愛なき世界(下) (中公文庫 み 51-3)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122071445

作品紹介・あらすじ

恋のライバルが人間だとは限らない! 洋食屋の青年・藤丸が慕うのは〝植物〟の研究に一途な大学院生・本村さん。殺し屋のごとき風貌の教授やイモを愛する老教授、サボテンを栽培しまくる「緑の手」をもつ同級生など、個性の強い大学の仲間たちがひしめき合い、植物と人間たちが豊かに交差する――本村さんに恋をして、どんどん植物の世界に分け入る藤丸青年。小さな生きものたちの姿に、人間の心の不思議もあふれ出し……風変りな理系の人々とお料理男子が紡ぐ、美味しくて温かな青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、今までの人生で何かに夢中になった経験があるでしょうか?

    長い人生を生きていれば色々なことに興味も湧きます。子どもの頃、野球に、サッカーにと、スポーツに夢中になった人もいるでしょう。一方でテレビ番組の”博士ちゃん”のように大人も顔負けな専門分野の知識をもって情熱を注ぐ姿を見せた人もいるでしょう。しかし、私たちは自分自身や身近な人を除いてそんな情熱を見せた人のそれからを追えるわけではありません。あんなに情熱を持っていたのに…とその先には全く違う生き方へと針路を変えた人もいるかもしれません。というより、そういう人の方が実際には多いのではないかと思います。そして、そこには、それぞれに色んな事情があると思います。家庭の事情含め人が生きていくには自分の意思だけで決められないことも多々あります。しかし、中には幼い頃に夢中になった夢をどこまでも強く持ち、そんな夢中、つまり夢の中の世界に人生を進めていく人も必ずいるはずです。

    そう、この作品は、『実験って、植物って、なんておもしろいんだろう』と思う一人の大学院生の物語。そんな道を歩むことを『もう、やめられそうにない。やめたくない。生きるのをやめられないように』と強く思う一人の女性の物語。そして、それは『私は植物に恋をしている』と、実験と研究に明け暮れる日々を送る研究者が『植物学』に注ぐ『情熱』を感じる物語です。

    年末年始を、『両親のもとでつつがなく過ごした』主人公の本村紗英。そんな本村は『お母さんたちもだんだん年を取るんだ。なんとか研究者として食べていけるようになって、安心させてあげたい』と感じます。その一方で『川越の環ちゃんがね』と母親が口を滑らせたことで従姉が既に結婚、子供が産まれたことを知った本村は『母親が本村に気をつかい、従姉の結婚や妊娠や出産を報告してこなかった』事実を知り『情けないやら悔しいやらで、怒りがこみあげてくる』思いをします。そして、休みも終わり研究室へと戻った本村は『あいかわらず理学部B号館に篭もる毎日』をスタートさせました。『四重変異体の株を得るべく、千二百粒の種を順次播く作業を』進める本村に、『そのなかに四重変異体があるといいね』と声をかけてくれたのは助教の川井でした。そんな川井は突然気になることを言い出します。『ところで、松田先生は最近変じゃないかな』。実は『円服亭での忘年会の夜から、松田はどことなく沈んだ様子だった』ことに気づいていた本村は『松田先生、なんとなく元気がないですよね』と返します。しかし、川井は『むしろ、ものすごく話しかけてくるんだけど』と正反対のことを言います。間もなくボルネオへと調査に赴く川井に『インターネットでよさそうな寝袋を見つけたのですが』、『ジャングルに行くとなったら、トレーニングが必要でしょうね』と『隙を見ては雑談を持ちかけてくる』という松田教授。そんな松田に何があったのか気になる本村は、松田より十五年上で『松田が院生のころから親しい』諸岡教授に『松田先生の様子がなんだか変なんです』と相談を持ちかけました。『先生、なにかご存じでしたら教えてください』と詰め寄る本村。『ややあって』口を開いた諸岡は『松田先生には院生時代、同期がいたんです。院からT大に来た奥野くん…』と語り出します。『とても優秀でした。しかも快活な男で… 仲のいいライバルになりました』と全て過去形で語られる話に本村は『奥野さんというかたは、いまどうしているんですか?』と訊き返します。それに『亡くなりました』と、『本村が半ば予期していたとおり』の答えを返す諸岡は『調査採集に行った山で…』と口を濁します。そして『奥野くんの死以降、松田先生がいっそう研究に打ちこむようになり、いっそう陰気にもなったということです』と続けました。そんな松田に隠された真実を知った本村は、研究を続けながらも松田のことが気になって仕方ありません。そして、川井と三人になった機会についに切り出します。『松田先生は以前、山でお友だちを亡くされたことがあるそうですね…』。そんな本村の問いかけに『みなさんに心配をかけていたようですね』と語り出した松田は、過去に隠された衝撃的な事実を明かすのでした。

