- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122011601
感想・レビュー・書評
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孝謙と道鏡の男女の仲については、高校の歴史の授業で聞いたのを思い出した。永井路子の描く八世紀後半はそんなゴシップとはレベルが違った。仏教と政治の時代が日本の骨格を作っていく。今の日本の原型はこの時代に作られたなと。次は「炎環」を読んでみよう。
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下巻では主に鑑真和上亡き後の、いわゆる古代最大のスキャンダルである女帝と僧侶のランデブーとそれを取り巻く政治模様が描かれる。
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鑑真の伝戒の精神の日本仏教における苦難の発達史でありながら、聖武・光明より引き継いだ孝謙(聖徳)女帝の、藤原仲麻呂との戦いと道鏡との愛欲政治史という感じ。
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鑑真については小学校の歴史程度しか知識がないけど、こうやってその時代を描いてもらうと、仏教の歴史含めて入ってくるものがあっていい。しかし当時の天皇がどんな存在だったか、こう書かれて見ると形無しだなあ。
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第21回女流文学賞
著者:永井路子(1925-、文京区、小説家) -
政変が多い奈良時代
まず永井先生で理解を深めて、他の軽い小説を楽しむこととしよう -
(上下巻を通しての感想です)
歴史小説、歴史考察のどちらか分類に迷いますが、渡日後の鑑真を書いたものです。日本の政権が高僧の渡日要請を指示した時と、その後の政治状況変化を踏まえ、鑑真がなぜ東大寺を出て唐招提寺を設立するようになったかを考察しています。その分析と師弟の姿の情景描写が素晴らしいです。 -
時代は、光仁天皇即位と山部皇子の立太子まで。
日本史を知るために、小説からと思い手にとった本。
永井路子さんの独自の視点から、日本の政治と仏教のかかわりあいを
描いた小説、のようなエッセイのような本でした。
登場する政治家たちのそれぞれの思惑を、見事に書いています。
鑑真一行が苦難を乗り越え来日した、
その後の一行の足取りは、実際この本で描かれているように、
優遇されたとは言いづらいものだったのかもしれません。
永井路子さんと同じレベルの目線で、この本をしっかり理解するのに、
どれくらいの勉強が必要でしょうか。
探究心と好奇心あふれる文章に、魅了されます。