- Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122061002
作品紹介・あらすじ
失火により父が不慮の死を遂げたため、江戸から西美濃・田名部郡に帰参した小野寺一路。齢十九にして初めて訪れた故郷では、小野寺家代々の御役目・参勤道中御供頭を仰せつかる。失火は大罪にして、家督相続は仮の沙汰。差配に不手際があれば、ただちに家名断絶と追い詰められる一路だったが、家伝の「行軍録」を唯一の頼りに、いざ江戸見参の道中へ!
感想・レビュー・書評
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初っ端から最悪の境遇に陥った主人公。
なのに語り口調が軽くて所々笑える言い回しが沢山あって重くならない。
それどころか声を出して笑っちゃった!
これは笑い一辺倒かと思えばポンっと胸にくるシーンが入ってきたり。
ギャグもシリアスもくどくなく、とても読みやすい。
下巻にも期待!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この作品、漢文や長ったらしい武士の役職名が結構出てくるので、読みにくいかなぁっと思っていました。でもやはり浅田次郎作品は、読み始めると、面白くて読むのをとめるのが惜しいくらいでした。参勤交代が話の中心で、当時の時代とはこのようなものなのかなと勉強になることも多かったです。
なんといっても、人物の表現が本当に興味深く、どの登場人物をとっても、それぞれの場面で笑いあり涙ありです。
この(上)ではお店の店主のお婆さんは面白かったです。また、一直線に頑張る主人公と、それを周りの人々が応援する姿がこの本で一番感じる部分でした。 -
浅田次郎さんって時代小説も書くんだ!?と興味を抱き、読んでみたいなぁと思っていた作品でした。
『参勤交代の御共頭』という職にスポットを当て主役にしたもので、凄く趣があり、読みはじめから引き込まれました。参勤交代の御行列が出発するまでの話もぬかりなしで、読んでいるこちらも「準備万端、いざ出発!」といった気分にさせられました。
いよいよ江戸へと出発した参勤行列の道中ですが、一難去ってまた一難、次は何が起こるの?ってドキドキしますが、凄く面白いです!
主役の一路をはじめ、次々といろんな人物が登場するのですが、登場の描き方がさすが浅田先生なのでしょうか?皆印象に残り、「えっと、誰だったっけ?」とページを振り返ることなく読み進める事ができます。
個性が強く面白いキャラクターも登場し、一路が覚悟を持って差配し、常に緊張を持って進んで行く物語なのに、数々のユーモアも描かれていて、凄く面白いです。
一路率いる参勤行列のご一行は、無事に江戸へと到着できるのでしょうか?
下巻にも期待です。 -
下巻にて。
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参勤交代のかくも厄介なこと……この作品に限らず、参勤交代を題材にした物語を読むにつけ、当時の苦労がしのばれます;
浅学な頭には馴染みがない言葉が頻出してさぞ読みにくいかと思いきや、話はテンポがよくコミカルなので、存外軽快に読み進められます。個性的な面々や、やや無理がありつつも勢いのある展開に楽しませてもらいつつ、押さえるところはきちんと押さえて胸にグッとくるあたり、さすがの浅田さん。ますます盛り上がってくるだろう下巻に期待です!
ところで、読んでいる間はカバーをかけていたので気付きませんでしたが、この文庫の装丁イラスト、めっちゃ良いですね……! 作中の台詞が載っているので、うっかりネタバレにならないよう、下巻も読み終わるまでカバーをかけっぱなしにしておかねば(笑) -
参勤交代の顛末記が続いて、これ以上読み進むのは無理かなと思ったが、意外な展開になって面白くなった。下巻が楽しみです。
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江戸末期を舞台に参勤交代の仕切り役である御供頭を主人公として、武士の生き様を描いた作品。
若い主人公が、父からの引き継ぎも無いまま、重責を全うしようと奮闘する物語。
ロードムービーなのだが、浅田次郎の作品に特有の人情話が盛り込まれ、笑いあり涙ありのストーリーに。久々の浅田作品に満足。 -
時代小説(と呼ぶべきものかはわからないけど)久しぶりに読んだので、最初はあの独特の昔っぽい言い回しになれなくて疲れた。
でも物語の中で起きていることは明らかに面白くて、移動時間を常に楽しみに。
少しずつ読み進めて、一路たちが少しずつ江戸に向かうさまを私も体感した。
それにしても、昔の人は美学の癖が強い。
ほぉ、そう解釈しますかと。
私は今の時代においても、正直先輩とか後輩とかどうでもいいと思ってしまうタイプなので、
この時代のお殿様だからなんとかとか、大名の方が上だからなんとか、みたいな論理は意味がわからない。
でもなんかそれが美しいとされるのだ、ここでは。 -
「参勤交代之御行列は行軍也」という参勤道中心得という古書を元に昔のスタイルで参勤交代してしまうという話しです。コメディです。馬がしゃべります。次から次へと災難が降ってわいてきて、悪役はいかにもという感じで、物語は進行していきます。浅田さんの作品は人の情に訴えかけてくる形の作品が多く、この作品もそうでした。雪山の行軍が印象深い。