    さて、あまりに濃い『植物学』の世界が展開した「上巻」に続くこの「下巻」。元々一冊の単行本を二分割した作品ということもあって雰囲気感に大きな違いはありません。というよりも『植物学』に関する内容はさらに濃くなりながら物語は展開していきます。このレビューを読んでくださっている方の中には大学で研究に携わっていらっしゃる方もいるかもしれませんが圧倒的大半の方はそんな世界とは無縁の世界で生きていらっしゃると思います。そんな身には大学での研究に明け暮れる人々の生き方をそこかしこに知ることができるこの作品は極めて興味深く映ると思います。そんな中から『ライバル』という側面を取り上げたいと思います。『松田研究室の面々は仲がいい』という通りこの作品では一見和気あいあいとした研究室の面々の姿が描かれています。しかし、『自分以外のだれかが実験で成果を上げたり、いい論文を発表したりすると、どうしてもあせる気持ちを抑えきれない』と、『思わず嫉妬してしまうこと』があるといいます。それは、『大学や研究所で職に就き、研究をつづけるためには、着実に実績を積みあげて、相当狭き門をくぐらなければならない』という研究現場の現実がありました。これは、会社でサラリーマンをされている方だって似たり寄ったりの状況はあると思います。『いろいろ相談に乗ってもらうことも多』いという状況があったとしても、特に『同性かつ年が近い』と、『やはり、二人はライバルでもある』とお互いを意識せざるを得ない現実があります。生きていく世界が違っても人の悩みというものは変わらない、研究者の世界に少し親近感が沸きました。また、『研究は個人単位で進めるものだけでなく、さまざまな大学の研究室が協力しあって取り組むものもある』と、『夏休みに開催される』『合同セミナー』の様子も描かれていきます。この作品ではそんな舞台で発表する本村と、一方でその舞台裏でセミナー参加者のために弁当を作り、配達する藤丸のそれぞれの姿が描かれていきます。この作品のメインは『植物学』に携わる研究者たちの物語だと思いますが、そんな研究者たちを支える、決して表に出ることなく裏舞台で研究者を支える人々の姿も同時に描くことで”お仕事小説”の奥深さを感じる作りになっていると感じました。

    そして、そんな物語の後半は「上巻」のレビューでも触れた『四重変異体とは、なにか』が物語の中心になって進んでいきます。「上巻」で非常に細かく触れられたのには理由があった…若干の斜め読みをしてしまって後悔の私(笑)という位に、この作品を読み終えるには『四重変異体』から逃れられなくなっていきます。ただ、『どの遺伝子が壊れると「葉っぱの制御システム」にどんな影響が出るのか』、『四重変異体「abcd」は、遺伝型を正確に記すと「aabbccdd」となる』、そして『メンデルの「分離の法則」により、遺伝型「AA」「Aa」「aa」は、「1:2:1」の割合で出現する』と、際限なく展開する専門的な内容にはやはり私の理解が全く追いついていきません。そんな中で、私の目が釘付けになる三文字が突如登場しました。『交配がうまくいったのか、これが本当に四重変異体なのか、ちゃんと段取りを踏んでPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)にかけるようにします』という説明に登場した、『PCR』という三文字です。今や我が国のというより全世界の中で知らない人はいないと思われるこの三文字。巻末に「上巻」同様に用意された〈特別付録 藤丸君に伝われ 植物学入門〉に『ごく微量のDNAでも解析可能な量まで増幅させる技法で、さまざまな遺伝子の解析に利用される』と説明される『PCR』。2018年の単行本刊行時には、まさかこの言葉が2021年の文庫刊行時に全世界的に市民権を得ることになっていようとは三浦さんも思わなかったと思います。私たちとは全く縁のない研究の世界と思っていた彼らの世界が、少し身近に感じた象徴的な三文字でした。

