RINGADAWN〈リンガドン〉 - 虚戦士と終わりの鐘 (C・NovelsFantasia あ 4-3)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784125011943

作品紹介・あらすじ

戦場に満ちる無念や呪怨から生まれすべてを殺すまで剣を揮う御伽噺の怪物「虚戦士」-前王の隠し子として軍に追われる少女ミルナの前に現れた少年は伝説さながらに感情も見せず禍々しいまでの力で追っ手を倒す。けれどミルナに向ける笑みははにかんだ子どものようで…御伽噺シリーズ、感動の大団円。

感想・レビュー・書評

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  • ・メィル王国の政変により平穏に暮らしていた少女ミルナはわけもわからず逃走を余儀なくされるが、不思議な戦いかたをする少年クロードが彼女を救う。
    ・前巻の主人公カミナとノルンも登場。相変わらず難民をあっちにやったりこっちにやったり。その目的は? 第一巻のヒロインのリエルとフランデと前巻のヒロインのイセリナも登場、第一巻の主人公レイジはいつ出る?
    ・クロードは意味なくなんとなくでミルナを助け、ミルナはクロードを人にしようと思い、カミナは自分の報酬は自分で見つけようとし、ノルンはカミナのために生きて死ぬと決めており、妖精姫は自分の目的のために利用できるものはなんでも利用し、彼女と互いに縛り合っているレイジは修羅に生きつつ待っている。
    ・御伽噺は終わるらしいがレイジに関してだけはまだまだ続くのかもしんないね。

    ▼リンガドンについての簡単なメモ(第一巻から累積)

