- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122021266
感想・レビュー・書評
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敗戦直後、夫と離れ離れになりながらも満州から幼い三人の子を連れて日本へ引きあげてくる著者の体験を綴った本です。
母国への険しい帰路の中、狂気のような”男の言葉”で荒々しく我が身と幼い我が子を叱咤激励し、命からがら歩かせる姿は、戦争が変えた人間の壮絶な姿そのものです。
一方で、タイトルになっている歌の一節を夜に歌う時、離れ離れになった人を思う切実さと、悲しさ、清らかさを感じます。
”わたしの胸に生きている/あなたの行った北の空/ご覧なさいね今晩も/泣いて送ったあの空に/流れる星は生きている”
テロや核の脅威にさらされて世界が対立し、緊張状態にある今だからこそ読み返したい一冊です。
ペンネーム:マメ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
敗戦後、満州にいた家族は引き離され、やがて日本へと引き揚げてくる。
その間にあった想像を絶するような様々な出来事。
戦争の話はいくらか読んだが、こうして戦後の満州から引き揚げてくる最中の話は初めて読んだかもしれない。
夫と離れ、女手一つとなり幼子三人を連れての生活や旅はどんなに辛く激しいものだっただろう。
母は強しとは言うが、そんな言葉ひとつでは片付けられないほどの体力と気力が必要だったに違いない。
幸いにも三人のお子さんも、危ない橋を何度も渡りながら、なんとか生きて日本に帰られたようだ。
ただ、あとがきを読んで、そんな小さなお子さんだった彼らにも心には大きな傷をおっていると知った。
あの時代、生きることがどんなに大変で人間を醜くも変えてしまうものだったか。
今の人ではとても耐えることは出来ないだろうと思う。
2014.4.30 -
壮絶な体験記。
昭和二十年に敗戦した後、満州から引き揚げる際の体験を書いたものです。
夫はシベリアへ連れて行かれ、残された作者は乳飲み子、三才、五才の子供を連れて日本へ帰ろうとします。
しかし、衣食住すべてが不足し、周りの人も自分が生きのこるのに必死で助け合いなんて殆どありません。
夫が生きているのを願いつつ、子供を叱咤しながら、山や川を越え、38度線を越えてなんとか日本へ還るまでの物語です。
言葉にするのは簡単ですが、本を読むと息が詰まるほどの悲惨な状況で、それが技巧を凝らさず淡々と書かれているせいで、余計に切実さが伝わります。
同じように悲惨な体験記で「夜と霧」がありますが、女性で子供を護る分だけこちらのほうが胸に迫ってきます。
読み終わった時には、ていさんも子供も無事に還れて良かった。とホッとするほど入り込んでいました。
もう二度と戦争をしないためにも、今はどれだけ幸せか感じるためにも、こういうお話を読んでおくべきでしょうね。
凄くオススメです。 -
大ベストセラーになった本ですが、最近、ある人に薦められるまで知りませんでした。
激しい話です。最後はちと泣けてしまいます。 -
新田次郎氏の妻、数学者藤原正彦氏の母である藤原ていさんの引き揚げ体験を綴ったもの。三人の子供を連れて、満州から朝鮮を経て日本に帰って来るまでの壮絶な日々の記録。
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藤原正彦氏の「ヒコベエ」を読むつもりが 予定変更 先に母上藤原ていさんのこの本を読む
二人の子供を連れて港町大連市から引き上げてきた母の昔話と重ねながら・・・
人間追い詰められるとここまでエゴになれるのか 敗戦から故郷長野にたどり着くまでの想像を絶する日々
わたしの義父は4年の抑留生活を経験している 両親は生前この本を読んだだろうか あまりに辛くて近づけなかっただろうか
はやく「ヒコベエ」を読みたい そして「若き数学者のアメリカ」も -
藤原正彦さんのお母さんが書いた本。
満州での戦時中の話が書かれています。
前半は単調だけど、後半からものすごい描写で一気に読めます。
とても面白いです。 -
友人から勧められて読んだ。引上げの話。今まで読んだことがない内容だった。
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読みごたえ、あります。