- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122048621
感想・レビュー・書評
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うーん、難しかった。というか、読むのにものすごく集中力が必要でした。気を抜くと何を読んでるのかわからなくなる。かといって集中してても何読んでるのか実はよくわからない(苦笑)一般的な小説にある物語らしきものはほとんどないので、逆に言えばどの部分を拾い読みしても、あるいは飛ばし読みしても、別に問題はないかもしれない。だってもともと連続性があまりないのだもの。
そもそも語り手の「ぼく」が何者なのか、呼びかけられてる「おまえ」が誰なのかもよくわからず、唐突に出てくる登場人物との関係性も断片的なエピソードから読み取るしかなく、最初はもしかして多重人格者の妄想ではないかと思った。レジナホテルの住人も、グレゴリーの残した手記とやらも、全部「ぼく」の内面のことではないのかと。
飛躍する思考回路、難解な比喩。「イメージの嘔吐」という言葉が文中にありましたが、まさにこの作品自体がそんな感じ。しかしだからといって、わからない=面白くない、ではなく、没頭するとそのイメージの奔流自体はとても面白いし、まあ一種のシュールレアリズムですよね。意味わからんなくても気になるし、好きか嫌いかと言われればそれが好きだったりする。何年か寝かしてみて、再読する元気があれば読み返してみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ロレンスダレル「黒い本」https://books.google.co.jp/books/about/%E9%BB%92%E3%81%84%E6%9C%AC.html?id=MLMjNwAACAAJ&redir_esc=y 読んだ。おもしろかった!背徳的というので英仏で発禁になり、USでヘンリーミラーの計らいでやっと日の目を見たらしい。現代の感覚では、そしてキリスト教と無縁の文化からするとそんな過激でもない。ダレルはアレキサンドリア四重奏の人です(おわり
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インド生まれのアイルランド系イギリス人。後年フランスにて生活。こういう人の「凧の糸が切れたまま」あてどもなくさまよってる感ね、溜まらんのよね。
レジナホテルという場所に滞在する若者達。何をするんでもなく、だらけてる。
けだるい、いんうつ、どんより。
一度バスツアーかなんかの事故で死んで、成仏しないまま、たむろってる感じね。「だって俺ら死んでるしさ(いじいじ)。」「え、お前、生きてる時そんなに良かった?」「いや。。。」「だろー?」
なんかそーいう、空気読めない正しいこと言う人、つかれんねー。 -
これは小説ではない。クソ長い散文詩だ(ヘンリー・ミラーの言うとおり)。
アレクサンドリアが素晴らしかったのでこちらも読んでみた。確かにあの作品のプロトタイプ的なところがあるのは分かる。だがアレクサンドリアさえ「読みづらいなあ」と思っていたのに、こちらの取っ付きにくさと来た日にはその比でない。
アレクサンドリアはちゃんとストーリーがあった。例えれば、生の風味はあるもののドレッシングがかかっていたり表面を炙ったりと、食べられるように料理はなされていた。この『黒い本』は食材そのまま生で食えと言われたみたい。しかも生肉。ちょっとツライ。
翻訳の良し悪しは判断しがたいが、チェスのビショップを(僧正の意味合いと掛けていると思える箇所なのに)「角行」と訳していたあたりは、やや訳語の選択に不安を覚えた。 -
『チョーサーよ、シェイクスピアよ、くたばるがいい!この本によって宣言された、先駆的宇宙に栄光あれ!』byヘンリーミラー