君主論 - 新版 (中公文庫 マ 2-4)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122065468

作品紹介・あらすじ

「人はただ結果だけで見てしまう」「愛されるより恐れられるほうが、はるかに安全である」等の文句で、目的のためには手段を選ばない権謀術数の書のレッテルを貼られ「マキアヴェリズム」という言葉を生んだ古典的名著の隠された真髄とは? 訳者・池田廉による詳細な解説、訳注に加え、佐藤優の現代政治と対比した新たな解説を加えた新版。

感想・レビュー・書評

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  • 2023/10/14 読破

    大企業の役員に、組織の作り方について相談したところ、この本を読めと教えて頂きました。押忍。

    一言:組織の理想的在り方・崩壊した事例集
     イタリアでの歴史を踏まえた失敗談・成功談集

    要点:金言が多くありました。組織作りを経験した後に読むと非常に共感できました。失敗例から、組織作りを再考したいというきっかけになる本でした。

    印象に残ったこと
    ・運命は女神
     運命は女性のようで、与えられるものではなく、自分から手に入れにいくもの。必ず貰えるわけではないが、挑戦しないとそもそも手に入る権利はない。

    ・事実よりも、相手にどう伝わるか
    人間、起きた事実はどうでも良くて、それよりも相手の人間が知りたい情報を伝えることが大切。
    自分がどう思うか、よりも、相手から、どう思われるか?を意識して行動すべき

    ・信頼
    上に立つのであれば、「怖がられること」と「憎まれないこと」を両立すべきですね

    ・一貫性はなくていい
    一度宣言して、その後に撤回は問題ない
    宣言や行動した時の動機が違えば、その後の行動は変わって当たり前。それを理解するのも大切で、周りに理解してもらうのも大切

    内容は難解で、読むのが大変でしたが、組織作りを考える上でめちゃくちゃ勉強になりました。ただ、この考え方に固執せず、自分や他の意見も踏まえて現在に合う考え方を再構築していきたいと思います!

  • 中世に書かれたとは思えないくらい建設的に書かれている。表現の規制などの忖度がない分核心をついたものになっていて、現代に照らし合わせて考えさせられることもあった。

  • 135人間の頭には3種類。自分で考えを巡らすもの、他人に考えさせて良し悪しを判断するもの、自分の考えもはたらかせず他人に考えさせもしないもの。
    62人間は危害を与えられると信じたものから恩恵を受けると、恩恵を与えてくれた人に普通以上に恩義を感じる。
    138秘密基地で、途端にやることを変えると周りを混乱させる。
    144運命はまだ抵抗力が付いていないところで猛威を振るうもので、堤防ができていないところに矛先を向ける。自制と共に自分のやり方を一致させたものは成功。
    147運命は変化するものである。
    83 人間は他人の武器は役に立たない。
    58加害行為は一気にする。恩恵はよりよく味わってもらうために小出しにする。

  • 君主でもなければ、戦乱と隣り合わせの中世に生きているわけでもない。それはこの日本に暮らす多くの人がそうだろう。
    しかしこの、誰しもがタイトルと「マキャベリズム」という言葉は知っているこの本は、我々庶民の暮らしとも連結するものだ。

    兵力というものをビジネスの文脈で置き換える、現代の社会通念にあわないところはスルーする、といった読み方上の工夫は必要だが、通常なら口にすることを躊躇うような「ダークサイドスキル」的な主張は一読の価値ありだ。

  • アレクサンドロス大王の実例など具体的に君主のあり方が描かれていて良かった。イタリア安定のために考え抜かれたマキャべリズム満載の書。

  • 経済学や思想はその時代背景を元に考慮しなければならない 。セットで使わないと意味がない。これを前提にレビューを書きます。

    時代背景としては、マキャベリの時代は戦乱や汚職、詐称、王様国家の時代です。


    ①武力を持たない他国の軍事力を頼りにしている国は必ず滅ぶということです 。
    なんのかんの武力がないとなめられます。 現在の核保有国の発言力を見れば分かるでしょう。 武力のあるものが進んで武力のない者に従うことはありえないのです。自然界を見れば分かるでしょう。 自然の法則に逆らうことはできません。 宇宙物理学の法則に従って宇宙は動いています。 いくら人間が理想的な国際法や道徳や経済理論を作っても宇宙物理学の法則からは逃れられません。

