グレイのしっぽ (中公文庫 P い 2-5 てのひら絵本)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122041127

感想・レビュー・書評

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  • どこかでハスキー犬は物覚えが悪いというコメントがあったような。作者の家にやってきたグレー、主人はどちらか?グレイと作者の奮闘?楽しいく自由な日々が繊細なタッチの挿絵とともに3部作の中で描かれています。本作はその最後、やがて病気で弱っていくグレイ、家族とのつながりの中静かに、そして……。「気分はおすわりの日」「グレイがまってるから」も合わせておすすめです。
    自分もかつては猫と”同居”していました。餌を要求するときは下手でしたが、満足すると遊んでもくれない。そんな自由な彼(雄猫)でした。

  • いせひでこさんちのシベリアンハスキー、グレイの闘病を主に綴っています。涙無しでは読めません。愛犬の病気と正面から向き合った飼い主の覚悟と愛を感じます。
    グレイ君は幸せだったと思います。

  • グレイ3部作の最後のお話。
    まだ何か語るには、私の中で私の気持ちの整理がついてません。
    自分よりその命は短い、とわかっていて、それでも一緒に過ごしてきた今もまだ忘れられないあいつらを思い出してしまい、まだ読む度に涙が止まらないのです。

  •  「グレイがまってるから」「気分はおすわりの日」の伊勢英子のグレイ3部作(?)の最後。
     基本的には、グレイのいなくなった日々がつづられています。

     「グレイがまってるから」と「気分はおすわりの日」を読んだ頃、まだ文庫化してなかったんだよね。で、今回四季さんが読まれてるのを見て、文庫化されたのを知ったのであった。
     続けて読んだほうがよかったね。

     前の2作は、どっちかというとバカ犬で、そのうえ身体も弱い、グレイに振り回される日々が、ゆったりとした自然と共に描かれてるって感じで、微笑ましかったんだが、「グレイのしっぽ」にあるのは喪失感ばかりだ。
     それでも、作者はその喪失感から、ゆっくりと抜け出していく。 
     それは、まるでグレイが新しく、見えない犬として生まれていくようでさえあった。
     でも、空白は以前としてある。

     ゆるぎない空虚。

     何もないことは、不確かなことではなく、むしろ、何もないからこそゆるぎがない。そんなことをじわっと考えさせられる。

     グレイの闘病の様子は、つらい。
     その部分でさえ、描かずにはいられなかった伊勢英子の絵描きとしての業を思う。でも、それは業であると同時に、救いなんだよね。

  • 辛く、それ以上に愛しい犬との生活。

  • 絵描きとその家族が愛犬グレイを見取る様が描かれている。
    ありきたりの闘病記、介護日記ではなくて、まずグレイが亡くなった事、それが自分にどんなに大きな喪失感を与えたかを提示して、そこへ至るまでの苦悩、悲しみ、道程を描くと言う手法を取っている。
    こちら側は最初に絵描きの悲しみを共有してしまうので、グレイの闘病の日々を読む頃には切なくてたまらなくなってしまった。
    前2作と違って、収録されているイラストも悲しげなものが多い。特にラストの1枚には胸を打たれた。
    静かに涙が流れてしまう1冊。
    そして、こんなに愛するものを書くことができた絵描きを、同業異種業者として羨ましくも思う1冊。

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