    【アインブラム・ヴィンラッド・グーテリア】イセリナの婚約者。ジュラールの従兄弟。次期領主。ドートメルに操られているダメ貴族。
    【赤眼の鴉】ミルナの中にいる。直感とか予知能力とかニュータイプとかって感じ?
    【アムルアント・リム・ジーン】貴族の息子。ミズリウルの腹違いの兄。気ぐらいが高い。黒髪。シグリィエルを「リエル」と愛称で呼べる数少ない一人。リエルの婿候補の一人。父コーザリウスは醜男でそれを嫌う母エスティナの影響から父を軽蔑していたが内面と政治的手腕と勤勉さは優れており今ではアムルアントも尊敬している。たぶんラスボスとか敵ではないと思える。
    【虚戦士/イクサ】死体と死体の中から生まれ自分を生んだすべてを殺すまでは止まらない御伽噺の怪物。クロードとグランのどちらか、あるいは両方ともが候補。
    【イセリナ・リフィーリア・ガラードラル】カミナの幼馴染の女性だが今では親しさよりも遠慮が先に立つ相手。税務官。白に近い銀髪の美女。前巻の妖精姫と並んだら豪勢だろう。頭のかたいところはあるが、自分のしたいこととできることの差を承知しているし理解できていることと理解できていないことがあることも承知している。カミナの目から見て特に優秀ではなく敵に回ったとしても脅威ではないがたいがいの場合彼女は「正しい」。そのくだりを読んだとき第二巻の全貌が見えたような気がした。
    【ヴォルザーク】黒い鎧の兵を率いる。
    【オーズ・ザースディ】リエルの護衛。おそろしく強く全幅の信頼を置かれている。「妖精の白い影」と呼ばれる。第三巻の説明によると戦士としての能力は必ずしも優れているわけではないがいくつかの剣の「型」を極めているだけとのこと。剣の届く範囲に近づき敵より先に剣を届かせるそれだけの達人。初登場時はまだ二十代だったがレイジにおっさん呼ばわりされる。騎士としてはざっくばらんで型破りな性格。レイジの剣の師匠でもある。ラスボスではないだろうがもし彼が敵のメンバーだったりしたらとても危険だ。
    【オーランド・コフス・フリードヒム】ラ・ヴィル王国で起こった政変の首謀者。なかなか登場しないがかなり優秀な指導者らしい。出自は不明。グランが付き従っているところを見るとクラウスロン出身ということもあり得る?
    【灰色狼/ガウス】スシォルロントに古くから伝わる獣。遠吠えを聞いたり姿を見たりしたら喰われてしまうらしい。娼館を全室制覇しようとしている男がそう呼ばれている。まあ、成長したレイジのことなんやけど。
    【学府】カミナいわく「帝国という法」を学ぶ場。
    【カミナ・シュート・クルス】第二巻の主人公。エイグラード領の貧乏貴族の次男坊で統括軍事顧問補佐官(伯爵相当の役職なのでかなり偉い)まで登り詰めた。楽してかつへつらわず生きたいと思い軍師を目指した。ノルンには全ての軍師に謝れと言われた。イメージ的にはヤン・ウェンリーではある。一筋縄ではいかない人物のようで今回の事件の首謀者が彼であっても驚かない。《自分のことなどどうでもいいのだ、この男は。》第二巻p.116とフェルディナンドは思った。前の巻の主人公の《レイジはレイジに対してとても冷たいのだ。》という表現と似ている気がする。カミナには死の臭いがある。他者を殺し自分の命もそう大事ではない。だからいつか寿命でなく死にそうで、最後まで死んでほしくはないとは思う。《思考と弁舌と無神経で軍師になったような男だ。》第二巻p.124とノルンは思った。《摑み所のない──なのに、不快でない変人。》第三巻p.92とクロードは思った。実は強い、なんてことはまったくなく、剣士や戦士としてはほぼ無能。
    【貴族】《貴族とは民人に立たせてもらっているのだ》第二巻p.84とイセリナは考えているが帝国貴族としては少数派。
    【貴族名】帝国ではミドルネームに当たる部分が貴族名となっている。
    【折り生地の菓子/クラヴァストリ】軍事用語。メィル、ジブラエン、イスマシア、帝国領イグリォスの国境が重なっている地点。ミルナ、クロード、カミナたちの難民キャラバンが向かった。スシォルロントにも目茶苦茶遠いわけではなさそうだ。
    【クラウスロン】暗殺者集団。全巻通して登場。第二巻についてはクラウスロンかどうかは別にして暗殺者的な誰かは登場するわけで、カミナないしはマリーナがこれだったとしても特に驚かない。イセリナがそれならかなり驚くがまずあり得ないだろう。ノルンだと驚かないがノルンであってほしくないとは思ってる。ドートメルの場合はなさそうで普通にあり得るかも。地位と権力を得ようとする暗殺者ってのもあるかもしんない。また暗殺者が第一巻の主人公だったとしても驚かない。さてさてどうなんでしょう。
    【グラン】ヴォルザークに指示を与えている若い男。たぶんクラウスロンの一人だろう凄腕。
    【黒い鎧の兵隊】ミルナの村を焼いた一団。
    【クロード】第三巻の主人公の一人。鍛冶屋のモーク爺さんといっしょに暮らす少年。幼い頃から戦いの技術を叩き込まれた。息をする如く自然に他者を殺す。というより人間も獣も特に区別していない感じ。モークからは黒の地金に白の模様が浮かぶ剣を譲り受けた。今回の御伽話の「虚戦士(イクサ)」は彼のことだろう。レイジやノルンといい勝負か下手をするともっと強いかもしれない。レイジとは味方としてではなく互いにどういう相手かわからないままいきなり遭遇し闘ってみてほしいものだがどうなるでしょう? 《相変わらず平和な昼下がりの散歩中みたいな顔をしているけど、もしかすると地獄を歩いても同じ顔をしているかも知れない。》第三巻p.131。おそらくカミナとは相性がいいと思われるので本格的に組んでカミナにとって当てにできるようになったらかなりいろんなことができるだろう。
    【コーザリウス・リム・ジーン】アムルアントとミズリウムの父親。醜男だが善良かつ勤勉で善政をしく。あるとき暴挙と思われる行動に出る。もし敵ならば手強そう。
    【ジーン貴族領】ロントで唯一敵の攻撃を想定した要塞都市。アムルアントがリエルの婿候補になっているのでミズリウムが統治している。地下水路が張り巡らされている。
    【シグリィエル・リム・ロント】第一巻のヒロインの一人。妖精王の第一王女で将来はトップに立つのだろう。国を変えてみせたい。だんだん不屈で不敵な人物になってゆく。妖精の血族の特徴なのか保身というものを考えないところがあり、利用できるなら自分自身すら利用する。「私にもう少しだけ期待していなさいよ」。すべてはそこから始まった。
    【ジェムジェン】傭兵部隊を率いる加虐趣味の小男。
    【ジュラール・ヴィンラッド・シュタインズマン】第一巻、第二巻ともに登場する。リエルの婿候補の一人だった。帝国傘下のエイグラード領の公爵。お気楽極楽な貴族様だが飄々としていてこれはこれでけっこう大物なのかも。第一巻ではなんとなくだが敵ではない気がした。他人に本心を見せないタイプなところがカミナと似ている。
