■テレビくん 1965年
出世作。
水木式「風の又三郎」。
布枝さんが泣いて喜んだという講談社漫画賞。
■河童 1965年
三平ではない河童もの。
63p、65p、と風景主体のコマが、美しい。
水木の風景好き。
■丸い輪の世界 1966年 ★
幼い妹が行ってしまった死後の世界への入り口。
これは涙腺に来る。
ツイッターで今回知ったが、2016年の水木しげる先生のお別れ会、献花台がこの丸い輪のイメージで作られたんだとか。
しかも京極夏彦発案なんだとか。
■化木人のなぞ 1969年
なんと小栗虫太郎「人外魔境」が原作。
思う存分アマゾンの樹々が描けて嬉しかったことだろう。
そして地下で、諸星大二郎「生物都市」を彷彿とさせる造形のモノと。
調べてみたら、手塚治虫が「黄色魔境」、松本零士が「有尾人」を描いていて、ブームだったんだな、と。
また、マックス・エルンストの『慈善週間または七大元素』を真似ているコマがあるんだとか。編集編集。
■コロポックルの枕 1970年 ★
扉絵にしてから、あ、つげ義春の筆じゃん、と笑ってしまうくらい、好色顔。
浪人生が誂えたように「よさげな女性」と出会うので、いつ一線超えるのかと期待してしまった。
が、話は奇想天外、大情況的SFへと発展し、果ては小松左京や、アイザック・アシモフ「地球幼年期の終わり」かくやという地球の真相が明らかになり、しかも星野之宣にありそうな抒情的壮大さで締めくくられる……こりゃ凄い。
■最初の米 1967年
ヨギとモギという少年の話と思いきや捻られていて、亡者側の視点が結構描かれる。
そして古事記っぽい話へと。
宮崎駿「シュナの旅」も連想できる……共通する何かがあるんだろうな。
なんでも近藤ようこは本作が一番好きな水木作品なんだとか。小学生で読んで以来だとか。しぶい。
◇この世の確からしさへの懐疑 呉智英