小説作法 (中公文庫 こ 62-1)

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  • 中央公論新社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122073562

作品紹介・あらすじ

なぜ、小説を書くのか?
書き続けるために本当に大切なこととは?
そもそも、小説とは何なのか、何ができるのか――?

常に現代文学の最前線を疾走し続けた作家が、これからの創作者に向けて伝える窮極のエッセンス。
単著未収録のロングトークを中心に、文体論、作家の個性、絵画・美術といった他ジャンルとの比較など、長年にわたり発表してきた小説論を初めて精選。
さらに巻末には、著者最晩年(2005)における保坂和志氏との伝説的対談「小説の自由」を収録。

本書を読み終えた時、あなたの小説観は確実に何かが変わっている――。

(文庫オリジナル/解説=保坂和志)

【目次】
Ⅰ 小説の文体(一つのセンテンスと次のセンテンス/『考え方』の藤森良蔵/わが精神の姿勢)
Ⅱ 小説の新しさ(肉体と精神/日本文学とユーモア/私の小説作法/モデルとプライバシイ/抽象主義の作家たち/共通の心の場とは何か/摩擦音の如きグロテスク/私の考える「新しさ」ということ)
Ⅲ 小説の論理(思想と表現/愚劣さについて)
Ⅳ 小説と絵画(ゴッホの絵について/エドガー・ドガ/喜怒なきマスクの如く)
Ⅴ 小説と芝居(小説と戯曲の間/小説と演劇/初めて戯曲を書いて)
Ⅵ 小説と書簡(小説とは何か)
Ⅶ トークより(私の小説・評論・芝居(1972)/我々と文学(1972)/カフカをめぐって(1983)/いかに宇野浩二が語ったかを私が語る(1985)/男の領域と女の領域のせめぎあい(1985)/そして小説は生き延びる(2000)/対談・小説の自由(2005))
 解説 保坂和志

感想・レビュー・書評

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  • 久々の小島信夫節。近頃科学書とかわりと論理的な文章ばかり読んでいたのでちょっとびっくりした。

    いちおう小説論集という括り。
    しかし話は道を逸れ、あちこちに飛ぶ。トークは一見やる気がない。
    でもその合間にときどきすごいことを言う。

    読者が読みたがらなくさせるために分厚い小説を書くという作家はこの人くらいしかいないのではないか(笑)

    要するに小島信夫は、自分が小説について考えたいがために小説を書いているタイプの人なのだろう。
    だから極端な話、読者はいらない。氏が本書で論じている、カフカのように。

    それに付き合わされる読者はたまったものではない。いや、正確に言えば、ストーリーとかカタルシスを期待して小説を読む読者にとっては苦痛でしかないだろう。

    しかし小島作品には私小説ともちょっとタイプの違う現実がありありと描かれている。それにぎょっとさせられる。
    私はてっきりこれは天然で行っているのだと思っていたけど、本書を読む限りだいぶ確信犯だ。

    とくに、カフカ論と、保坂和志との対談+保坂和志のあとがきが面白かった。
    帯には「読めば何かが変わる」とあるけれど、本書の小島信夫の発言を間に受ければ、小説の読み方がもはや後戻りできないほどに変わる。

    ちなみに、保坂和志は本書に収められた後半の語りは面白いが、前半部は面白くないと言っている。それも含めて本書は"らしい"本だと思う。

    自分はすでにこの小島氏にいくらか近い小説の読みかたをしているので、仰天するということはなかったが、それでも本作を読んで決定的な影響を受けたはず。ついでに言うと、カフカの読み方も変わります。

  • 書き続けるために本当に大切な事とは……これからの創作者に伝える窮極のエッセンス。単著未収録のトークを中心にした文庫オリジナル。〈解説〉保坂和志

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著者プロフィール

小島信夫
一九一五年、岐阜県生まれ。東京大学文学部英文学科卒業。五五年、『アメリカン・スクール』で芥川賞、六五年、『抱擁家族』で谷崎潤一郎賞、七二年、『私の作家評伝』で芸術選奨文部大臣賞、八一年、『私の作家遍歴』で日本文学大賞、八二年、『別れる理由』で野間文芸賞、九八年、『うるわしき日々』で読売文学賞を受賞。他に『菅野満子の手紙』『原石鼎』『こよなく愛した』『寓話』『残光』など多数。二〇〇六年十月没。

「2023年 『小説作法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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