    ②他国同士が戦争している時に中立の立場にいることも国が滅びます。決断力のない国はどこの国からも信用されません。戦勝国に味方していたならば、戦勝国からはあなたの国のおかげで勝利できたと思われます。敗戦国に味方した場合も、負けたけれど助けてくれてありがとうと感謝され、次回は助けてもらえます。中立の立場だとどちらからも結局助けてもらえません。

    現在に当てはめてこれらのことを考えてみると、 戦乱の時代じゃないけど、武力による発言力は健在です。力=武力の方程式が変わっていけば世の中変わっていくと思います。
    国際ルールや国内の法律 、ネットなどで個人間で売買する時のルールを破る人が世界中からほぼいなくなれば、非武装の平和主義が成り立つかもしれない。 でも日常生活から実際に感じられるように、まだその段階ではないだろう。 日本はその観点から言えば世界で一番発展しているかもしれない。しかし他国はまだ未熟である。 よって方向性としては世界中の非武装の方向に向かっていいかもしれないが徐々に向かうべきです。いきなり理想である非武装を実行してもやられるだけだと思う。

  • 自分がケチで八方美人で愛想もあまり良くないことに悩んでる人におすすめかも。意外とその方が人に媚びるでもないし、自分に害がない。人のごたごたに巻き込まれない。今は人と上手くコミュニケーション取ろうとか人との繋がりとか言うけど一番大事なのは自分。

  • 今年の1冊目が「わが友マキャベリ」(塩野七生)で、その流れで本家本元の「君主論」を読んでみた。翻訳がわかりやすく、読みやすい。また、「わが友マキャベリ」でマキャベリの人生と「君主論」が書かれた背景を知った上だったので、古典とはいえ比較的理解しやすかった。
    君主のあるべき姿、国を維持していくために必要なことは何か。徹底したリアリズムから提示される教訓には、なるほどなと思わされる。君主として生き残るためには何でもありだと言っているかのようでもある。

  • 人間というものを批判的に分析し、君主の王道を説く本。西洋史に明るくないため、理解不足は否めないが、各国の君主たちの成功・失敗などの実例から学ぶことができた。

    「恩恵はよりよく人に味わってもらうように、小出しにやらなくてはならない」「加害行為は一気にやってしまわなくてはならない」…長時間かけた行為が自分のイメージ付けに繋がるのであれば、どうしても悪事に手を染めなければならないときは、一気に片付ける必要がある。反対に、良いことは少しずつ時間をかけて行う必要がある。

    「人間は、手にとって触れるよりも、目で見たことだけで判断してしまう」…自分が深く関われる存在はごく一部。多くの人にとってみれば、君主の存在は遠くから見るだけ。上に登るほど、大切にしたい意識だと思う。

    「人は慎重であるよりは、むしろ果断に進むほうがよい。運命は女神だから、彼女を征服しようとすれば、打ちのめし、突き飛ばす必要がある。運命は冷静な生き方をする人より、こんな人の言いなりになってくれる」…運命が定まっていると考えずに、自分自身がコントロールするものだと考えるべき。

    様々な君主を見てその成功と失敗をみたからこそ執筆できる名著と感じた。まだ社会人としては下層にいるが、昇進したときふと見つめ直したいと思う。

  • 非常に読みやすい。世間で言われるほど残忍な感じはしなかった。思想の根底に、「君主(リーダー)たるものが自らの責任で判断し果敢に行動することで未来は切り開けるのだ」というリーダーへの暖い眼差しを感じた。

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著者プロフィール

一四六九年生まれ。フィレンツェの政治思想家。少年時代より独学で古典教養を身につける。外交・内政・軍事の官僚政治家となり国内外で活躍、様々な型の君主と身近に接する機会を持つ。政変にともなって追放処分を受け、失意の日々に『君主論』を執筆、没後出版された。危機的状況を踏まえた激しい内容から権謀術数に長けた非道な思想家と呼ばれたが、一九世紀になって、同時代のレオナルド・ダ・ヴィンチ同様人間を冷徹な目で観察し科学的に認識した人物として高く評価される。一五二七年没。 一九二八年(昭和三)、東京都生まれ。京都大学文学部卒。京都大学大学院修了。大阪外国語大学教授を経て同大学名誉教授。主な著書に『伊和中辞典』(共編)、訳書にデッラ・カーサ『ガラテオ』、ペトラルカ『カンツォニエーレ(俗事詩片)』、レオナルド・ダ・ヴィンチ『解剖手稿』(共訳)などがある。

「2018年 『君主論 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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