保守思想のための39章 (中公文庫 に 5-3)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122057357

作品紹介・あらすじ

保守思想について述べた本は少なくないが、古今の思想史の中に位置づけた本は決して多くはない。保守思想自体に体系化を拒む面があるからだ。本書はその数少ないうちの一書であり、入門書にして思想の深奥にまで触れた名著である。歴史の知恵が凝縮した保守という考えを、危機の時代にあって明晰に捉えた本書の価値は、いま極めて大きい。

感想・レビュー・書評

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  • 陳腐な「私語り」をするが、過去に西部の「衆愚」を批判する姿勢にどうしても馴染めなかったことを思い出す。それは端的にこのぼくもまた「衆愚」でしかありえない(教養もないしエリートでもない)という自覚によるものだった。でも「いま」虚心に耳を傾けると、西部の思考はむしろその鋭すぎる切っ先を西部自身にも向けて徹底的に分析・解析しようと「葛藤」しているように読める。だからぼくはこの本をお手軽な保守思想の教科書としては読めない。西部が(クサい言い回しではなはだ恐縮だが)実存を賭けて論じきった渾身の論考の詰め合わせと読む

  • お小遣い稼ぎにチョロチョロッと書きました的な。

  • 13/12/08。

  • 保守思想というのは分かりにくいのだが、これを39のキーワードから説明しているのが本書である。基本的には慣習や伝統を大切にし、性急な変革を嫌う立場で、感情、相続、家族、地域、祖国などを大切にするんだが、悪習を守るのが保守主義なのではなく、歴史と伝統や常識にのこっている英知を尊重し、議論によって專門知識人の狭量や大衆がもつ気分に流されまいとする立場であって、バークにしろ、トクヴィルにしろ、ブルクハルトにしろ別に貴族制を擁護したわけではないそうである。要するに「まっとうな物の見方」を大事にして、自己に懐疑をつきつけ、人間の有限性を知り、平衡をとおしてセキュリティを施していこうとする思想なのではないかと思う。技術論については、たしかに「情報の虚無」は感じることがあるが、結局、使われずに使いこなすという点が大事で、IT以外で問題解決したほうがいいなら、躊躇しない柔軟性が大事なんだろうと思う。今までマルクス・レーニン・トロツキーとよんで、バーク・オルテガ・アレント・高坂正堯などを読んできたが、チェスタトンの著作も読んでみたくなったので注文しておいた。右翼的・左翼的雰囲気に流されないためにも保守思想は学ばなければならないと思う。後期ヴィトゲンシュタインも保守思想として読めるのは意外に感じたがそうかなとも思う。

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著者プロフィール

西部邁(にしべ・すすむ)
評論家。横浜国立大学助教授、東京大学教授、放送大学客員教授、鈴鹿国際大学客員教授、秀明大学学頭を歴任。雑誌「表現者」顧問。1983年『経済倫理学序説』で吉野作造賞、84年『気まぐれな戯れ』でサントリー学芸賞、92年評論活動により正論大賞、2010年『サンチョ・キホーテの旅』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。『ソシオ・エコノミクス』『大衆への反逆』『知性の構造』『友情』『ケインズ』など著書多数。

「2012年 『西部邁の経済思想入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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