ユーフォリ・テクニカ: 王立技術院物語 (C・NovelsFantasia さ 3-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784125009667

作品紹介・あらすじ

真空からエネルギーを取り出し、水の裡に封じる。産業革命を推し進め、新世紀に繋がる最先端の技術、「水気」-十九世紀末叡理国、ネルは東洋人として初めて王立技術院応用水気技術学科に赴任してきた。だが、研究員の募集に応募してきたのは、情熱はあるが常識は蹴倒す破天荒な少女エルフェールのみ。しかも彼女は王女だというのだ-?定金伸治の暴走科学ファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  •  通勤図書(6月最終週)
     @min2flyに「理系ホイホイ」関する話でオススメされた。大学の理工系研究室あるある話が網羅されており、かつ話として面白い。

     主人公の女の子はちょっとどころじゃなく変な子。私は変なキャラクターが好きだが、それでも引くくらい凄い娘である。いやでも理系研究室にいる女の子って大抵一癖か二癖あるよなぁ…なんということをしみじみ思い出したりもした。

     以下、作中の科学技術について。
     作中では架空の科学技術である「水気」という理論とその応用技術である「花火」をテーマに主人公たちがドタバタと研究を進めていく。
    「水気」は架空の技術ではあるものの、真空の生成や純水の精製、試料作成、または手作り実験装置の癖に苦しんだり、事故の危険など…この手の研究に少しでも携わったことがある人は経験があるだろうことが、しっかりと描かれている。また、理論に関しても実際の物理や化学をモチーフにしてわかりやすいものになっており、読者に壁を感じさせない。なにより、1巻完結であるため所謂「中だるみ」がなく、スピーディに話が進行するところが良かった(うだうだと理論の蘊蓄を語るという雰囲気がない)。
     花火の理論については、現実でいえばLEDや半導体レーザー技術の話が近いかな。世界観としては19世紀後半~20世紀初頭という感じがするのだが、水気技術に関してはかなり現代に近い感じがあり、それも話の明快さの理由かもしれない。

  • 講師としてスカウトされてきた主人公ネルの研究室に,ハイテンションな超お転婆王女エルがやってくる話.異人差別・男女差別から,国の興亡まで話を広げる展開がよかった.スチームパンクな世界観にはいろいろ理系心くすぐるものがある.エルの破天荒な性格の賛否両論はさておき,王宮というクローズドな環境でどうやったらエルみたいな人間が出来上がるのかが知りたい.
    「技術研究は体力勝負」という描写が妙に懐かしかった.

  • 国外から東洋人がやってきたのは、大学に赴任するため。
    そしてそこへ研究員としてやってきたのは、台風の目のような少女。

    元気少女が、好き放題走りまわる。
    それをのんびり見守る…のが、彼の役目?
    ものすごく必死に頑張って、ライバルっぽいのがでてきたりして
    結果が出て自意識過剰になって、事件を起こす手はずを整えてしまった。
    と、はしょってしまえば王道突き進んでいる感じがします。

    英国、みたいな所での騒動ですが、この時代なので
    多分みたいじゃない所も、こんな扱いだったかと。
    女性は男より劣った生き物、というのもそうですし。

    何か最後の方、走っているというか、上澄みだけとったような状態で
    特に危機感も…いや、発表できるか否か、という聞き感はありますが
    それほど大変な事もなく、終了。
    そこに至るまで、の方が大変そうでしたけど。

    読めるけれど、それほどわくわくもしませんでしたし
    少々迷惑な性格、という程度でしたし。
    ただ…最後のメンバー合わせて、で動くとなると
    恐ろしく面倒な所になりそうです。

  • 王女がちょっとハチャメチャ過ぎてついていけない。いやハチャメチャなのはいいんだけど、「ハチャメチャってこういうものでしょ」的な感じで。
    マンガのギャグシーンの部分だけを切り張りして作ったようなキャラ。共感できるとっかかりがない。

    話も事件のはじまりから結果までが数頁程度で出るから、個々のエピソードのつながりがうまく感じられず、まとまりがない・とってつけたような印象。

  • 本棚を整理してたら見つけた。

    椎名さん目当てでかったものの、読んでみると話の方も
    面白かった記憶はあるんだけど、さて、どんな話だったっけ…

    今度気が向いたら読み直ししてみよう。

  • 図書館から借りました

     SF風ファンタジー。
     パラレルワールドっぽい。

     技術者もの。
     イギリスだろうかなー。十九世紀末の「叡理(エーレ)国」に、ネル(錬)という東洋人の青年が初めて王立技術院に赴任してくる。東洋人に対する偏見と闘い・・・はせずに受け流し、淡々と仕事する。
     東洋人への偏見の上、女性蔑視が甚だしくて、ネルのところに転がり込んできた王女エルフェールはまわりを見返してやると息巻く。

     真空からエネルギーを取り出して「水」に封じる技術をメインにしているので、それに関する学術が延々延々と書いてあったりして。でも読まなくても平気なので、読み飛ばした~(ぁ

     若干、読みにくい。紳士の国とかいうわりに、警備員は警棒で女の子の頭かち割るし。差別酷いし。
     次の巻が出たら、読むとは思うけれど、買わないと思う。
     エルフェールは個性的だけれど、どうにも……合わない。

  • 2010/12/19:以前に「C・N25」で日常?風景を描いた短編を読んでちょっと気になっていました。19世紀イギリス風架空の世界を舞台にしたドタバタ工学系ファンタジー。変(態)すぎる王女様のキャラがなんとも強烈ですが、楽しく読めました。

  • それがストーリー上重要かどうかは別として、ちゃんと「水気」というものを定義して「研究」って感じに本格的に書いてあります。
    まー、お話なので理論的に成立はしないのでしょうが。
    まっしぐらな王女様がとても魅力的でした。
    ただ、みんなそれぞれいいキャラなのにキャラ同士がいまいち踏み込んでない感じがして、そういう意味ではちょっと深みがない感じがしました。
    まー、ある程度全編通して楽しんで読めたけど。キライじゃないかな。

  • ヒロインがかなり問題アリな性格ではあるものの、
    もっと続きが読んでみたくなる話。
    1冊でもそこそこ完結していて面白いんだけど、
    もうちょっと広がっていくところを見てみたい感じ。

  • Amazonの星4.5の評価に、ぽちっと購入してみる。

    19世紀ヨーロッパに似た、どこかにありそうな欧風な国の中にある、
    「王立技術院」という、今でいう大学の研究室のような場所で、
    情熱的で暴走気味な元気少女が失敗と成功を繰り返していく成長物語。

    世界観の設定や、それの活かし方の安定感はさすが。
    例えば、異国人に対する蔑視の風習があるのだが、
    それは最後まで弱まることなく忘れられることなく貫かれる。
    設定好きにはたまらないトコロ。

    ただ、一人称ゆえの問題なのかも知れないが、
    冒頭でも触れた「暴走気味の元気少女」が、行動は衝動的で荒々しいのに、
    同時に文章上でその行動や自身をひどく冷静に分析していたりして、
    読んでいて違和感があった。

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著者プロフィール

作家。1971年大阪府生まれ。京都大学大学院工学研究科修士課程修了。1991年、『ジハード』で第1回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞に入選し、デビュー。本作は、11年の長期にわたって多くの読者に愛される大人気シリーズとなった。他の作品に『姫神』『四方世界の王』などがある。

「2014年 『ジハード 6 主よ一握りの憐れみを』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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