- Amazon.co.jp ・本 (537ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122054509
感想・レビュー・書評
-
深川の油問屋に養女としてやってきた、勝山の菜種農家の末娘・二三(ふみ)の波瀾万丈な人生を描いた物語。
気性も素直で日頃の行いも良いのに、節目節目に苦難に見舞われてしまう二三。
その苦難を乗り越えてポジティブに生きる姿に励まされます。
ラストは一面の黄色が目にまぶしい、広大な菜の花畑が目に浮かぶようで、爽快な気持ちになりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江戸深川の油問屋の養女の二三(ふみ)を主人公とする時代小説。二三は天ぷら料理が得意である。グルメ小説的な描写もある。美味しい海老の天ぷらは尻尾も残さず食べてしまう(189頁)。この説明は理解できる。私もケンタッキー・フライド・チキンの骨付きチキンを骨も残さず食べてしまったことがある。
物語は砂村から大島村にかけての菜種畑から始まる。後の江東区の砂町や大島である。他にも富岡八幡宮や黒船橋など東京都江東区の土地勘のある人には馴染みの場所が登場する。これは『あかね空』や『おたふく』など著者の他の時代小説とも共通する。 -
大好きな山本一力作品。苦難に立ち向かい、悲しみとともに生きていく姿は健気過ぎる!
-
天保三年(1831年)、房総は勝山の菜種農家に生まれた二三は、五歳で深川の老舗油問屋の勝山屋に養女に出され、十五歳の時に大火事で養父母を亡くし、二十五歳の時に大地震で実母と許嫁を失った。天変地異に見舞われながらも、下町で逞しく健気に生きた二三の半生を描いた人情ものの時代小説。
基本、関係者がいい人ぱかりで腹黒い悪役は出てこないので、安心して読めた。天変地異で大切な者や財産を失っても、それを淡々と受け入れて強く生きていく二三の姿に清々しさを感じた。読みごたえのある作品だった。
気になることと言えば、五歳の二三が、大人び過ぎていることと、十五歳の二三の、大店の責任者としての対応が立派すぎることかなぁ。 -
(古本を購入)
読み始めた(1月21日)~読み終わった(2月3日)
勝山屋にに養女となった二三の人生。
深川の料亭江戸屋の秀弥の人生を記した『梅咲きぬ』に似て非なる作品。 -
安房勝山の菜種農家の娘 二三を主人公に深川に幼くして養女してもらわれていく家族との別れや養女してもらわれた大店の油問屋で大事にされながらも力強く成長していく二三の姿であったり、成人へと成長した二三がさまざまな苦難にあいながらもたくましく気丈に生きていく姿が涙ぐましく、最後は爽快な終わり方で良かったです!
さすがの山本一力の真骨頂的作品で最高でした! -
内容(「BOOK」データベースより)
安房勝山の菜種農家の末娘・二三は、五歳にして江戸深川の油問屋に養女として貰い受けられる。生家の母親譲りのてんぷらの腕、持ち前の気丈さで、江戸の町に馴染んでゆく。やがて、大店の跡取りとして逞しく成長した二三を、新たな苦難が見舞う。いくつもの悲しみを乗り越えた先に、二三が見たものとは―。涙の後に爽快な、人情時代小説。
平成28年10月13日~20日 -
読み始め…12.4.21
読み終わり…12.4.30
読みたくて読みたくてうずうずしながらその機会をずっと伺っていました。
安房勝山の菜種農家の末娘に生まれた二三(ふみ)は五歳のときに、江戸深川の油問屋に養女として貰い受けられます。二三持ち前の健気な幼少期から、大店の跡取りとして波乱万丈逞しく成長していくまでのさまを描いた人情時代小説。
いくつもの苦難に見舞われながらも前向きに乗り越えていく二三の姿はとても愛おしくてそして清々しくて。まるで我が子の行く末を見守る母の気持ちになりきっていました。ほっとしましたよ。安心安心。