    そんなこの作品、「上巻」「下巻」併せて全五章から構成されていますが、「上巻」のレビューで書いた通り、てっきり物語の主人公と思われた藤丸から本村へと主人公が交代、藤丸はなんだかその他大勢の一人のようになって第二〜四章が展開します。しかし、最後の第五章になって、再度の主人公交代劇が起こります。それは、藤丸の本村を思う気持ちに再び焦点を当てるものでもあります。『本村と会うたびに、いつも植物のことしか考えていないのだと思い知らされた』と普通なら恋に破れて落ち込むはずが『自分の作った料理や菓子が、本村の肉体を作り、維持する手助けをしている』と、喜びを見出す藤丸の姿はなんだかとても健気です。『恋のライバルが常に人類だとはかぎらない』と超前向き発想の藤丸は、『本村の心は、植物のものだ』とさえ思い至ります。藤丸にそんな風に思わせる位に本村の植物への愛情は半端ではありません。『植物は愛のない世界に生きてるから、自分もだれともつきあわないで、植物の研究にすべてを捧げる』という本村の強い決意は見方によっては一歩引いてしまうほどです。そして、この作品の書名である「愛なき世界」は、ここから取られたものだと思います。しかし、この作品を読み終えて感じるのはそんな書名に反して、この作品は『愛』に満ち溢れた世界を描いた物語だったということです。植物への強い思い、植物のことを知ろう、知りたいという強い思いを持つ本村。そんな本村に藤丸はこんな問いかけをします。

    『その情熱を、知りたい気持ちを、「愛」って言うんじゃないすか?』

    そう、読者がこの作品を読んで間違いなくそこに強く感じる『愛』。それは、『植物』の研究に強い情熱を持って、全てを捧げる研究者たちのひたむきな生き方が感じさせるものなのだと思いました。

    『実験に筋書きなんかない。研究に期日なんかない』、『失敗しても工夫を重ね、この世界の理ににじり寄りつづける』、そして『自分の命が尽きる日まで、「どうして」と問いかけ、謎を追究しつづける』。この作品ではそんな風に実験と研究に明け暮れる研究者たちの姿が描かれていました。私たちは教科書で、参考書で、そしてインターネットで、さまざまな『知りたい』といった欲求を満たすことができます。そんな私たちの欲求を満たしてくれる舞台裏には、研究者の皆さんの地道な実験と研究の日々が隠されていることをこの作品と出会って知ることができました。もちろん、この世にはまだまだ未知の事ごとも多く残されています。しかし、『知りたい』という好奇心が、『知りたい』という気持ちが、そして『知りたい』という情熱が人にある限り、いつの日かそんな事ごとが解き明かされる未来がきっと訪れるのだとこの作品を読んで確信しました。

    研究者の皆さんが向き合う日常に光を当てたこの作品。三浦しをんさんの”お仕事小説”の傑作がまた一つここに誕生した!そんな風に感じた人の情熱に溢れる作品でした。

  • すき
    すきなしをんさんだった

    ひとつの事に情熱を注ぐ人を描くのがとても上手。箱根駅伝も辞書作りも、知らなかった世界に興味を抱かせてくれるしをんさん。

    今回は植物の研究。

    なんだけど、Т大学傍の洋食屋「円服亭」で見習いとして働く藤丸青年の話しから始まる物語。この藤丸青年の天真爛漫さと 少しアホなところがめちゃくちゃいい。

    藤丸青年の恋するお相手は T大の大学院で「葉っぱ」の研究をする本村さん。『恋のライバルは草でした』の帯の通り、本村さんは恋することも結婚も捨てて植物に全てを捧げると誓う女の子。
    本村さんと同じ研究室の仲間も変人ばかりでまたいい。

