- Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122025752
作品紹介・あらすじ
世紀末イタリア社交界の寵児にして、救国の英雄詩人ダンヌンツィオ、この異教的で耽美的な超人主義者と三島由紀夫の運命的"符合"を語り、天才文学者の謎に迫る。小説より面白い評論の可能性を実証した画期的三島由紀夫論ほか、傑作エッセイを収録。
感想・レビュー・書評
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筒井康隆が様々な媒体に掲載した書評やエッセイ等をまとめた一冊。白眉はタイトル作の「ダンヌンツィオに夢中」である。
これは、イタリアの英雄詩人ダンヌンツィオと、彼に間違いなく影響を受けたであろう三島由紀夫の類似性を暴き出し、三島由紀夫という作家の特徴を戯画的に示した小論である。三島由紀夫の持つ英雄への憧れや過剰な自己陶酔の本質がユーモラスな文体で書かれている。
三島由紀夫という作家を神聖視する人間には読むに耐えない小論かもしれないが、三島由紀夫の一部の作品はギャグ小説である、というくらいの認識でいる私にとっては、極めて痛快で面白い文章。例えば、「仮面の告白」のような作品を現代において真面目に読み、「ああ、この人はセクシャリティにとても悩んだのだなあ」という人間がいれば、そういう人はセクシャリティというものが何なのかを幼稚園レベルで考え直した方が良い。そういう点で「仮面の告白」はギャグ小説としてしか現代においては通用しないわけであり、筒井康隆の評論の俗悪さは若干認めながらも、その本質をついた叙述に手を叩かざるを得ないのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
三島由紀夫の名を一字一画たりとも出さずに書かれた異色にして出色の三島論。
ずいぶん前に単行本で読んでいた。古書店で文庫版を見つけて読み返す。
市ヶ谷バルコニーでの演説を、タモリのハナモゲラ語のように聴き取った再録は不謹慎だが面白い。
他のエッセイも楽しく読めた。 -
面白いけど、内容も書かれた年代もバラバラ......が、それより何より、だ。「自分も投稿マニアだった」に仕込まれた『遊び』って何だ!? 何度も読み返したけど分からない(>_<)。ブクログの皆さんの評(10本もないけど)もぜんぶ読んだけど、このことについては誰も触れてない(>_<)。気になって気になって仕方ないよ(>_<)。
2015.3.24
一晩寝て、やっと分かった( ´ ▽ ` )ノ。
あんな風に書けば、誰だってあのエッセイを目を皿にして文頭から二度も三度も読み返す( ´ ▽ ` )ノ。それが作者の狙いだったんだ( ´ ▽ ` )ノ。
人に物を熟読させる技(というか罠)の実践( ´ ▽ ` )ノ。
要するに『遊び』なんてないのだ( ´ ▽ ` )ノ。
こりゃあ一本取られましたよ( ´ ▽ ` )ノ。
2015.3.25 -
ガブリエーレ・ダンヌンツィオは、147年前の1863年3月12日にイタリアで生まれて、72年前の1938年に74歳で死んだ劇作家・小説家・詩人。
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筒井的三島由紀夫論とエッセイ。
三島のは相当真面目に書かれているが、其れ故油断したナリ。
演説シーン吹いた・・・見事に筒井世界へ持ってくなぁ・・・。あーオモスレ〜〜〜〜〜。 -
筒井作品といして賛否両論ですが、画期的三島論としては、これまでのどの三島論より面白い心理学的考察。
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ユングについて書かれたエッセイより引用。
「なんと、個性化は究極的には自分の死に直面する課題があったのだ。」
おおー。