日本の歴史 (19) 開国と攘夷 (中公文庫)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122001213

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  • 昭和47年刊行。中公版「日本の歴史」19巻(副題「開国と攘夷」)。確かに古いが、かえって安心して楽に読み飛ばせる。教科書的記述を詳細にしたものだからだ。しかも、原文ママでないが、史料・文献の引用が多く、わかりやすい。薩英戦争、下関事件、八・一八クーデターのみならず、桜田門外の変なども関係者の手記・日記等から説明されている。ちなみに、本書では、対馬の露軍艦碇泊事件において、住民の反対・退去要請運動を詳しく説明し、これが、英公使による斡旋とも相まって露領事に対する抗議が奏効した理由だと叙述している。
    著者は、幕府の対仏接近は軍駐留、半植民地化の危険性をみてとり、厳しい目を向ける(言外に、現代日本の米軍駐留を半植民地的とみる批判かも)。他方、真木和泉や久坂玄瑞(二・二六事件青年将校も同列に扱っているようだ)ら尊攘志士を、純粋でいやらしさのない人物と評す一方、その行動は皮相的とし、「やむにやまれぬ大和魂」的行動に批判的な目を向ける。それは、過去の分析から現実を把握し、将来の展望を持つことを歴史研究の任務とみて、彼らが現実把握や将来像構築の努力を懈怠し、歴史研究を侮辱したと捉えるからだ。得心。
    個人的には、開国、以後の貿易の拡大が社会生活・経済にいかなる影響を及ぼし、その結果、倒幕・維新にどのような影響を及ぼしたのかが知りたいのだが…。また、本を探してみよう。

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