土地と日本人 改版: 対談集 (中公文庫 し 6-48)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122027121

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  • 土地の公有地を提案する司馬遼太郎。その背後には、彼の小説世界にも見られる深い洞察と、物事の本質を日本の歴史を深く掘り下げて考察する土地という日本に根付いている問題を独自の視点で鋭く切り込んでいく。決して論理は明確でないし(自分が浅学なだけかもしれませんが)、身体で感じるという、直観らしいものが論理以上に深く突き刺さる。

  • 初版が1980年にだったのだが、すでに高騰しはじめている土地問題に苦言を呈しており、土地バブルが始まっていると指摘している。明治維新のころに伊藤博文や井上馨の働きもあって日本の多くの森林を天皇家の資産とした経緯で、戦後にその多くを宮内庁の管理へ移管された。それが結果的に豊かな日本の国土を守ることにつながった。しかし戦後二束三文で払い下げられた森林が、高度成長を経て土地の高騰が始まる中で宅地開発が盛んになった。司馬遼太郎はこの対談の中で、左翼的見地に立ったわけではないが、と断りを入れた上で土地の公有化を提案している。具体的には土地の所有権から使用権への移行だ。たしかに土地は公的なものであるという意識はもっと持つべきだと思う。

  • 私が地理学を志すきっかけとなった本。

    目次
    日本の土地と農民について
    所有の思想
    日本の土木と文明
    土地は公有にすべきもの
    現代資本主義を掘り起こす土地問題

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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