当確師 (中公文庫 ま 50-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122066632

作品紹介・あらすじ

敏腕選挙コンサルタント聖達磨、人呼んで「当確師」。今回の依頼は圧倒的支持率を誇る現職を倒すこと。著者が政治の世界を描ききった選挙版「ハゲタカ」。

感想・レビュー・書評

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  • 「結局まだ有権者は自立してない」

    当確師、聖はありとあらゆる手段を用いて依頼者を当選に導くプロフェッショナルだ。時には強引な手も使うわけだが、確固たる信念を持っているようだ。
    選挙でこの国を浄化する。民主主義の主役は有権者であり、悪しき権力者を打倒することができると思わせることだと。

    今回打倒すべき「権力者」は鏑木次郎、養護施設出身ながら検事として成り上がり、政令指定都市「高天市」の市長三期目を伺っている。この鏑木氏、高天市を「首都機能補完都市」へと押し上げた功労者だが、長く市長を務めるにつれ傲慢さを隠さなくなり、実績に隠された闇が現れてきた。弱者の巧妙な切り捨て、利権の誘導などだ。

    対抗馬はNPO法人の代表、黒松幸子。彼女は「争わない主義」の人物だ。両名は主義こそ異なるものの、強かに実績を勝ち取る胆力がある。
    この点は鏑木氏の義弟、小早川選とはやや異なる感じがした。育ちが良い分淡泊だ。光が強いと闇も深くなるということか。

    両名の熾烈な戦いが始まるわけだが、結局やっていたのは組織が持つ票をいかに集めるかだった気がする。しかも宗教団体の票。
    若者の感覚として生活がそれなりに豊かだったらそれで良い、とか難しいことは考えたくないみたいな空気感があった気がする。いくらか国が豊かになると視野が狭まり理念のような物の力が弱まるのかもしれない。
    選挙には勝ったわけだが、聖がそれを乗り越え得たかと言われれば否と言わざるを得ないんじゃないか。

  • 真山仁の初読み♪

    筆者名は、大分前から知っていた。「ハゲタカ」なる人気シリーズをもっていることも。
    しかし、彼の名を初めて目にしてから15年以上・・・にして、初めて手に取った。

    娘と妻との3人でクリスマスに三つ巴のプレゼント交換をするのが、ここ4~5年ほどの我が家の恒例行事となっている。2000円持たせてショッピングモールで単独行動~父と母へのプレゼントを自力で選んで購入させる、という試み。

    小学校低学年時にはこっそり後をつけて無事を見守っていたが、いつしか娘は中学生。なんの心配もせずに2時間別行動し、落ち合った時に抱えていた僕へのプレゼントが、この本ともう一冊の文庫本だった。

    娘曰く
    「パパ、香川照之好きだ~、いい役者だぁ~って、いつも言ってたから。」
    「この前3人で観た映画の予告で『観たい』と言ってたから」


    一冊は、この本。(年末のスペシャルドラマ化を宣伝するために、香川照之さんが大写しになった特別版の表紙がついてる)

    もう一冊が、秦建日子さんによる、映画『サイレント・トーキョー』の原作小説。


    こういう観点でプレゼント選びをするようになったかぁ・・・と、娘の成長にニンマリした(^-^)v。


    さて、本編

    面白かった♪
    とっても!

    「当確師」なる架空の職業、という目新しい設定に、一気に物語に引き込まれた。

    素敵なエンターテイメントだった。

    娘から贈られた、という今回のようなケースででもなければ絶対に手に取ることはなかっただろう作品なのに、ここまで楽しめるとは・・・娘に感謝♪

    ★4つ7ポイント半。
    2020.12.28.新。

    人気作「ハゲタカ」も、近いうちに読んでみよう。

    • kuma0504さん
      こんにちは。
      とっても素敵な行事ですね。
      こんにちは。
      とっても素敵な行事ですね。
      2021/01/14
    • hs19501112さん
      コメントありがとうございます。
      周囲の同僚や友人たちにもおすすめしまくっています(^-^)v。
      コメントありがとうございます。
      周囲の同僚や友人たちにもおすすめしまくっています(^-^)v。
      2021/01/18
  • 先日SPドラマを見逃してしまったので、せっかくなら読んでから…と思い、読み始めたら、ノンストップでした。スカッとしました。これがどう映像化されているのか楽しみです。

  • これは面白かった。選挙の裏側で動いてる人たちがどのようにしているのかがわかる。
    ストーリーの展開のさせ方、見せ方もうまいし、最後の結末が気になって仕方がない。一気に読んでしまった。
    続編があれば読んでみたい。