    【スシォル湖】ロントの城下にある。すべての道は湖に通ず? たぶん重視されている場所。レイジがリエル(シグリィエル)と出会った場所。城の裏手から通じている。
    【戦争】戦争は下策だとカミナは言う。《口と舌が付いているのですから、話せば良い》第二巻p.13
    【ソフィスティア・エルネスト】ミルナを護りにきた女性騎士。青い鎧のラ・ヴィル王国聖騎士団の五分隊あるうちの第三分隊副隊長。隊長のハインツは元婚約者。あまり頼りにならない。この話の間に成長できるのか?
    【ソロ】ユリュの1歳上で仲のよい少年。無口だがもののわかった好青年。《おれたちが無力なだけだよ》第三巻p.144
    【帝国】巨大な版図を持つ国。侵略はするが侵略後の内政に力を入れており侵略前より善政を布くので住民にとっては悪くない。古代ローマのような感じか。元々はいくつかの国家だったものが統合された国。第一巻では今のところ必ずしも敵国ではないが油断のならない強大な国という感じだった。
    【ディグ】ディグリグル・マデューカス。ソフィアの部下。騎士。好きな人は裏切らないとだけ決めている。
    【トヴァン】リーヴァ裏町の「組織」の幹部の一人。組織の長で「親爺」と呼ばれている。
    【ドートメル・イステンマーク・マスタリアス】カミナの上司で統括軍事顧問。権力欲にまみれているが無能ではなく威圧感のある油断ならないおっさん。
    【ノルン・アコース】準騎士官。赤毛で背が高く、気が強く戦闘能力の高い美女。羽根(パルーフ)の二つ名を持つ特務騎士官(上級騎士官で準爵相当)。速度と身軽さが身上の戦士。ケガなどの応急処置はできるが大雑把なのであまりまかせたくない。
    【呪い笛吹き】笛吹きがやってきて笛を吹いたら村人が消えてしまうという御伽噺。幽霊街は出ているので題名からしてこれも登場しているはずだがさてこの巻では誰に当たる? まあ、わかりきっているが。
    【バームング・オルドウ】凄腕の傭兵で戦場ではうっかりすると将軍並の賞金がかけられる。反リエル派に雇われる。ロントで朽木折(バラスキア)という巨大な剣を手にいれた。たぶん「ベルセルク」のガッツの剣みたいのか「ファイナルファンタジーⅦ」のクラウドの剣みたいのか。
    【ハインツ】ラ・ヴィルの貴族。ソフィアの上司にして元婚約者。
    【秘密基地】スシォル湖畔で半分沈んでいる小型の帆船。リエル、アムルアント、ミズリウム、フランデがリラックスできる遊び場だった。オーズが警護していたもよう。後にレイジも参加した。
    【フェルディナンド・グレアル】黒槍騎士団の騎士官。ドートメルの命でカミナたちの調査に同行する。イセリナの護衛でありお目付け役でもある。
    【フランデ・シュービット】赤茶色の髪の美女。王女専属の女官。女官長の娘で生まれたときからリエルといっしょにいるが「様」づけすることを忘れない。第一巻の半分くらいはフランデとレイジの話なので主人公の一人あるいはヒロインの一人と言ってもいいかもしれない。
    【フロッド】リーヴァ裏町の「組織」の下っ端。
    【マリーナ・シュート】幽霊街のようになってしまった村の少女。アウィスという比較的大きな町から戻ってくると村が無人になっていたと本人は言っている。第二巻終了後どうやらイセリナの侍女になったようだ。
    【ミズリウム・リム・ジーン】金髪の美青年で優しい性格。アルムアントの腹違いの弟。リエルが「リエル」と愛称で呼んでもらいたがっていることに気づいてそうしている。皆が信頼しているがラスボス候補の一人ではある。
    【ミナ】リーヴァ裏町の「組織」の幹部の一人。色街担当で「姉御」と呼ばれている。
    【ミノック・サガエル】たぶん帝国の若い貴族の一人。リエルは「ひどく渇いている」との印象を抱いた。第一巻のラスボス最有力候補の一人で少なくとも何らかの関わり方はしてくるだろう。
    【ミュルス・ミュラー】リエルの婿候補の一人。帝国に与しない軍事国家トゥルムの将軍。ラスボス候補の一人ではあるがちょっと小者っぽいか。
    【ミルナ】第三巻の主人公の一人。赤い瞳、長く黒い髪、白い肌の人形のような容姿の少女。孤児で、メィル王国辺境の小さな村の孤児院で暮らしているがこの村は最初孤児院ができそれを中心にできあがっており村人の半数以上が孤児院の関係者。実は…で本名をミレエルシナというらしい。《みんなが笑ってなきゃミルナは嫌なんだよ。》第三巻p.159
    【ムガウル】リーヴァ裏町の「組織」の幹部の一人。荒事担当だが見た目と異なり分別もあり「旦那」と呼ばれている。
    【モーク】鍛冶屋の爺さん。第三巻最初の記述からすると元クラウスロンの大物暗殺者だったと思われるがミスディレクションを誘っているだけかもしれない。
    【優しさ】《優しさは自分に対して使うものではない。》byユベイル第二巻p.42。《この村の子供たちの優しさは何処か悲しい。きっとそうしなければ生きられないからだ。》第三巻p.28。
    【幽霊街】無人の村に近づくと呪いをうけてしまい自分の村に戻るとそこも幽霊街になってしまうという御伽噺。この巻ではたくさんの幽霊街が見つかり主人公たちが調査に赴く。《そりゃ、異様だけどね、無人なら安全だろ?》第二巻p.71
    【ユベイル・カーグン】騎士団員。フランデの護衛をするが覚束ない。
    【ユリュ】ミルナの5歳下の友人。《わたしたちの命運が、わたしたちと関係ないところで決まってる。たぶん今も》第三巻p.144
    【ラトキエ・フリンジ・スティサム】優秀な財務官。ディナス貴族区が財政破綻していないのは彼の働きによるところが大きい。カミナをして敵にまわすと厄介と言わしめた。《冬眠から目覚めたけどまだ寝不足で不機嫌な熊》第二巻p.102とイセリナは感想を抱いた。
    【リエル】シグリィエル・リム・ロントの愛称。
    【レイジ・クォルトリーズ】第一巻の主人公。登場時漆黒の髪の少年だった。裏町の子どもで母は娼婦。偶然リエルと出会い、ひどい目に合わされ「がっかりした」と口走ったせいでリエルの従者となった。とある事件で死んだと思われていたが五年後に再び姿を現した。黒白まだらの髪の「灰色狼」と呼ばれへらへら笑いながら人を殺す危険な青年に変貌して。《レイジはレイジに対してとても冷たいのだ。》第一巻p.28
    【ローベル・オイゲン・メイディアス】ディナス貴族区の管理官。ダメ貴族の見本のような男。
    【ロント城】お伽噺を起源とする小国スシォルロントの中心。男児が産まれたことがなく王は必ず他国から迎える。侵略するほどの価値がないから攻められたこともあまりない。

