精神障害を哲学する: 分類から対話へ

著者 :
  • 東京大学出版会
5.00
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 57
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130101370

作品紹介・あらすじ

精神障害とは何か.精神医学とはどのような実践なのか.哲学史における狂気の概念や現代の分類・診断の変遷を分析し,「オープンダイアローグ」 などの対話的アプローチ や「当事者研究」の意義を探究することによって,精神医学の未来を探る.【推薦文】「「病院」から「地域」へ,「診断」から「当事者」へ,「分類」から「対話」へ.哲学者の透徹した視座が,精神医学の現状と未来を鮮やかに描き出す」——斎藤環(精神科医、筑波大学教授)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 電子ブックへのリンク:https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000072679(学外からのアクセス方法:1.画面に表示される[学認アカウントをお持ちの方はこちら]をクリック→2.[所属機関の選択]で 神戸大学 を選んで、[選択]をクリック→3.情報基盤センターのID/PWでログイン)【推薦コメント:精神疾患と社会との関係を考えるにあたって有益な文献だから】

  •  本書は、精神障害という概念や、精神医学という実践の意味を歴史的、哲学的に検討し、その今後の展望を示した一冊です。全体は大きく三部に分かれています。第一部では古代から近代に至るまでの狂気、精神障害の捉えられ方が、第二部では現代の精神医学に多大な影響を与えている精神障害の分類法を中心に、現代の捉えられ方が扱われています。最終の第三部では、イタリアの地域精神保健医療やフィンランド発のオープンダイアローグや、日本の当事者研究の実践をもとに、副題の「分類から対話へ」の後者、精神障害への対話的アプローチが論じられています。
     私は、大学入学以降の一年で、複数の講義や本書等から、精神障害について考えることは、けっして、”一部”の人々がもつ”特殊な”障害について考えることではないのだと知りました。特に本書からは、精神障害、精神医学の哲学から、医療、医学、科学や、(精神障害にとどまらない)”当事者”、社会について広く問が広がっていくことを感じました。また、精神障害について考えることは、とっつきにくさを感じてしまいがちな哲学への一つの入門方法であると思います。

     さて、本書は本学総合文化研究科の教授の著作ですので、UTokyo Biblio Plazaに登録されています。UTokyo Biblio Plazaは、”東京大学教員の著作を著者自らが語る広場”として2017年に開設されました。私にとっては少し背伸びする必要がある学術書を読む時、ここに掲載されている著者による解説やリンクが貼られている書評を、読みこなすためのヒントとして重宝しています。本学のOPACやE-bookとの接続が良く、特にE-bookに登録されている場合には、ワンクリックで現物を見ることができます。
     現在までに1,100冊以上が登録されています。ザッピングしているだけでも学問の広がりを感じられ、知的好奇心が刺激されます。さらに、著者として見つけた教員の名前を、授業カタログや学務システムUTASのシラバスで検索すれば、講義がヒットすることも多いのも嬉しい点です。まもなく始まる新学期の履修決めにも役立つかもしれません。ぜひ使ってみてください。
    (理科2類・1年)

    【UTokyo Biblio Plaza 本書のURL】
    https://www.u-tokyo.ac.jp/biblioplaza/ja/E_00165.html

    【学内URL】
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000072679

    【学外からの利用方法】

    https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus

  • N区図書館

  • 【書誌情報】
    『精神障害を哲学する――分類から対話へ』
    著者:石原孝二
    ISBN 978-4-13-010137-0
    発売日:2018年09月14日
    判型:四六
    ページ数:332頁
    価格:本体3,200円

    精神障害とは何か.精神医学とはどのような実践なのか.哲学史における狂気の概念や現代の分類・診断の変遷を分析し,「オープンダイアローグ」 などの対話的アプローチ や「当事者研究」の意義を探究することによって,精神医学の未来を探る.
    http://www.utp.or.jp/book/b372493.html

    【主要目次】
    第I部 狂気と精神医学の哲学
    第1章 狂気と理性
    第2章 近代の疾病概念と精神医学の成立――精神医学はなぜ常に「遅れている」のか
    第3章 生物学的アプローチと精神病理学 

    第II部 精神障害の概念と分類
    第4章 認知症,統合失調症,自閉症の系譜学――統合失調症と自閉症はなぜ重要な精神障害となったのか
    第5章 DSMとICD ――精神障害を分類する試みの現代史
    第6章 精神障害の哲学――「自然種」と「有害な機能不全」モデル
    第7章 同性愛と精神障害の概念 

    第III部 地域精神医療と当事者
    第8章 地域精神医療と対話的アプローチ
    第9章 当事者による活動
    第10章 当事者研究のインパクト
    終章 精神障害と精神医学の行方

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

東京大学大学院総合文化研究科教授

「2022年 『オープンダイアローグ 実践システムと精神医療』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石原孝二の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
鈴木 哲也
カルロ・ロヴェッ...
トマ・ピケティ
スティーブン・ピ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×