ピカソはほんまに天才か: 文学・映画・絵画… (中公文庫 か 2-3)

著者 :
  • 中央公論新社
3.10
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018136

感想・レビュー・書評

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  •  評論集。絵画、広告、映画、彫刻、小説等々、幅広いジャンルにわたっての批評。あちらこちらに寄せた評論を後年に集めたようで、途中でピカソを絶賛するような文章があったのに、同じ本の最後では微妙に貶しているあたり、オイオイ……と思わないでもないけれど、末尾の日付を見ればその間に二十年ほどの開きがあった。人間、生きていれば感性も考え方も変化するものなので、それを責めるのは酷というものなのだろう。
     辛辣に切り捨てるものが七割、高評価して褒めるものが三割といったところか。さすがに書かれた時代が古くて、批評されている題材には知らないものが圧倒的に多いので、評論として楽しめたかというと、わりと微妙。知らない映画についての辛辣な批評を読んだところで感心や同意のしようもないし。(作者さんに肩入れするあまりに、なんとなくわかったような顔をして、鑑賞したこともない作品を貶したりするのは、ちょっと品のいい読み方ではないことだし……)
     しかし、時代のにおいを感じるという意味では楽しめた。絶賛されている絵画や俳優(の登場する映画)などは、機会があったら観てみたい気もする。また、開高健のファンだからこの人の人柄をもっと知りたいとか、そういう思いで読む分には楽しめると思う。

  • 色々な媒体に書いたエッセイが時系列に編集されていて分かりやすく、映画をたくさん見ているのでこの感想が面白い。

  • 変態を繰り返したピカソを“青の時代”は高評価するが、『ゲルニカ』は開高の胸を打たなかった。

    文庫独自編集、2頁以下の短文も含む芸術論42編。谷沢永一の解説が熱い。「開高健は自分の感受性しか信用しなかった」。複製でないルノワールを見た衝撃「今までの複製画集の印象は便器にながして」ヨーロッパ、米国の美術館、教会を渉猟した結論「真の芸術は押し付けがましくない」との実感からピカソを絶賛する常識に疑問を投げかける。ほか「ポスター画家だね」と一蹴されるベン・シャーンなどの作品中の「物語性」排除の風潮など/彼はメトロポリタン美術館のリキテンスタインの“コミックの一齣を拡大し彩色した”だけの作品をどう思ったか?

    日本で“異国人にため息をつかせるほどの芸術品”と言えば何だろうか?そういうものを作り出せるのは経済力にも裏付けられた文化的蓄積=国力に他ならない。写楽などの浮世絵は素晴らしいが大量生産品でありオリジナル一つしかないものではない。茶道の道具や日本画は欧米人の評価どうだろう。大阪万博の太陽の塔はなかなか。北村西望の長崎平和祈念像はどう見えているだろう?もちろん法隆寺救世観音像など仏像のレベルは(おそらく)世界一高いが、鎌倉仏教はそれらを否定した。ことに日蓮系は教祖がおもに東日本が活動範囲だけに殺風景?

  • ★2.5かな。
    出だしで躓きました、正直申し上げまして。このお方でも昔の方が良かった的発言をするもんですなぁ、これで読む気持ちが萎えました。
    まぁローマ時代からこの手の話があったということからも、どうしても自分の生きてきた時代の方が良いと思ってしまうんでしょう、戒めとして受け止めます。

  • 自分の人生がひどく薄いように感じてしまう。
    どれだけ広く深い人生を歩んでいるのかはかりしれない。ただただ、頭があがらない。

  • 1991年6月10日、初、並、帯無
    2015年10月16日、白子BF

  • 開高健の博覧強記ぶりがよく分かる本。自分自身は見たこともない映画や絵画等の評論なのだけれども、何故にか引き込まれて読んだ。

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著者プロフィール

開高 健(かいこう・たけし):1930年大阪に生まれる。大阪市立大を卒業後、洋酒会社宣伝部で時代の動向を的確にとらえた数々のコピーをつくる。かたわら創作を始め、「パニック」で注目を浴び、「裸の王様」で芥川賞受賞。ほかに「日本三文オペラ」「ロビンソンの末裔」など。ベトナムの戦場や、中国、東欧を精力的にルポ、行動する作家として知られた。1989年逝去。

「2024年 『新しい天体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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