- Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122050983
作品紹介・あらすじ
ヨーロッパ社会が形成された中世は暗黒なだけの時代ではなかった。ゲルマン民族の大移動、権威をたかめるキリスト教、華やかな宮廷文化と祈りにみちた農村生活、そして十字軍遠征、百年戦争と、千年の歴史を活写する。
感想・レビュー・書評
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NDC209
目次
1 地中海のほとりで
2 ゲルマン人の国家と政治
3 転換期の心性と日常生活
4 初期の経済と社会
5 文人たちの肖像―ことばと政治
6 新たな勢力と社会のしくみ
7 森と獣と土塊の物語
8 封建制下の騎士と農民
9 キリスト教世界の展開
10 都市の革新
11 水と細菌と炎の物語
12 国民国家の懐胎詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中世ヨーロッパの概念 歴史ていうより中世という時代を解説
難易度 難
感動☆☆☆☆☆
涙線☆☆☆☆☆
興奮☆☆☆☆☆
感心☆☆☆☆☆
伏線☆☆☆☆☆ -
西ヨーロッパ中世を心性史・社会史の面から扱っている。当時の人々の考え方、感覚、時代の空気感、そういったものが生き生きと描き出されていて非常に興味深く、読み物として面白く読めた。 西欧中世史の概説として政治史の部分がほぼ欠落しているというのは全くその通りで、「世界の歴史」シリーズの一冊としては、その点は残念。しかし、中世西欧心性史・社会史の入門書としては非常に魅力的な一冊だと思う。政治史の概説は中公文庫世界の歴史旧版の方の『中世ヨーロッパ』と併せて読むと良いかも知れない。
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ヨーロッパ社会を形成させた中世は、暗黒なだけの時代ではなかった。ゲルマン民族の大移動、権威を高めるキリスト教、華やかな宮廷文化と祈りにみちた農村生活、そして十字軍遠征、百年戦争と、千年の歴史を活写する。
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①ゲルマン人の移動は、長い国境線に沿って兵士を配置するような財力がなくなってきたローマ帝国の瓦解とともに緩やかにおこった[p47-49など]。
②キリスト教と社会の関係。
③初期のゲルマン人の王と側近の関係は、側近が権力を持つのを許さず、「王の怒り(ira regia)」[p71,イラ・レギア]の対象になると殺された。また封建制は、メロヴィング家の宮宰の立場だったカール・マルテルが頼らざるをえなかった主従の制度(託身と宣誓による)が、その後ますます発展して確立されていった[p191-192]。
④初期の未開の地(森)における自然と人間の関係(狼とのたたかい)(農村と森の境界を往き来する豚飼い)[p207など]。
⑤農民や平民、下層民の抵抗を《反乱》ととらえるのは《国家》前提の視点にすぎないのではないか[p421-424]。
⑥宮廷の決まりごとや騎士道精神などは、平時の暇な騎士と貴婦人のあいだの交流で徐々に培われた。[p238]
⑦女性(特に閉経期の)が嫌われた理由[p370]
⑧国家の疲弊(病気、大凶作、戦争(百年戦争)などによる)によるジャンヌ・ダルクの下地。[p388-389] -
19世紀くらいまでのヨーロッパを一通りおさらいしようという試みの一環。絵画とかを見るのにも役立つのだ。
扱う時代やテーマがとても広いのでところどころ理解が難しいところがあるが、西ヨーロッパについて知る上で、全体として興味深い内容だった。