- Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122064522
感想・レビュー・書評
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歴史のつながりと人のつながり。見えなかったものが、見えるとき、そのぬくもりを感じることがある。知らないことは、悪くないが、知ることで前に進める。過去の人とのつながりは確かにある。
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十六夜荘というお屋敷を巡って
現代と昭和初期の第二次世界大戦あたりの時代が
交互に進められています。
本当の豊かさとは何なのか、人生とは生き方とは
などエリート人生まっしぐらの雄哉と
大伯母にあたる玉青の物語を通じていろいろ
考えさせられました。
戦後大混乱の中、家族を背負っていきぬいた
玉青さんや家族、仲間達
平等でもなく理不尽すぎる世の中に
押さえ込まれながらも温かさや、人としての尊厳を曲げず一歩一歩歩く姿に惹かれ
今現在
そこに住む奇妙だけれど、真っ直ぐに生きている住民達にいつしか心動かされ、雄哉も自分の心や
居場所を見つけていく
そんなお話です。
毎日毎日追われるように生きる人生だけど
一度しかない人生
たまには
空に向かって大きな深呼吸をしよう。
それだけでも幸せな気分になります。
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今の自分の価値観は絶対ではないのだな、と改めて思った。
いつの時代も周りの評価や価値観に左右されず、自分の芯をしっかり持って、好きなように生きなきゃね。
戦争や大災害なんかで、世の中いっぺんでひっくり返ってしまうのだから。
月が満ち欠けするように、見えてなくても確かにある大切なもの。
暗いからこそ、周りの輝く星がよく見えるってこともあるのだな。 -
今、現在進行形でウクライナの戦争のニュースを見る時、この小説の80年前の第二次世界大戦中の日本での戦時の描写がすごく身近に感じていたたまれなくなりました。百年近く経っても戦争は似たような状況で、苦しむのは市井の民で、人間って愚かしいと、なんにも変わらない結果に胸が痛くなりました。
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十六夜荘の歴史と大伯母・玉青の一生に、強く引き込まれた一冊でした。
玉青が激動の戦前から戦中、戦後を、華族という身分の時代の変化に怯むことなく力強く生きた様、十六夜荘に込める半端ない想いに、私の中にあるものを全部持っていかれたように引き込まれ、途中から一気に読み終えました。
"満月の後、少し欠けた十六夜。人も月と同じで満ちてくときもあれば、欠けてくときだってある。だからこそ、周りの星の輝きに気づくことができる。"
タイトルに込められたメッセージが素敵で素晴らしかったです。
また、玉青と十六夜荘の歴史を知るうちに、そのことと、もう1つ大事な事に気づいた雄哉の変化する様も大変興味深いものがありました。記憶は自分だけのものではなく、自分が忘れていることが、周囲に影響を及ぼしていることもある。
私も一緒に、これらのことに気づかされました。
さすが、「マカン・マラン」シリーズを書かれた古内一絵さんだなぁ。
なんだか十六夜荘にシャールさんがいるような気分になりました。 -
すごく好きだった…どの時代も生き抜くって大変だし1人ではできない、そのことに気づけたら素敵だな。誰かが自分のために生きているように、誰かのために生きたい。人生、山あり谷あり、満ちたり欠けたりする月と同じだったんだ…!
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バリバリと音がしそうな程に働く大崎雄哉は、大伯母「玉青」の遺産として、十六夜荘の相続人となる。十六夜荘には訳の分からない住人がいて、雄哉の記憶にない大伯母は、親戚から「変わり者」と評されている。
戦中の玉青の話と、現代の雄哉の話が交互に進む。
パワハラで仕事を失った雄哉は、相続のための手続きを進めるが、疎ましく思っていた十六夜荘の住人と関わるうち、亡き大伯母の想いを知る。
戦時中の軍人たちの振る舞い、戦後の食糧不足や混乱、ショックな表現も多かったけど、最後の小野寺教授の告白では涙が出たなぁ。
雄哉は仕事無くなって大変かもしれないけど、遺産だけではない大きなものを得たのでしょうね。