたわけであり、それに対して報われてきたのだろうか。(それこそ沖縄県民よく戦えりではないが…)
    明治維新をあまりに賛美する昨今の風潮に懐疑的にならざるを得ない。少なくとも、日本国民を名乗るのであればこうした歴史に対して真摯に向き合わなければいけないのではないだろうか。

  • 明治前後の過酷な環境のもと、10歳にも満たない少年が様々に感じた絶望や理不尽や苦労、その中でも生き抜け!との父母の思いに挫けず生きた柴五郎さんの声が聞こえる本。

  • この本を読みながら、次の二つのことを思い出した。1つは、国による暴力装置の独占。もう1つは、教育は社会移動の装置ということ。

    国による暴力装置の独占は、近代国家のあり方の基本だか、明治維新の時代は、暴力階層が過剰だったのではないかということである。武士階級は、江戸時代には、朱子学によって、何とか抑えられていたが、そこから解放されてしまい、暴力過多の状態が生まれ、それが、この本で語られる会津撲滅、西南戦争にも繋がったのかもしれないということ(意図したかどうかは別にして)。

    どん底に追いやられた柴五郎少年は、開設されたばかりの陸軍幼年学校に入り、そこから、立身出世を遂げる。まさに、恵まれない階層の、しかも、賊軍出身の少年が、教育を獲得することで、社会移動を実現する。明治日本には、このような社会移動装置としての教育が機能していたということ。ただ、この機能があまりにも上手く機能したことで、社会階層を固定化する装置になってしまったのが、今の状況なのかなということを感じた。

     

  • 義和団の乱で指揮を取り、この人ありと言われたと言われた柴五郎氏に興味を持って購入。

    文体が少々古いので文章にのめり込みづらいが、柴五郎氏が壮絶な人生を歩んできたことがわかる。そして清廉で高潔な人物だったんだなということがよくわかる。中国に関してはそれほど記載はないが、公平公正であり続けたのか、乱最中でも中国人から色々とサポートを受け、その人々の名前を墓場まで持ってくみたいな行があって、そういうところがまた信頼を生んだのかなと思った。明治時代の人々はこんな人々がたくさんいたのだろうか。。台湾を統治した日本人達のいわゆる日本精神を見た気がした。

    著者の想いは、会津側からみた日本の明治維新の記録といったところでしょうか。これはこれで正史とは別の流れで敗者となってしまった会津藩がどういう境遇であったか、必ずしも薩長土肥が言ってきたことが真実を語っているわけではないぞということを主張している。

    最後に柴五郎氏が幼い頃に土佐で暮らしたが、言葉が分からなくて馬鹿にされたり、なんとか入り込んだ士官学校では、フランス人の先生がひたすらフランス語でフランスの地理やら歴史やらを教え込んでいたというあたりが興味深い。

  • 有り S289/シ/17 棚:13
    一宮 小坂井も

  • 歴史の裏にある厳しさが理解できる。

  • 2020/1/28-2/3読了

  • 下手な小説よりもリアルな描写で、読んでいて引き込まれる部分が多かったです。妻の父母の実家が下北なので、知っている地名も出てきて親近感もわきました。

    文章は古い日本語体ではありますが、読み進めるにあたっても特に問題ありませんでした。

  • 歴史の教科書では学ぶことのできない(←ともすれば抹消されている)明治維新という大きな変革の中での会津藩に対する理不尽な処遇。 読んでいて苦しくなるくらいの衝撃があるけれど、本来、こういう事実こそしっかり教えるべきで、知っていなければならないなのではないか。 そんなことを深く考えさせてくれる一冊。
    ナイス

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