    本文はほぼほぼ本村さんと愉快な仲間たちの植物に対する異常な愛や 研究内容や 実験や それに対してぶつかる壁や。 専門用語の飛び交う文章に頭は?だらけでついていかないんだけれど、そこで藤丸の存在が救いになる! 本村さんの説明を聞く藤丸の頭の中も?だらけだし、遺伝子AHOを「アホ」と呼び、顕微鏡で見たシロイヌナズナの細胞を「星が見える」と感動し、あ、藤丸 わたしと同じレベル、これでいいんだ!って安心して読み進められた。研究室のみんなも 藤丸の「公私混同」を「子牛近藤」と脳内変換するアホさに、いや可愛さに救われてるはず。

    ✍︎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
    「その情熱を、知りたい気持ちを『愛』って言うんじゃないすか?」
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    植物を愛する本村さん
    本村さんに恋する藤丸
    藤丸に愛情を持って接する師匠や常連客

    「愛なき世界」は あちこちに愛が散りばめられた世界でした。

  • 下巻もやはり愛ある世界だった。
    研究者あるあるも面白かったし、皆まっすぐで眩しくすらあった。

    藤丸くんの想いが報われて欲しいと思いつつ、期待する結末ではなくても…きっとそこには違った形の愛があるだろうからまぁいいか、と思う自分もいる。

    植物学に触れ、木や葉、花を見て普段は疑問に思わないことを考えたりした。知らなかった世界をほんの少しでも知れるのは、やはり楽しい。

  • 三浦しをん「愛なき世界」(2018年9月単行本、2021年11月文庫本)。文庫化する時に(上)(下)に分冊され、今作は「愛なき世界(上)」と同時に改題された「愛なき世界(下)」。
    この小説の二人の主人公、洋食屋の店員、藤丸陽太(23歳位)とT大大学院で植物(シロイヌナズナ)を研究している本村紗英(25歳位)の関係は進展するのか、本村の研究は成功するのかと言う二つのテーマから始まった物語。果たしてその結末はどうなるのかと言う話なのだが、普段縁のない植物研究の世界、とりわけ大学院の研究室の様子や研究員の構成、実験の方法、研究の発表の様子などがわかる、かなりマニアックな世界に近づくことが出来る小説だ。

    藤丸の本村への片想いの愛は二度の告白にも結果的には受け入れられなかったが、将来的には結ばれるような雰囲気が感じられる終わり方だ。植物の研究だけが人生の目的の本村だが、それを受け入れている藤丸。料理人としての人生に喜びを感じ、探究心と人を気づかう優しさや細かいところに目が行く鋭い探求眼を持っている藤丸なら本村の研究を支えながら、一緒に人生を歩むことがきっと出来るだろうと思ってしまう。二人の幸せな人生が目に浮かぶのだ。

    本村の研究は毎日地道で繊細な作業も順調にいっていたはずが思わないトラブルに遭遇する。シロイヌナズナの実験に用いる変異遺伝子を持った葉っぱの変異株を最初に取り違えてしまったのだ。一からやり直すには今すぐ決断して取り掛かって期限に間に合うかどうかぎりぎりのタイミングだ。予定の変異株とは違っていても今までの実験の状況は悪くはない。しかし間違いなく最初の段階でミスをしている。誰にも相談出来ずに一週間経ち、円服亭に集まった研究室の仲間から問いただされ、遂に打ち明ける。実験をやり直すか、このまま続けるか、意見が交わされる。
    川井と岩間がやり直しの方向を論じたところで加藤が継続を推す。議論は右往左往し意見がまとまらないところで、どう言う訳か川井が藤丸に意見を求めたのだ。
    藤丸は料理に例えて経験と実感に基づいて一生懸命喋った。本村にもう迷いはなかった。川井は藤丸に感謝し岩間も藤丸の言葉に感じるところがあったようだ。加藤も茶化すが本村に応援の言葉を投げる。
    本村は松田教授にミスの全てを話すと、一週間も一人で悩んでいたことに松田は謝るのだった。実験継続の方針にも松田はあっさり同意し、逆に「失敗の先に思いがけない結果が待っているかもしれない」と激励する。