  • 久しぶりの真山仁作品を読了。
    選挙コンサルタントの小説ということで新鮮な感じはありましたが『ハゲタカ』シリーズのような駆け引きのヒリヒリした感じなんかが無くて私としてはちょっと物足りなかった。

  • 選挙版のハゲタカですね。
    充分面白いです。
    ただ、上手く行き過ぎかな。
    もう少し波乱があった方がもっと面白くなると思いました。

  • ハゲタカで有名な真山さんの政治モノの本。
    最近は、「オペレーションZ」はじめ、政治モノも結構ありますね。

    ※オペレーションZ
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4101390533#comment

    タイトル(当確士)の通り、選挙を勝たせるコンサルタントの話です。
    小説では、市民に絶対的に支持されている市長に、
    勝負を挑み(もちろん小説ですから)最終的には勝利するというストーリーなのですが、
    選挙の内側が垣間見れて、
    そこまで政治に興味がない人でも楽しめる作りになっています。

    欲を言えば、もう少しスリリングな展開があればよいのですが、
    徐々に市長側を追い詰めていくストーリーを楽しむことができます。

    個人的には、最後の池上彰さんによる解説が最も面白かった!笑
    真山さんはビジネス系の方が面白いなぁと思いつつも、
    彼が政治の世界をよくしたいという思いが伝わってくる小説です。

  • 私が読んだのは、2020年2月10日 4刷発行の本である。

    表紙も、当確の赤い花でなく、ポスター掲示場と2020年度ドラマ化決定と、描かれている。

    政治に疎いが、我兄が、政治家と同級生という事もあり、少し読んでみた。

    いま米大統領選で、TV討論会も行われていて、相手の悪評を投げつけながら、討論(?)しているのを見ながら、次から次へと、相手の難点を叩きつける様は、異様である。

    日本の選挙裏には、どのようなのか?
    この本は、当選は100%無理であろうという立候補者を当確させる話である。

    しかし、解説 池上彰氏曰く、そのような現市長に勝てる候補を選出して、その候補者を当確させるという、不可能を可能にさせる当確師(?)という人が、居ると・・・・

    小説だけの話かと、最初読んでいたのだが、最後を読んで、ビックリ。

    「死者の出ない戦争」とは、よくぞ言ったと、言う表現である。

    昔は、電話投票や、身内、知人への依頼が、多かった。
    でも、ある宗教団体は、選挙の為に、住民票を変えて迄、其処の選挙区を応援するのだと知った時は、衝撃が、強かった。
    今や、ネットで、流すのだろうけど、怪文書もフェイスニュースになるのだろう。

    百地実のモデルであろう小松左京氏は、日本沈没など執筆されていたが、今の時代からの未来の日本、どう描くであろう。

    古代遺跡を破壊してまで、未来を先取りしてハイランド構想ヘしたかった市長の思惑が、選挙の白黒を表した。

    政府の補助金目当て、被災地復興支援の資金も有効に使って欲しいと、思う。
    そういえば、安倍のマスクは単価143円で、どれだけ配られてのだろう?
    どこかで、市民の税金が抜かれているのかもしれないと、思うと、なおざりでの政治家は、目覚めて欲しいものだと、、、思いながら、選挙の裏側の内情をちょっとだけ、垣間見たような気がした小説であった。

  • 久しぶりに真山仁の小説を読んだ。面白かった。最後がやけにあっさりしてたように思うけど、告知した時点で誰が当選するか分かってたら、こういう感じなのかな。

    視点としては、一般人の視点があるともっと入り込めたかも。その分、読みにくくなるかもだけど。

    でも、そもそも、選挙で「組織票」ってものがあるのがおかしいと思うんだよなあ。一人一人が、自分の考えで投票するべきなんじゃないの?組織票が機能してるってことは、はいはいって言う通りにみんな投票してるってことだもんね。

  •  政治の世界の話なので難しいのかなと思っていたが、そんなことはなく非常に読みやすい内容だった。選挙という名の戦争にどう立ち向かうか、特に現職圧倒的有利と言われる地方選挙において、どのように戦うか、知恵を巡らせた頭脳戦が展開される。盗聴に謀反、何でもありの選挙戦の攻防を描く。
     最後はちょっと意外な形で急転直下の結末となるのが少し残念ではあったが、人々の裏の顔が全面的に展開されているところが面白い作品に思う。

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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