- Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122070189
作品紹介・あらすじ
新しい料理の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである――。1825年に刊行された『味覚の生理学』は、日本では『美味礼讃』の訳書名で知られてきた。美食家としての情熱と蘊蓄を科学的知見をもとに掘り下げ、食べることが人間と社会にとっていかに重要であるかを説いた美味学の古典。大胆な編集にもとづき、平易な訳文・親しみやすい解説を施した決定版。
感想・レビュー・書評
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美食家としての情熱と蘊蓄を科学的知見をもとに掘り下げ、食べることが人間と社会にとっていかに重要であるかを説いた美味学の原典。新編集による決定版。
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「君が何を食べているか言ってみたまえ。君が何者であるか言い当ててみせよう」という名文で知られる美食の神様、ブリア・サラヴァン。彼の著作『美味礼賛』は、食に憑りつかれたグルマンディーズにとっての必読書である訳だが、ブリア・サラヴァンに並ぶ狂人、玉村豊男(彼の『料理の四面体』は奇跡の一冊である)による翻訳版が本書である。
本書の特徴は、話題がとにかく散逸しがちな原著の傾向を踏まえ一定の取捨選択を行った上で、本文の合間に玉村豊男による解説文が挿入される点にある。1825年に執筆された『美味礼賛』はその当時の時代背景を知らないと意味不明な箇所も多々あるため、この編集方針は本書を楽しむ上で非常に効果的であると感じた。
さて、肝心の本書の内容だが、単に美食を礼賛するだけの本かと思えば、全くそうではない。食をテーマに、とにかく思いついた内容をひたすら書きなぐっていった、という方が正しく、なかなか驚かされる。
特に食事とセクロスの関係について語られた箇所は、竹内久美子も「そんなバカな!」と驚くトンデモ理論が語られる。何せ、「肉食よりも魚食の方が精力が盛ん」というものであり、読んでいて頭が痛くなってくる。
他にも、「澱粉は人間の気質を穏やかにする。コメ食メインのインド人はどんな侵略者にも抵抗せずに奴隷化する」という一文は、さすがのガンジーも墓場から出てきて全力でぶん殴るレベルのトンデモ理論である。
こんなトンデモ理論も含めて、とにかく面白い。食に関心のあるグルマンディーズ諸子にはぜひ読んでいただきたい一冊。