  • シリーズ三作目となり、もう頭の中でキャラがゴチャゴチャ。
    この人は前作に出てきたっけ? 初登場だっけ? と混乱してしまい、話を追うのが精一杯でした。
    キャラが似通っているせいなのか、私の記憶力の問題なのか分かりませんが、あまり印象に残るキャラではなかったのは確か。
    剣と魔法のファンタジーを読むには、年を取り過ぎたかな。

  • K-Books 210円

  • とんでもなくハッピーエンドだった。個人的には3作目が一番好みです。
    1、2作目の主人公たちはこれからも戦いが続くんだろうけど、
    幸せを見つけられたクロードには祝福を上げたい。

  • うん、面白かった。
    つきはなしてるのにあたたかい目線。力を持つこと、振るうことへ真向から対峙する、清々しいお話でした。

  • RINGADAWN〈リンガドン〉シリーズの三巻目にして完結編。
    前二作の登場人物が、たくさん登場するのはうれしい。
    ラ・ヴィル王国の前王の隠し子といわれ、急に命を狙われることになった少女ミルナ。
    彼女をなんの見返りもなく守るクロードという少年。
    二人をめぐる物語は、周辺国をも巻き込んだ戦争へと突き進んでゆく。
    ラ・ヴィル王国でクーデターをおこしたオーランドという人物がよくわからなかった。一巻を再読するべきか?

  • リンガドン完結巻。

    お伽話シリーズだけどあんまりぽくなかったかな。
    それにクロードは嫌いじゃないけど笛吹きと灰色狼に喰われてる気もする。

    一巻が1番好きだったけどシリーズ通して悪くないかな。

  • クロードが可愛かったな。
    しかし、イラストがよくない。描写から想像するキャラとイラストがまるで合っていない。カミナとか『銀髪の優男』って書いてあるのに、イラストだと『小生意気なガキ』にしか見えませんですよ……。
    このイラストさえなければ、星5つつけてもよかった。私の好み的には。

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