時代物のアンソロジーを多く編む縄田一男のなかでも、異色の一遍ではないでしょうか。
時代物のと言えば、捕物帳や人情もの、股旅物などが多いですが、こちらは「動物」がテーマだけあって一言で分野をくくれないものばかり。こんな小説があるのか!と新鮮に感じます。
時代物はすべて同じに思えてしまう時、時代物は好きだけど少し飽きたという時にピッタリでした。
挿入作の作者は以下の通り。
杉本苑子/柴田錬三郎/岡本綺堂/角田喜久雄/伊藤桂一/野村胡堂/綱淵謙錠/陳舜臣/新田次郎/山本周五郎/村上元三/澤田ふじ子
どれも面白い味わいのある作品ばかりでしたが、敢えて好きな作品を上げるとしたら伊藤桂一「犬曳き侍」でしょうか。読んでほっとする今時珍しいお話でした。