「悲しき熱帯」の記憶: レヴィ=ストロースから50年 (中公文庫 か 29-2)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122053854

作品紹介・あらすじ

日本人と同じモンゴロイドの遠い枝分かれが、地球の対極で、16世紀以来の白人の掠奪と殺戮の果てに、いま絶滅の危機に追い込まれている。レヴィ=ストロースが名著『悲しき熱帯』の舞台となったブラジルを訪れて50年後、恩師の足跡をたどってこの地を旅した文化人類学者は何を見たか。最後の狩猟採集民ナンビクワラの現状にも接し、「なぜ熱帯は悲しいのか」を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 悲しきの意味とはこういうことだったのかと読みました。

  • 構造主義の祖といえばレヴィストロース、日本でレビィストロースに近い学者といえが川田順造という具合に頭の引き出しにいれていた。
    その川田先生がレヴィストロースの名声を高めた「悲しき熱帯」の舞台となったブラジルアマゾンを翻訳であり文化人類学者の本人が訪ねて書いた本ということで読んでみた。
    アマゾンのインディオの歴史、日本との関わり合い、アフリカとの比較など興味深い知識が多く披露される。
    ただアマゾンのインディオが今後どうあるべきかはやはり難しい問題で問題があるとするにとどまる。いやとどまっていはいないが解決策は見いだせない。
    現在 産業文明の行方が見えない状況でインディオの生き方は鏡のように文明社会を照射している。
    どのような立場の人であっても読んでよい本。特にヨーロッパ大航海時代のポルトガルの勃興と凋落との関係でブラジル史を鳥瞰する視点は秀逸。
    ただ論文ではなくエッセイなので やや物足りないか。それが気がるに読める点につながっており良さでもあるが。

  • レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』があまりに面白く、もうすこし知りたいなと思って、訳者の方の本も読んでみることにしました。前半のブラジル旅行記はかえって師匠の偉大さを思わせるばかりであまり感心しなかったのだけど、いちばん最後の「私にとってのブラジル」は非常に面白かった。西アフリカを専門とする著者が、西洋‐ブラジル‐西アフリカ‐日本をつなぎながら、奴隷交易をばねとした異なる近代の形成を論じた部分、歴史を必要とする社会と必要としない社会の考察、「開発」への人類学者への関わりなど、レヴィ=ストロースの問題意識を現代にあらためてつなぐかたちで深みのある議論を提起している。

  • 読みたい本。
    新聞広告によると「ブラジルで、2人の文化人類学者が時を隔てて見たものは」とのこと。

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著者プロフィール

(かわだ・じゅんぞう)
1934年生。東京大学教養学部教養学科卒業。現在 東京外国語大学名誉教授・日本常民文化研究所所員。著書『無文字社会の歴史』(岩波現代文庫、2001)『口頭伝承論』I、II(平凡社ライブラリー、2001)ほか。訳書 レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』I、II(中公クラシックス、2003)『ブラジルへの郷愁』(中央公論新社、2010)ほか。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

「2023年 『構造人類学 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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