ドイツ第三帝国 (中公文庫 ク 5-1)

  • 中央公論新社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122050785

作品紹介・あらすじ

ナチス・ドイツが目指した世界観や組織を第一級史科を駆使しながら多角的に分析、思想と行動はもとより、宣伝機構、ナチス芸術・文学などについても詳述する。公正な反省の立場から民族が集団化した第三帝国の要求と現実を精神的・心的・文化現象として論じた不朽の名作。ナチス問題入門書としても適した作品となっている。

感想・レビュー・書評

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  • ファシズムとナチズムは違う。ナチズムはゲルマン主義、反ユダヤ主義、反デモクラシー、反人道的、反キリスト教、反ボルシェヴィキズムで浅薄な寄せ集めの思想に過ぎない。ドイツ精神の破壊と闘闘争と戦争を目的としていた。第三帝国の歴史、世界観、宣伝機構、退廃芸術と民族主義的芸術、主観的科学、人種的教育、法の絶滅、裁判制度、ユダヤ人立法、強制収容所、最終解決などの様々な文献を引用しまとめたもの。読んでいると精神が荒廃してくる。


    国防軍、突撃隊、親衛隊、武装親衛隊、ゲシュタポ、クリポなどナチスの組織には機能が重複した組織が多いのは、あえて互いに監視させ合うためだったらしい。組織の中で、組織を超えて足を引っ張り合い、出し抜こうとするナチ党員たちは子供番組の悪の組織のようだ。『HHhH』の主人公の一人、ハインリヒもヒムラーの懐刀でありながら全く信用されておらず、警戒されていたようだ。

  • 2009 2/28読了

  • ナチズムを歴史としてではなく、当時の文化や暮らしから内面的に理解しようとした著作で、小冊ながら、ナチズムの問題を網羅しているとの評がある。1961年発表、著者は1928年生まれ。内容は、第三帝国の歴史外観、世界観、宣伝機構、芸術文化政策、テロの全五章である。第二章、世界観では反ユダヤ主義と北方純粋人種、反議会主義、指導者国家、ヒューマニズムが弱さと批判されたこと、キリスト教反対などである。第三章、宣伝機構は、総力宣伝、嘘とスローガン、音楽や光、会場に詰め込み判断力を奪うといったアジ手法がのべてある。第四章では焚書、新聞を民族に奉仕させるという観点、郷土防衛や戦争礼賛の三文文学、ワグナー崇拝(ワグナー家の子孫はナチス党員だった)、行進曲の作曲、「頽廃芸術」、主観科学、人種教育が述べられている。第五章では、ワイマール憲法に忠誠をちかったヒトラーが、それを裏切り、政敵を強制収容所に送り、「授権法」によって独裁を確立し、法の絶滅と司法の「民族への奉仕」がなし崩しに起こっていく様子が書かれ、後半は強制収容所とユダヤ問題の「最終解決」である。全体として陰鬱な内容であるが、教師や裁判官の抵抗も書かれている(ゲシュタボに逮捕されるよりはマシだろうということで、懲役刑でかくまったりした)。国というのは、だまされのっとられると、抵抗もむなしく、独裁にころげおちていく。権力というのはコントロールを失うとそれだけ危険なのだ。劣等感を刺激してきたり、甘いことをいう権力にはつねに注意しなければならないと思う。

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    文庫&新書百冊(立花隆選)156
    ファシズム

  • あとがきにあるように、まさに「ナチス・ハンドブック」。紹介の範囲はナチスの歴史、世界観、宣伝方法、芸術などなど多方面に渡る。当時の幹部の本や演説からの引用がかなり多い。こんなこと言ってたのか・・・とびっくりするような話多数。読んでみる価値はあると思うけど、ちょっと読みづらい。あと、芸術分野の説明は少し冗長かな。

  • ナチスを知る上での入門書?
    大まかな流れとしては理解出来たが、ほとんどは相当な前提知識がないと全く訳分からん

    且つ抽象的表現、無茶苦茶な文章構成のせいで分かりにくい


    ナチスの根底にあった民族優劣主義が何の裏付けもない幼稚な思想であったことにはがっかりした
    ただ、宣伝機構による、国民精神の一元化にはある種の感嘆を覚えた

  • こういうの読むの珍しいけど興味深いという意味で面白い。今のところwikiと交互に見てるけど各重要人物について掘り下げた本も読みたいなー

  • 古書店A

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