野呂邦暢ミステリ集成 (中公文庫 の 17-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 117
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122069794

作品紹介・あらすじ

長崎県諫早市を拠点に執筆活動を続けた芥川賞作家・野呂邦暢。端正な文体で読者を魅了した多彩な作品群の中からミステリ作品を初集成。早すぎる晩年の五年間に発表された「失踪者」「もうひとつの絵」「ある殺人」など中短篇八編と随筆八編を年代順に収録する。文庫オリジナル。    〈解説〉堀江敏幸


■目次

 Ⅰ

失踪者/剃刀/もうひとつの絵/敵/まさゆめ/ある殺人/まぼろしの御嶽/運転日報

 
 Ⅱ

歯形/作家の眼/マザー・グースと推理小説/南京豆なんか要らない/アリバイ/さよならマーロー君こんにちはモース警部/私のシェヘラザードたち/推理小説に関するアンケート

感想・レビュー・書評

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  • どの短編もミステリとして真実や結末を知りたくて読み進めたのだけれども、読後感はまさに文芸を読んだもの!
    なんの変哲もないような日常からちょっとしたことで浮き上がってくる人間の過去、土地の歴史、そこから浸み出す暗闇に読んだ後もしばらく圧倒されました。
    後半の著者によるミステリについてのエッセイも素晴らしく文芸的で、とても良かった。

  • 素晴らしかった。
    今まで知らなかったのが勿体なく感じる。
    インスマスやダゴンを思い起こさせる「失踪者」が白眉だと感じた。
    エッセイも首肯する言葉が沢山あった。
    もっと読んでみたい。

  • ミステリの中短編とミステリに関するエッセイ。
    ミステリの醍醐味は犯人探しだけではない事を実感。登場人物の内面や不穏な状況に引き込まれていく。派手なトリックやすっきりとしたラストがない代わりに、なんとも言えない余韻が残ってクセになる。
    エッセイの部分で納得。エッセイは著者の作家としての考え方が見えて興味深く、なによりミステリ大好き!っていう思いが溢れてて楽しかった。
    本好きあるあるのエピソードもあって共感。ますますファンになった。新作が読めないのが残念。幸い全集が出版されているので大事に読んでいきたい。

  • 「失踪者」「もうひとつの絵」「剃刀」など中短篇八編とエッセイを併せて年代順に収録。推理小説好きを自認した芥川賞作家のミステリ集。〈解説〉堀江敏幸

  • 8つの短編のうちの最初の3作のミステリーを読んだ。正直気持ちが良くない。暗くて、心が陰鬱になる。ミステリーとはこんな小説が多いのか。残りの5作品は読むのを止める。

  • 久しぶりの野呂邦暢さん。
    大衆向けに描かれたミステリで非常に読みやすいながらもシンプルな文章の端々に野呂さんの端正な筆致が光っています…大衆向けに、と言うかご本人がノリノリだったのかと、後半のエッセイで思い直しますw
    前半がミステリ短編、後半は野呂さんの美しい文章で綴られたミステリにまつわるエッセイ。ミステリ短編は、昨今持て囃される複雑怪奇ながらも最後は綺麗に回収される謎解きモノがお好きな方はモヤモヤするかもしれません。若干の謎を残す描き方によってこちらが想像する余地をミステリの余韻として楽しめる方にはとても楽しめるのではないかと。また『失踪者』のサバイバルのリアリティさは恐らく、ご自分の自衛隊時代の経験も活かされてるのだろうな、とか、舞台は長崎五島(ですかね?)のため、土地勘のある方の方がより楽しめるのではないか、等々感想が尽きません。
    野呂さんの本はハードカバー(またはお高めの文庫w)なので、お手頃な文庫として手にできるのはファンとしては非常にありがたいです。

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著者プロフィール

野呂邦暢(のろ・くにのぶ)
1937年長崎市生まれ。戦時中に諌早市に疎開、長崎被爆のため戦後も同市に住む。長崎県立諫早高校卒業後上京するもほどなく帰郷、1957年陸上自衛隊に入隊。翌年除隊し、諌早に戻り家庭教師をしながら文学をこころざす。1965年「ある男の故郷」が第21回文學界新人賞佳作入選。1974年自衛隊体験をベースにした「草のつるぎ」で第70回芥川賞受賞。1976年、初めての歴史小説「諌早菖蒲日記」発表。1980年に急逝する。著書に『愛についてのデッサン』(ちくま文庫)、『野呂邦暢ミステリ集成』(中公文庫)、『野呂邦暢小説集成』(文遊社)、などがある。

「2021年 『野呂邦暢 古本屋写真集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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