幸せな家族-そしてその頃はやった唄 (中公文庫 す 31-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122074187

作品紹介・あらすじ

「これからつぶやくひとふしは とても悲しい物語……」保険会社のコマーシャル・キャンペーン《幸せな家族》のモデルに選ばれた中道家。しかし撮影はなかなか進まず、やがて不気味な唄の歌詞にあわせたかのように、次々と家族が死んでゆく――刊行以来、全国各地の少年少女に衝撃を与えてきた伝説のジュヴナイル・ミステリ長篇、奇跡の復刊。〈解説〉松井和翠

感想・レビュー・書評

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  • 鈴木悦夫『幸せな家族 そしてその頃はやった唄』中公文庫。

    児童文学作家の鈴木悦夫が1989年に刊行した伝説のジュブナイル・ミステリーの復刊。刊行以来、全国各地の少年少女に衝撃を与えて来たという伝説のトラウマ児童文学。行きつけの本屋のレジ前のキャンペーン棚に山積みされていたので、ついつい購入してしまった。

    確かに少年少女に向けた小説にしては刺激が強過ぎる。直接的には描かれてはいない残酷さやエロさ、近親相姦というタブーの匂いがプンプンする。

    ジュブナイル・ミステリーと言うよりもイヤミスと言った方が良いだろう。作中に描かれる『そしてその頃はやった唄』が兎に角、不気味で気持ち悪い。

    プロローグでは既に児童文学にしてはあり得ない程の悲劇が起きたことが明らかにされる。1年の間に中道家で、父親で写真家の勇一郎、兄で中学2年生の行一、母親の由美子、姉で高校2年生の一美、親友の柴田浩が相次いで死に、次男で小学6年生の省一だけが生き残るのだ。

    賢明な読者ならプロローグを読んだだけで犯人の正体が解ってしまうのだが、それを信じたくないからこそ本編を夢中になって読んでしまうのだろう。


    保険会社のコマーシャル・キャンペーン『幸せな家族』のモデルに選ばれた中道家。写真家の父がの勇一郎が仕事を行うためのスタジオを備えた新築の家に父親の勇一郎、母親の由美子、長女の一美、長男の行一、次男の省一の5人が引っ越し、コマーシャルの撮影隊がやって来て、撮影がスタートする。

    しかし、父親が多忙なために撮影は進まず、まるで不気味な『そしてその頃はやった唄』をなぞるかのように家族が1人、また1人と死んでいく。

    果たして……


    トラウマ児童文学と言って思い出すのが、天沢退二郎の『光車よ、まわれ!』だ。こちらは正統派の少年少女向けのホラー・ファンタジー小説である。小学生の頃、図書館から借りて、余りの面白さに時間が経つのを忘れ、教室の片隅で読んでいると知らぬ間に外は真っ暗となっていた。

    ふと背後に人の気配を感じて後ろを振り返ると女性が立っていた。突然のことに驚いて、固まっていると……

    女性から「その本、凄く面白いでしょう。」と声を掛けて来た。女性は違う学年で国語を担当する先生だったのだ。あの時は本当に肝を冷やした。

    社会人になって、ちくま文庫から『光車よ、まわれ!』が復刊されたのを機会に再読してみたのだが、やはり非常に面白かった。

    本体価格900円
    ★★★★

  • 児童書だったんだこれ…。早い段階で犯人は察しがついたけど、もやもやするなあ。

  • 1日で読んでしまった。
    ミステリー小説にしては流れが想像できて、どんでん返しを期待したけど…

  • これがほんとに児童書?普通におもしろかったし、自分が子どもの頃この小説に出会ってたら、ミステリー沼にハマってただろうな、、
    なんとなく犯人は途中でわかったけど、終わり方までは予想できず。歌には犯人本人の死も歌われていて、主人公も歌に沿って最後は死ぬというきれいな終わり方。お姉さんが自分の死を受け入れてる感があったのだけいまいち謎だったけど、お金持ちの一家で一人ずつ謎の死を遂げていくという気持ち悪さと妖しい美しさ?がなんともいえない読後感でした。

  • 解説込みで

  • 犯人は初めの方で直ぐに分かった(分かるように作られていたのかな?)
    けど、なんとも言えない雰囲気とストーリー展開がめちゃくちゃ良かった

    母親とお姉ちゃんがいい人だっただけに、死んじゃったのがとても悲しい
    特にお母さんの最後は読んでいてとても胸が苦しくなった

    特に気になる矛盾点も無いし、あちらこちらに伏線が散りばめられている
    ほんのちょっとペロッとするだけで死ぬ農薬なんてあるのかな?とは思ったけど、全体的にミステリーとしてもよく出来ていた

    大人3人組にも天罰が下って欲しいなあ

    面白かったけど、もう一度読みたいとはならない
    何なら怖いから手元に置いておきたくない本

  • 思ってたよりも面白くなかった。ミステリーと言うなら、ネタばらしにもうひと工夫欲しいところ。動機があるようでない所が怖いポイントなのだろうが、今ひとつだった。

  • かつて多くの少年少女にトラウマを与えたと言われる児童文学が文庫本で復刻って本屋で紹介されていたので読んでみました。有名なミステリー作品に似た内容ですが、犯人は(子供はともかく大人が読むと)すぐにバレバレの作品で、ミステリーというよりはむしろサスペンス小説と言う感じを受けました。

    幸せな家族が次々と謎の死、そして、この作品が児童文学である意味の解説、でも、それでも、今の自分の年になって読むには、ちょっとつまらない作品かな。

  • 読みやすくスラスラ読める反面、世界観がトラウマになりそうなぐらいの構成。
    子供からしたら、、、
    いまでゆう子供はなんらかの障害があったのか、歌に沿って事件を起こしていく。
    結末はまさかの、、衝撃的でした。

  • 保険会社のテレビCM(幸せな家族)に選ばれた5人家族とその撮影者スタッフたちと唄の話。
    途中まで上がった熱が終盤うまく保たれることなく冷めてしまった。
    1人1人の殺害現場と、唄をなんとか活かしたいとするストーリーの進め方に腹落ちできなかった。

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