私はたゆたい、私はしずむ (中公文庫 い 127-3)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 59
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122070851

作品紹介・あらすじ

真実が、ふたつある。

成功者たちを襲う連続殺人。

このラストはハッピーエンドか、それとも――

ベストセラー『ため息に溺れる』著者による戦慄のミステリー


交流人事で八丈島に渡った薫と赤川は海上で所属不明の客船を発見。中には海上で遭難した上流階級の子女七人が乗り込んでいた。彼ら以外に乗員はおらず、誰かが操舵している形跡もない。だが船はひとりでに航海を続けていた――。謎に包まれた船中で彼らの一人が殺害される。その遺体は半身が溶けて液体となり、床に染み込んでいた。

感想・レビュー・書評

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  • 警察の人事交流で、八丈島へ行くことになった刑事の薫と赤川。特に事件もなく、非番の日、赤川の同級生が研究のため八丈島の近くの無人島へ行くこともあって、二人も同行した。そんな時、遠くの方で謎の客船を発見。近づいてみると、中には七人の若者がいた。クルーザーが壊れて、救命いかだで漂流していたところ、この客船を発見したという。
    その時、客船が動いた。誰もいないはずなのに。客船内は色々不可思議な点があり、状況は困惑だらけな中、連続殺人が起きる。


    序章から、復讐劇が始まるというゾクゾクした展開でしたが、読み終わった後、改めて振り返ってみると、色々不要な要素があるように感じました。

    基本的には客船内での連続殺人事件の発生と推理、解決なのですが、人事交流や無人島などの設定といった「これ必要かな?」とか思ってしまいました。その分、客船での出来事をじっくりと味わいたかったです。ちょっと急ぎ目で連続殺人が発生していくので、あっという間感がありました。
    もう少し、登場人物の心理描写が欲しかったです。

    現場に残される謎のメッセージもわかりやすく伝えているのはわかるのですが、わかったところで復讐に直接関係のないキーワードなので、ちょっと微妙かなとか思ってしまいました。

    本の帯では、「真実が2つある」と紹介されていますが、深く掘り下げてみると、多くの真実を発見できるので、どれが2つ?と迷ってしまいます。おそらく、プロローグとエピローグの独白による真実だと思いますが、あっと驚く要素が他にもあるので、スッキリというよりはざらつきのある気持ちがありました。

    犯人の存在も、ミステリー好きの方には、多分わかるかと思います。疑問だと思った要素が、後になって発揮されるので、驚くというよりは、納得という気持ちが勝っていました。
    最終的には、金持ちの気持ちは、よくわからないというのが正直な気持ちでした。

    ただ、最後のエピローグは、ゾワっとさせる展開で面白かったです。不安を掻き立てる文章に衝撃が走っての結末なので、最終的には冷たい風が吹いたような気持ちになって楽しめました。

  • シリーズ第3弾。

    立川署刑事コンビが人事交流で八丈島へ。
    八丈島近くの無人島近海で大きな客船を発見。
    その船で起こる連続殺人事件の真相を追うお話。

    主人公の女性刑事の深い心の傷もそろそろ癒されてほしい。
    次作では期待したい。

  • 主人公が恋愛脳すぎて読むのがしんどい。しかもかなり偉そうに品定めしてる。気になる相手にアピールはわかるけど、タイプじゃない人にはぞんざいって人としてどうかと思う。
    というのがずっと気になるのでイライラする。ゴミみたいな性格のやつしかいない。殺される側に問題があるパターンは金田一少年に似てる。エピローグでちょっとほっとした。クズ共が全滅しただけなのでハッピーエンドですね。
    実家が大金持ちでも驕らず、諦めず、人当たりがよくて機転もきく赤川さんは本当にいい人なので癒しだった。主人公に捕まらず幸せになってほしい。

  • 八丈島近海で無人の客船を発見した刑事の薫と赤川。中には海上で遭難した「成功者」たちが。謎に包まれた船中で凄惨な連続殺人が発生する。文庫書き下ろし。

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著者プロフィール

1985年神奈川県生まれ。25歳のときに書いた『グレイメン』で2011年に国際的小説アワードの「ゴールデン・エレファント賞」第2回大賞を受賞。’12年に同作品が日米韓で刊行となり、26歳で作家デビューを果たす。『エウレカの確率 経済学捜査員 伏見真守』は、経済学を絡めた斬新な警察小説として人気を博した。また’18年に『60(ロクジユウ) 誤判対策室』がドラマ化され、『20(ニジュウ) 誤判対策室』はそれに続く作品。その他の著書に『小鳥冬馬の心像』『法廷外弁護士・相楽圭 はじまりはモヒートで』『ため息に溺れる』『キリングクラブ』『第三者隠蔽機関』『本と踊れば恋をする』『この色を閉じ込める』『断罪 悪は夏の底に』『いたずらにモテる刑事の捜査報告書』『私はたゆたい、私はしずむ』『闇の余白』など。現在は医療系企業に勤めながら、執筆活動に励む。

「2022年 『ゾンビ3.0』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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