- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122064355
作品紹介・あらすじ
唐十郎率いる状況劇場の女形として、またドラマで活躍する俳優として、七〇年代の熱気の中を駆け抜けた四谷シモン。個性の強い母に翻弄された少年時代、金子國義らとの友情、ベルメールの人形の衝撃、そして心の支えとなった澁澤龍彦と親交。華やかな活動の陰で続けてきた人形制作を軸に綴る自伝。
感想・レビュー・書評
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母に翻弄された少年時代、状況劇場での活躍、澁澤龍?との親交。観る人を甘美な世界に引きずり込む天才人形作家が綴る波瀾万丈の半生記。〈解説〉嵐山光三郎
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図書館で何気なく借りた本。
アングラ文化を知る上でとても勉強になりました。
そして四谷シモンさんの半生を知り、あの不思議なお人形の誕生も知ることができました。
ぬいぐるみや人形が大好きな私としてはシモンさんの教室に通おうかと本気で検討しているところです。
これは書店で買い直そうと思います。 -
人形作家として知られる四谷シモンの半生を、嵐山光三郎が二年半を費やした聞き書きから構成された自伝。
それが最近、中公文庫として生まれ変わった。
(中央公論新社はまた、貴重な文化財を世に残す事に多大なる貢献を果たしたと言える。)
男を渡り歩くストリッパーの母、音楽的才能に恵まれた生き別れの父、ロカビリー歌手としてのデビュー、状況劇場で女形として熱狂的とも言える人気を博した時代、人形作家として生きてきた人生、そしてこれから歩んでいく道…
本書でしか知る事の出来ない事柄が惜しみ無く語られ、人形のカラー写真も散りばめられている、とても貴重な資料だ。
著者を取り巻く人々は目を見張る程豪華で、1960〜70年代辺りのアングラ文化を愛する者にも読まれるべき一冊である。
名前を挙げる事は切りが無いので控えるが、著者しか知り得ない彼等がページの上で生きていて、感動せずには居られなかった。
それは文字を追うのみで十分に伝わってくる、著者の興奮した語り口に拠る。
Twitter上でも同じ事が言えるが、彼は当時の事をいつでも青年に戻り語る事が出来るのだ。
お陰で、死者達が暴れまくる様子が、可笑しくて堪らない。
出自、アングラ劇団に所属していた事をも知る以前に四谷シモンの人形に惚れてしまった私は、彼と同時代に生きられている事に改めて感謝をした。
あぁ…四谷シモンが死んだら、ショックだろうなぁ。
<Impressive Sentences>
僕は同じものを繰り返し作ることが苦手です。
自分に対してクエスチョンが無いということに耐えられないのです。 -
2002年に新書で出た自伝エッセイに追補を加えた文庫版。巻頭カラーもあり、後半にモノクロながら代表作の紹介もあるので嬉しい。
序盤の生い立ち部分がなかなか波乱万丈でまるで小説のようだった。戦後まもない時代のせいもあるだろうけど、もともとは良い家の生まれなのに破天荒ストリッパーなお母さんの存在感が圧倒的。とにかく逞しいけれど、振り回される子供たちは大変だったろうな。
青年期になってからは、金子國義に始まり内藤ルネ、宇野亜喜良、横尾忠則、合田佐和子、篠原勝之らの画家、イラストレーター系だけでなく、高田賢三、コシノジュンコ、といったファッションデザイナー陣に、澁澤龍彦、瀧口修造、種村季弘、金井美恵子ら作家たちといった錚々たるメンツと次々交流を深めていく。
そして土方巽、唐十郎、寺山修司。人形制作のかたわら唐十郎の状況劇場に参加し、女形として活躍、麿赤児、大久保鷹、不破万作らと一緒になって大暴れしたエピソード等、当時のアングラ演劇界の空気感が伝わってきて楽しい。根津甚八、小林薫、佐野史郎ら状況劇場出身の俳優の名前もちらほら。
あとは人形学校エコール・ド・シモンの設立の話。もうウン十年前の話ですが、私がまだ10代で実家暮らしで深夜バスで東京に遊びに来ていた頃、当時は東京で若者が集まる場所といえば原宿、とりあえず原宿にいってクレープを食べるという時代だったのですが、原宿駅の構内にいつも「エコール・ド・シモン」の広告看板が出ていたことを思い出します。人形作りだけの専門学校があるなんて、やっぱ東京すごいなって田舎者は思ってました。
今やすっかり球体関節人形もブームとなり、キレイで耽美で可愛いだけのお人形を作る人形作家は掃いて捨てるほどいるけど、やっぱ四谷シモンの人形は唯一無二だなと思う。解説で嵐山光三郎がシモン氏のことをピノキオを作ったジェペット爺さんに似てきてると書かれてて、すごい納得。 -
四谷シモンの自伝エッセイが文庫化。
掲載されている図版を見ると、四谷シモンの人形というのは独特の雰囲気があるなぁと思う。なんというか、不思議な読後感があった。