    T大理学部講堂での合同セミナーの2日分の昼食弁当と終了後の打ち上げパーティ用の料理を円服亭で準備することになった。合同セミナーにはT大大学院からは松田研究室と諸岡研究室が参加し、他3大学の大学院が参加し、参加者は総勢52名になる。この料理を藤丸と円谷の二人で作るのだから時間との勝負だ。しかも円谷は通常の円服亭の店の営業もしながらだ。円服亭からT大までの搬入は花屋のはなちゃんが店のバンを運転して手伝ってくれた。藤丸は免許を持っていなかった。
    昼弁当は夜も明けない内から二人で取りかかり11時半までに搬入する。円谷はすぐに店の昼営業に取りかかりランチ客に対応するという離れ技だ。二日間の昼弁当は好評に終了し、最後の打ち上げパーティ用の料理では海外の留学生の宗教上の制約にも気遣いし、感謝、絶賛されて終了した。

    本村のシロイヌナズナの研究発表も何人もの人が質問するほど関心を集めた。最後部の席で聞いていた藤丸は感無量になり、松田教授と諸岡教授は笑みを浮かべていた。藤丸の本村への想いは成就しなかったが、二人の信頼関係は間違いなく深まったはずだ。
    「愛のない世界を生きる植物のことを知りたい」という情熱に突き動かされて自分も誰とも付き合わないで植物の研究に全てを捧げると言う本村。
    その情熱をもっと知りたいと思っている藤丸。
    そして「その知りたい気持ちが愛だ」と言う。「植物のことを知りたいと思っている本村も研究室の皆んなから知りたいと思われている植物も同じように愛ある世界を生きている」と熱く語るのだった。

    本村はこれから先もずっと植物の研究に没頭するのだろう。そして藤丸は料理の腕を磨きながら、研究室にランチを宅配するついでに実験を見せて貰うのだろう。そうして何年か経った時、何かが変わるような気がする。愛なき世界は愛ある世界に通づるような気がする…。

  • 植物の研究
    面白そうだなと思った。
    植物好きだけど、今まではただ眺めているだけだった。
    変異株の存在も気にしたことはない。
    ただ眺めるだけ。
    我が家にもパキラがいるけど、葉っぱの大きさの違いとか気にしたことがない。
    これからはちょっとその辺も気にしつつ観察してみよう。

    藤丸と本村の関係。
    悪くないと思う。
    何度振られても好きなものは好きだろうし。

    三浦しをんさんの作品、やっぱりいい。

  • 面白かった。
    愛なき植物の世界とそれを愛する人たちの世界がとても美しく描かれ、下巻後半からは<終わってほしくない>と思ってしまうほどずっと浸っていたい世界観だった。

  • 私は研究者でも理系が得意な人でもないので、難しいと感じるところもありましたが、いつの間にか、植物の研究に打ち込む本村の立場になって読んでいました。面白かったです。伊予原新さんの解説のところも。

  • 藤丸くんにはこのまま引き続き頑張ってもらいたい。

    愛なき世界だけど色々な意味では愛に溢れた物語でした。好き

  • 大学で行われている「研究」の一端を垣間見ることが出来る。登場人物は魅力的だし、ストーリーも面白い。ただ、個人的には納得のいかない終わり方だった。続きはないのかな、と思ってしまう。

  • 研究って大変だってのはよくわかったけど、実験過程が長く事細かく説明されても何のことやらよくわからなかったので、そこは読んでてちょっと退屈だったのが残念。
    何のためかわからないようなことを、知りたいからという欲求でここまで突き詰めてできることはすごい!
    研究と比べるのはおこがましいけど、何のためになるかわからないような日々の営み、それが人生で、それでいいのだ!とも、自分に置き換えて思ったりもした。
    愛の対象が何であれ、そこまで愛を持って生きられることは幸せだ。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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